「うちの息子に掃除をさせるな」
久々の投稿です。(まだ2話目なのに…)
TRRRR…
(きた!)
荒巻は電話を受け取ろうとしている清水さんの方に視線をむける。
この電話は恐らくOM課からつなげられたクレームだろう。
ガチャ
「お電話かわりました、これから担当を務めさせていただきます、清水です。」
「あ、どうも。よろしくお願いしますわ。私、室川と申します」
清水さんが自分らの方をみて、小さくうなずく。これはおそらく、電話相手がクレーマーであるという合図だろう。
ゴクリ…
初めてという事でつい緊張してしまう。
周りのみなさんも少し顔がこわばっている。でも、その中でとりわけ緊張しているのは間違いなく自分だろう。
「こんにちは、室川さん。本日はどういったご用件で?」
清水さんがたずねる。明るい声だ。この声を聞いて悪印象を持つ事はまず無いだろう。
「うほん、あのですね。私の息子の事なんですがね」
「はい、息子さんがどうかされましたか?」
「どうして、私の子は周りと同等に扱われるのですか?」
「え。それはどういうことでしょうか?」
清水さんがとても驚いた表情をみせた。
室内にさらに緊張がはしる。
(いったい、どんなクレームなんだ…?)
「あなた、そんなのも分からないの?だから、例えばね、なぜ学校で私の息子に掃除をさせるのか?って言いたいの。」
「学校の掃除をさせるな…ですか?」
清水さんが問い返す。
それを聞いた荒巻は驚愕した。
(息子に掃除をさせるな?何を考えてるんだこの親は… 親バカなのか?)