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ディエゴガルシア島 4月15日 1631時
「どうした?」ニュースを見ていたコガワにカジンスキーが言った。
「キナ臭くなってきた。アゼルバイジャンの油田と飛行場が攻撃された。政府はイランの仕業だと非難しているが、当のイラン政府は否定している」
「イランがアゼルバイジャンを攻撃する意味なんてあるのか?」
「さあな?カスピ海の利権がらみでまた揉め始めたか?」
「ニコライに聞いてみるか」しかしそれを聞いていたコルチャックが話に割り込むと、「ヨーロッパ側とカフカスの辺りは事情が違う。ウクライナとかと一緒に考えないでくれ」と一蹴した。
「ただ、あの辺でこれだけの攻撃ができる国はロシアとイランくらいじゃないのか?」とコガワ。
「そうだ」
「おまけに軍の飛行場まで攻撃するとは・・・・」
しかし、ニュース映像の音声から変な単語が聞こえた。
「ん?無人機・・・・?」
「情報はもう手に入っている。無人機の正体はタラニスだそうだ」スタンリーがオペレーションルームにいた佐藤に話しかけた。
「しかし、どうしてタラニスがあんなところに。イギリス政府がUCAVを簡単に外国への持ち出しを許可するとは思えません」
「ああ、確かにな。ただ、技術者がブラックマーケットに設計図または機体そのものを横流しした可能性がある」
「入手経路は恐らくそれでしょう。今ではデザートイーグルからトマホークまでもコネと金次第で個人が買うことができますからね。AMAZONやE-Bayで爆撃機や潜水艦も売っている世の中ですから」
「軍縮で超大国。特にロシアや中国、インドが戦車でも戦闘機でも軍艦でも売りまくったからな。当時はかなり混乱していたから、PMCに渡ったのかもテロリストが手に入れたのかもわかっていない」
「さすがに核兵器は複数の国連調査会の立ち会いの下で廃棄されましたが、化学兵器と生物兵器は・・・・」
「当時の混乱で十分な調査はできていなかった。もちろん、通常兵器は言うに及ばずだ」
「我々が手に入れた軍用機などはアメリカ政府、オーストラリア政府、ベラルーシ政府と正式な契約で手に入れたものですが、そうやって合法的な手続きを踏んだPMCはむしろ少数派です」
「そうだ。そして闇市には未だに違法な兵器がごまんと転がっている」
「我々の出番はありそうでしょうか?」
「さあな。わからんよ」そう言ってスタンリーは自室へと帰っていった。




