撤収
グルジア トビリシ国際空港 4月24日 1934時
PC-12は国境を越え、グルジアのトリビシ国際空港に着陸した。戦場となったアゼルバイジャンから近いせいか、乗り入れしているエアラインは非常に少ない上に、少数の職員がいる程度でかなり閑散としている。そんな空港のスポットに何のマークも無い真っ白なボーイング767が駐機している。"ウォーバーズ"が今回の作戦のためにチャーターしたもので、いわゆる地下航空会社が運行している。こうしたエアラインは、退役軍人や訳有りの元航空会社職員によって運行されており、どんなものでも、誰でも、どこでも、目的も運ぶ相手や物の正体も聞かずに運ぶことで有名で、犯罪組織やテロ組織の御用達だが、秘密が守られるのが利点なのでPMCも頻繁に利用している。
コナリーはPC-12のエンジンを切ると、767へと向かった。すでにタラップは架けられ、エンジンを回しながら給油されている。
「予定より早かったですね」"ジョン・ブラック"と名乗った乗務員が彼に話しかけた。
「ああ。ちょっと計画に変更があってね」
「我々だってこんな所からは早くおさらばしたいですよ。まーあ、貰える金次第ではまた運びますけどね」
「まあ、お互い稼ぎやすい世の中になったもんだ。よっぽど下手なことをしない限り、詮索されたり当局の捜査の対象になったりしない」
「ですね。前回も内戦で滅茶苦茶になったアフリカのとある国に人を運ぶことがありましてね」
「お互い、飯のタネは尽きない、ということか」コナリーはタラップを上がって、機内へと入って行った。
コナリーたちが乗った飛行機はディエゴガルシア島へと向かった。




