密使-1
ディエゴガルシア島 4月20日 2143時
「こちらディエゴガルシアコントロール。ここは許可された飛行機以外は立ち入り禁止だ。接近中の機、所属を明らかにせよ」
管制塔でレーダーを見ていた管制官のディーター・ミュラーが繰り返し警告していた。
「どうした?」スタンリーがミュラーに話しかける。
「国籍不明機が接近しています。トランスポンダーを発信していない上に、呼びかけに全く答えません。何者でしょうか?」
「何度か呼びかけてみろ。100マイル位まで接近して来たら戦闘機を上げろ。あとどのくらいだ?」
「現在約120マイルのところに来ています。この速度ですとあと15分で島の上空です」
「コースを変える気配は?」
「ありません」
「どんな飛行機だろうか?」
「レーダー断面積から判断すると・・・戦闘機もしくは小型から中型のビジネスジェットですかね」
「よし、上げろ」
アラートハンガーに警報が響き、佐藤とコルチャックが愛機へと走った。F-15CにはサイドワインダーとAMRAAM、Su-27SKMにはR-77とR-27が2発ずつと増槽が一つずつ搭載されていた。勿論、機関砲はフル装填されている。夕闇の中を2機の戦闘機がアフターバーナーを輝かせながら正体不明の飛行機に向かって行った。