偵察-2
アゼルバイジャン 4月24日 1821時
WASPは少し低空飛行気味にアゼルバイジャンの森の上を飛んだ。傍目からは小さくなったトマホークにしか見えないことも無い。しかし、小さいながらもGPSを搭載し映像のリアルタイム中継が可能という驚くべき性能を持っている。しかし、その小ささは行動半径5キロ、対空時間30分という運用上の制約を生むため、最前線でしか使用できない。しかし、一人で2~3機携行できるため、複数のWASPをリレー方式で飛ばして利用することになる。
クラークはタブレットでUAVから送られてくる画像をじっと見ていた。森が広がっているだけで、何もおかしな物は無い。彼はカメラモードを光学からサーモグラフに切り替えた。しかし、熱源らしきものは無い。
「何もないな。森が広がってるから、上からじゃ何もわからない」
「仕方がない。無人機はそのままにしておけ。移動して、Mk1アイボールズ(注;米軍の兵士が使うスラングで肉眼のこと)で確かめよう」コナリーがそう提案し、他の2人も同意した。
「イーグルネスト、こちらスパロー。無人機では詳しく状況を把握できないので、目視での偵察を提案します」
やや間があって返答が来た。
「了解、スパロー。接敵を避け、半径30km以内に限り許可する」
「了解、イーグルネスト。目視での偵察は半径30km圏内とします」
クラークはロスとバーグに付いて来るように、また、コナリーとブリッグズには飛行機を見張るように指示を出して偵察へと出かけた。




