捜索
アゼルバイジャン上空 5月20日 1844時
CV-22とAH-64Dが山の間を飛ぶ。戦闘捜索救難は時間との勝負だ。タイムリミットは短く、1時間ごとに要救助者の生存率が減るのは通常の救難と同じだが、戦闘地域、特に敵の支配下にある地域だと低下率が大きい。「この辺が確か最終確認地点だったな。飛行機の破片らしきものは・・・・・無いか」オスプレイのカーゴランプからジェームズ・ルークが暗視ゴーグル越しに地面を見る。
「ここからじゃダメだね。一旦、降ろしてくれないか?」ルークはパイロットに提案した。
「ボスの許可がいる。打診してみよう」
サンガチャルイ基地 5月20日 1845時
「ダメだ。これ以上のリスクは冒せない。あと30分で引き上げろ」スタンリーは命令を出した。
「しかし、ルークとバークが降りて探すと言っています」
「ダメなものはダメだ。敵の支配下だし、全員が捕虜になった可能性も高い。天候もだんだん悪化してきている。2人は何と言ってる?」
「1時間から2時間程度で済ませると」
「許可はできん。まだ生きている保証はどこにも無い。戻ってきて体制を立て直せ。話はそれからだ。通信終了」
「くそっ!最悪だ!」無線を切ったスタンリーは拳をコンソールに叩きつけた。
アゼルバイジャン上空 5月20日 1847時
「ええいくそったれ!おい。補給を終えたら、すぐに行くぞ」佐藤はKC-135から給油を受けながら言う。
『どうする気だ?またあそこに行くのか?』ヒラタが答える。「当たり前だ!」
『ネガティブ。すぐに基地に戻ってください』原田が即座に命令を下す。
「撃墜されたんならすぐに奴らは知らせてくるはずだし、墜落しても不時着しても同じだ。つまり、無線とIFFがイカレタだけで、まだ飛んでいるかもしれない」
『天候も悪化しています。今すぐ基地に戻ってください』
「ふざけやがって」
『"ウォーバード1"、これは命令だ。すぐに基地に戻れ』
スタンリーが割り込んだ。
「・・・・・了解」"ウォーバーズ"の部隊は基地へと戻った。




