ザカラタ=バカラン奪還戦-5
アゼルバイジャン 山岳地帯 5月19日 0614時
クラーク、ロスとアゼルバイジャン歩兵部隊はようやく対空兵器に打撃を与えた。敵は上空ばかり気にしていたため、同じ目線から来る敵に対する警戒が疎かになっていたらしい。砲撃の後、ZSU-23やSA-11がいくつか破壊されたが、大半は生き残っていた。そこで、RPGや対戦車ミサイルである程度対空兵器を破壊した後で制圧にかかることにした。まずはAT-4"サガー"対戦車ミサイルでSAMランチャーを攻撃し、歩兵部隊を銃撃して斃した。
「おい"ゴッドアイ"、こちら"コブラ"。こっちの対空兵器は沈黙した。とっととヘリの援護を付けてくれ!」クラークが無線に向かって怒鳴った。
『了解"コブラ"。補給を行っているので、あと20分ほど待ってください』リー・ミンが答えた。
「ようし。やっと厄介なのが消えたか。行くぞ」
ツァハレムとベングリオンが乗ったアパッチを先頭に、補給を終えたヘリ部隊が再度、攻撃に向かった。30機近くいた攻撃ヘリは対空砲火で20機程度に減ってしまっていた。そのため、今回はリンクスやぺイヴホークといった汎用/多目的ヘリにも機銃やロケットポッド、ミサイルで武装させた状態で出撃させた。
クラークが率いる部隊にヘリの音が近づいてきた。
「やっと来たぞ。いつまで待たせやがる」アゼルバイジャン陸軍の軍曹が文句を言った。
「全く。あいつら、対空兵器があるとなると、すぐ逃げやがる。いっつもそうだ」バークが銃に装填しながら答える。
「あれ?変だぞ?2時方向と9時方向、両方からヘリが来る」軍曹が言う。
「何だって?本当だ。ん?味方にKa-50なんていたか?」バークが双眼鏡を見て言った。
「敵の攻撃ヘリだ!くそっ!2時方向から来るヘリは敵だ!"マムシ"より"カラス"へ!敵のヘリが来た!そっちから見て11時方向のヘリはみんな敵だ!」
ツァハレムも敵のヘリを確認した。「あれか。IFF反応無し。敵機と断定。優先的に攻撃する」
一方、テロリストも傭兵部隊のヘリの存在に気付いた。
「こちら"コウモリ"。敵のヘリを確認、攻撃する」
『こちら"サソリ"。地上部隊はどうする?』
「後回しでいい。先に飛んでいる奴らをやれ」
「ロックオン・・・・Fox2!Fox!」
ベングリオンがKa-52に向かってスティンガーミサイルを発射した。AH-64にはこの小さな自衛用対空ミサイルが4発搭載されている。ミサイルは敵のヘリのエンジンに命中し、撃墜した。僚機のコブラやガゼルかチェーンガンでKa-50を攻撃する。敵機が1機、煙を吹いて安定を失った。傭兵は追い打ちをかけようとしたが、突然、Ka-50のローターが爆破され、コックピットからパラシュートが飛び出てきた。悪運の強い奴め。傭兵はそう思い、次の標的を探した。




