ザカラタ=バカラン奪還戦-3
アゼルバイジャン 山岳地帯 5月19日 0601時
一方、歩兵部隊を援護しているヘリの飛行隊は苦境に立たされていた。敵の対空砲火を受けてガゼルとロイホックが被弾して離脱し、コブラが1機撃墜された。
「クソッ、今なら1979年のアフガンで戦ったソ連のパイロットの気持ちが良くわかる」
ベングリオンがぼやく。地上の歩兵たちは援護を要求しているが、ヘリ部隊の指揮を取っている彼はL-90やZSU-23-4の弾が飛び交い、SAMが飛んでくる中に仲間を突っ込ませるのをためらっていた。
「おい!どうなってやがる!デイヴ、早く何とかしろ!」
無線から先程、CV-22から降りて地上部隊に加わったロン・クラークの文句が聞こえてきた。
「無理だ!あんな対空砲火に突っ込んだら間違いなく撃墜されるし、アウトレンジからロケットやミサイルを撃ち込んだらお前らが巻き添えを喰らっちまう!」
そうしているうちにAH-6リトルバードがSA-7の直撃を受け、火だるまになって落ちた。
「だめだ。一旦離脱する。暫くはお前らだけで持ちこたえてくれ」ベングリオンは部隊に一時撤退を指示した。
「デイヴ!デイヴ!畜生!」クラークは遠ざかっていくヘリのパイロットに向かってありとあらゆる悪口を並べ立てた。
「仕方がない。今、ヘリの数を減らされたら今後の作戦にかなり響く。さっきので2機失っただけでもかなりまずいんだ。まずは我々で敵の対空陣地を叩こう。援護はそれからだ」ロスがクラークに言う。
「そうれもそうだが、このままではやられちまう!」クラークが言い返す。
「砲撃してもらおう。座標を送るんだ」
後方にはPMC・アゼルバイジャン陸軍の砲兵部隊が展開していた。2S5やM110といった自走砲からBM-30といった多連装ロケットもある。
「"ヘラクレス"へこちら"ブルドッグ"、敵の激しい攻撃にあっているが、ヘリが援護できない状況だ。座標ブラヴォー・タンゴに砲撃してくれ!」砲兵隊に援護の要請が入った。
「"ヘラクレス"より"ブルドッグ"へ。了解。巻き添えの恐れがあるため、ロケットは使えない。繰り返す。ロケットは使えない」
「何でもいいから早くぶっ放してくれ!このままでは全滅だ!」
自走砲が大きな音を立てて火を噴いた。砲兵たちは脅威的なスピードで次々弾を込める。砲弾は弧を描いて飛んで行き、敵の頭上を目指していった。
クラークは銃を撃って応戦していた。しかし、敵に弾が命中しているかどうかはわからない。やがて甲高い空気を切る音が聞こえた。「砲撃が来たぞ!伏せろ!伏せろ!」ロスが叫ぶのが聞こえる。地上部隊の兵士は全員、地面に伏せて耳をふさぎ、口を開けた。
ドーン!敵陣地のあたりが爆発し、凄まじい土埃が巻き起こった。ドーン!ドーン!ドーン!砲撃が終わった頃には敵の攻撃は途絶えていた。「今だ!全員、前へ!」指揮官が叫び、兵士たちは敵陣地の制圧を始めた。




