密使-4
ディエゴガルシア島基地 4月21日 1516時
ジューコフはディエゴガルシアを発った。スタンリーは途中まで護衛を付けることを提案したが、ジューコフは固辞した。G550は次の目的地のある北へと飛んで行った。
「さて、どうしたものですかね」隣にいた佐藤がボス話しかける。
「とりあえずは、状況がわからなければ何とも言えない。今、米軍はグローバルホークと偵察衛星でカフカスの状況を一応ではあるが、偵察しているらしい。軍の友人からその情報をこっそり横流ししてもらえることになりそうだ」
「それってマズいんじゃないですか?」
「ああ、そうだ。だが、今の米軍の保安体制なぞ今ではわかりきった事だがな」
これも軍や情報機関が縮小によって直面している厄介な問題の一つだった。一部の職員や兵士が公然とPMCとパイプを持って、情報をPMCに横流ししているのだ。情報は兵器や物品と違い、『形』が無いため流出しても気づかれにくい。とある欧州の情報機関が一時期、退職した職員のPMCへの再就職を禁止したが裁判沙汰になった挙句敗訴した例が数回ある為、歯止めが利かなくなっているのが現状だ。一方、PMCはタダ同然で必要な情報が手に入るため、情報機関に『スパイ』を公然と置いている。軍の方はもっと深刻だった。軍縮で人員は減ったが、PMCの方が稼ぎが良いため、軍で7~8年、実戦経験と技術を学んでPMCへ渡っていくケースも増えているのだ。それパイロット、特殊部隊員、サブマリナーといったエリートはPMCで需要が高い。
「状況を判断して、あとは報酬次第、といったところですか」
「その通りだ。命を懸けるのだから、それなりの報酬は要求するつもりだ」
「まあ、第一に世界平和のためですが、それなりの報酬が無いと釣り合わないですからね」




