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結成!OM課特別班

○○市。

ここは××県の東に位置する人口100万人の都市だ。

この市役所で俺、荒巻大和(あらまきやまと)は働いている。オンブズマンとして。


みなさんはオンブズマンというのを聞いた事があるのだろうか?

オンブズマンとはその地域の行政に対する苦情や申し立てを処理して、問題の解決にあたる人の事をさす。

ここ、○○市は住民の信頼を得るためにオンブズマン制度を導入し、役所内にOM(オンブズマン)課というものを設置している。

そのため住民の評価は高く、前年住みたい都市ランキング3位になった。

しかし一部の住民はオンブズマン制度というものを勘違いし、行政に全く関係のない文句や申し立てをしてくる。

そう、これが俗にいうクレームだ。

荒巻らOM課はこのようなクレーマーに困り果てていた。

最近のクレームで言えば、「マンションの上の階に住む赤ちゃんの泣き声が夜になってもうるさいからどうにかしてくれ」というものや「自分の家の近くにスーパーがないから、スーパーを作ってくれ」などと散々だ。

このように全く手に負えないようなものがどんどん電話でかかってくる。

それが原因で仕事が全く進まず、本来の苦情をなかなか対応できずにいた。

「あぁ、仕事が全く進まねえよ」

そうぼやいている時、突然市長室に呼ばれた。

市長室に呼ばれていたのは自分だけではなかった。他に呼ばれていたのは同じOM課の清水健介(しみずけんすけ)さん、円山知佳(まるやまちか)さん、そして、別の課から石田達也(いしだたつや)さん、谷岡紗江(たにおかさえ)さんら4人だった。

「よく来てくれたね」

茶色の天然革でできた椅子から立ち上がりながら市長が話しはじめた。

「今回君たちに集まってもらったのは、この○○市役所に新しく特別班を設けるためだ」

「特別班!?」

つい声に出しそうになったがなんとか抑えた。

「OM課から要望があったんだ。OM課の清水、荒巻、円山なら心当たりがあるんじゃないのか?」

ま、まさか…

「みんな気づいたようだね。特別班には今、問題になってる悪質なクレームの対応を行ってもらう。OM課の第2班ってとこかな。わかるか?」

「は、はい…」

荒巻は小さく返事をした。

ま、まずいぞ。

(マイ面倒仕事ランキングでダントツトップになるぞ、こりゃ…)

「話はこれだけだ。 っとあぁそうそう。OM課のすぐ隣にあった空き部屋にデスク等々準備してるから、そこを使ってくれ」




特別班の5人は早速荷物の移動にあたった。

荒巻は余計なものが無かったせいかすぐに終わった。

5人全員が移動を終え、席についた。

まずは役割分担からだ。

まず班長はこの中で一番年上で荒巻のOM課での先輩だった清水さんに決まった。

清水さんはとてもしっかりしていて、いつも丁寧に優しく接してくれる。荒巻が最も信頼できる人だった。

役割分担と言っても、決まったのはこれだけだった。

いや、決める事がこれだけだった。


次に自己紹介をしていった。

まずは班長の清水さんからだ。

さっき言ったとおり、47歳1番年上でOM課20年のベテランだ。一番の取り柄は目がいつまでたってもいいという事らしい。どうやら健康でいるためにやりたいと思った事はなんでもしているからだとか…

「心の健康は体の健康だよ。はははは」

そう笑った。

次に円山さんが話しはじめた。

円山さんはまだ3年目の新人でとてもおとなしい性格だった。

同じOM課にいたが、ほとんど話したことがなかった。

「趣味も特技もありませんがよろしくお願いします」

そう言って締めた。

「次は俺ですかね?」

そう言ったのは石田という青年だった。

今年からの新人でまだ21歳という若さで体格はシュッとしている。

「元気が売りですっ!よろしくお願いします!」

と言われなくても分かるわってくらい終始元気だった。

最後は谷岡さん。

荒巻の一つか二つぐらい年上で、彼女に言葉を当てはめるとしたら「冷静沈着」がぴったりな人だった。

「趣味は、いえ特技はパソコンキーのブラインドタッチです……私は…」

(おお、ザ・インテリじゃねぇか)

心の中で思った。

全員が自己紹介を終えた所で、清水さんが言った。

「さあ、みんな。これから大変かもしれないけど頑張っていこう!」

(どうなるんだろ、俺?)









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