デ・ブリーフィング
インド洋 ディエゴガルシア基地 4月12日 1356時
「みんな、長旅ご苦労。ここが我々の新しい家だ」
ウォーバーズ司令官ゴードン・スタンリーが集まった面々に言った。
「今まではどっかの基地に間借りしていたが、やっと落ち着ける場所が手に入った訳だ」
スタンリーは続けた。ウォーバーズは設立当初、拠点となる場所がなかったため、サウジアラビアの基地を間借りすることで活動していた。しかし、米英両政府がディエゴガルシア島を放棄した時、即座に租借に動いた。手続きはスムーズに進み、契約成立後の翌日にはヘリで整備隊が降りて、およそ1か月でここを完璧な飛行場へと造り替えた。
放置されていた格納庫、滑走路、弾薬庫、管制塔、兵舎は完璧に蘇り、すぐにでも利用できるようになった。今は、飛行機が格納庫に並び、ホークやパトリオット、ゲパルトといった防空兵器も稼働状態に入っている。
「早速で悪いのだが、アラート待機当番の割り当てを決めたい。我々の事を良く思っていない連中も多い。戦闘機は全機、中距離および短距離空対空ミサイルを2発ずつ常備して、燃料も満タンにしておくこと。対空部隊も早速、24時間体制の警戒に入ってくれ。以上。何か質問は?」
ジェイソン・ヒラタが手を挙げた。
「我々はいつ訓練に入りますか?」
スタンリーはニヤッとすると、「もう暴れたいのか。まったく、しかたない連中だ」と呆れた様子で言った。だが、5人の戦闘機パイロットはすぐに飛びたくて仕方がないようだ。
「まずは明日明後日は休養、その次の日から兵装無し、空戦、模擬対地無しの飛行訓練を開始する。これに慣れてきたら、空戦、模擬対地攻撃の訓練に入る。以上」
司令官はデ・ブリーフィングを締めくくった。




