プロローグ
初めまして、ノリと勢いで書き始めました。
2週間で1話上げれるように頑張ります。
-なぜ、こんな事になったのだろう?-
多種多様の見たことも聞いたこともない植物が、生い茂る森の中で、大量の死の臭いに満たされた空間に倒れていながら、そんな事を思っていた。
あたり一面は惨劇とも言える状況だ。
元が判らないくらいの肉の塊がここいら一帯にいくつも落ちている。
地面は吸いきれなくなった血の水溜りが出来ていた。
そのような場所だからこそ『血の臭い』が濃すぎて『死の臭い』と表現したんだけど。
そう言う僕も『死の臭い』を濃くする一役を買っている。
まぁ、体がどこも欠損していないだけでもこの場では五体満足と言えるけど…。
それでも遠くない未来に、僕も周りに落ちている(元は人間だった)肉の塊と同じ存在に成り下がる事が分かるぐらいの傷を負っている。
すでに体を動かす力なんて、ほとんど残っちゃいない。
「ごほっ、ごふっ…はぁ…はぁ…」
顔だけ動かして周囲を確認していたけど、やめて空にを見上げた。
今朝は晴れていたんだけどなぁ…。
今は小雨と表現するぐらいの雨がしとしとと降っている。
こんな状態で天気の事を考えるのは、周囲の状況が凄まじく周囲の状況から目を背ける為の現実逃避なのか、それとも既に死を受け入れてしまっているのか、当の本人であるのに、僕は判断出来なかった。
遠くで男の悲鳴が聞こえた。
多分、僕をこんな風にした盗賊達の1人だと思う。
あいつらはどのくらいいたんだっけ? 確か…2~30人ぐらいだったかな?
普通、1人の人間を攫う人数にしては多すぎると思うけど、『彼女』には全くもって意味をなさなかったようだ。
悲鳴が聞こえてから少しして、森の奥から1人の少女が僕の前に現れた。
この少女こそが僕の周囲に広がる惨劇を作り出した『彼女』だ。
身長は160cmあるか、ないかぐらい
ふわっとした緩やかなウェーブの金髪で長さはセミロング
くりっとした目で、瞳の色は左右で色が違う俗に言うオッドアイと言うやつだ
ちなみに右が金で左が赤
普段は赤い瞳の方は包帯で隠しているんだけど、今はその包帯は外している。
いつもは表情豊かな笑顔の似合う少女だ。
しかし、今は精巧なフランス人形のように喜怒哀楽が抜け落ちた顔をしている。
そして全身血だらけだ。
この惨劇を作り出した本人が傷を負う訳ないだろうから、全て返り血なんだろう…
彼女は辺りを見回し、僕を見つけると一瞬顔をしかめた様な気がした。
…気のせいかな?
そんな彼女は僕の前まで歩いてきて、表情1つ変えることなく僕に話しかけてきた。
「なぜ、私を見捨てなかったの?」
「…はぁはぁ、ちゃんとした、理由が…あるわけじゃ、はぁはぁ…ないんだよね。けど…」
「けど、なによ?」
「あそこで、君を裏切ったら、君が…はぁはぁ、この先、君が誰とも…関わらないで、生きていく気がした…からかな? はぁはぁ…」
そう僕が言うと彼女は一瞬だけ泣きそうな顔になり、僕から顔を背けて小さな声で「バカ」って呟いた。
再び顔を僕の方に向けた時は先ほどまでの表情の抜け落ちた顔に戻っていた。
そして彼女は淡々とこう告げる。
「あなた、このまま死ぬか、人間を辞めてまで生き延びるの、どちらを選ぶ?」
そう告げた彼女を見る僕はとても混乱していた。
人間辞めるぐらいで、生き延びられるなら、誰だって人間辞めるけど、そう簡単に人間を辞めれるの? と、思ってから思い出した。
ここが僕の生まれた世界ではない事を。
もうこの世界に召喚されて1週間経つのに、今の事態のせいで、それすら忘れていたらしい。
だからなのか、僕は答えを出す前に、この世界に召喚された頃を思い出し始めていた。