表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で家政婦  作者: 時間旅行
第1章
1/4

異世界召還(異世界召還)

朝起きて、ボーっとしたままテレビを見ていたはずなのに

気付いたら、目の前には大きな蛙・・違う、太った人間がいました。


私の格好は上はスウェット、下はジャージの寝巻き姿。

目の前の太った男性の姿は、黒いとんがり帽子と黒いマント。

一瞬、どこかのコスプレ会場に来てしまったのかと思ったけれど、家を出た覚えはない。

ならば、家に不法侵入されたのかと思ったのだけれど、視線を回りに移すと

床も壁も石造り、光は部屋の端っこにある松明のみ。明らかに私の部屋ではなかった。


ひとつだけある窓に視線を向けると、先ほどまで日が差し始めたばかりの朝だったはずなのに

暗い空に月が一つ浮かんでいる。どう見ても、夜だった。

しかも、なぜか月の色は青。おかしい。



目の前の太った男性に聞いてみようと口を開いたが

男性が話し始めるほうが先でした。


「俺は天才だーーーーーーーーーーーー!!!!」


男はこちらを見て、さらに叫ぶ。


「ざまあみろ!お前らに恨みはないが、日ごろの恨み、晴らさせてもらうからな!

はっはっはっははははーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」


と高笑いしたと思ったら、そのまま後ろへ倒れた。


ばたんっ。


そして、そのまま起き上がることはなかった。


『なんだ、何が起こっている。この男は何だ?』

後ろから声が聞こえたので振り返ってみると、3人の女性がいた。

先ほど声を出したのは、金髪ロング・赤目のきれいな細身の女性。

でも、彼女が何て言ったのか、私にはさっぱり分からない。


すると、別の女性が声を上げる。

【あなた、それ何語!?なんて言ったの?】

この女性は銀髪・緑目の少女。

元は可愛いのだろうけれど、薄汚れた格好をしている。

銀髪の少女も何を言っているのか分からない。

他の人もお互いに何を言っているのか分からないらしい。

銀髪の少女がしきりに首をかしげ、何かを叫びながらこちらに訴えてくる。


私は最後の一人に視線を向ける。

腰まであるウェーブがかかった亜麻色の髪・琥珀色の瞳の女性。

彼女は何かを考えているのか、顎に手を当てたまま、床を睨み付けている。

彼女の視線を追って私も床に目を向けてみると、そこには意味の分からない絵や文字?が

私たち4人の足元にビッシリと書き込まれていた。


金髪ロングの女性は30代半ば、銀髪少女は10代半ば

そして、このウェーブがかかった亜麻色の髪の女性は私と同じ25歳ぐらいに見える。


亜麻色の髪の女性は私たちを見渡すと困ったような顔をした。


「私の言っていることなら分かるよね?」


私たち3人は亜麻色の髪の女性に驚いた視線を向ける。


「私達、理由は分からないけど。この男に召還されたみたい。」


寝ている男を指差した後。

彼女は窓の外を見て、申し訳なさそうな顔をする。


「きっと、元の場所にはもう戻してあげられない。」


金髪ロングの女性は眉をよせ、銀髪少女は何かを早口で嘆いていた。

私は窓の外の月を見て、首をかしげる。


さっき見たときは1つだった青い月が、少し位置がずれたため見えてきたのか、月は2つになっていた。

手前は青、後ろは緑色の月。



***********



「私の名前は、ササキ カナです。・・言葉、分かりますか?」

周りを見渡すと、3人の女性は頷いてる。

私は右手の人差し指に嵌った指輪を見る。

先ほど、亜麻色の髪の女性に貰った指輪だ。

この指輪は魔法が閉じ込めてあるらしく、魔法を使えない人でも

簡単な魔法なら使うことのできるプチアイテムらしい。

このプチアイテムで言葉が通じなくても、意志の疎通が出来るようになった。

強く思いを乗せて話すと、言葉が通じるようになる。

もの凄く便利。


他の2人もこの指輪をはめたので、言っていることが分かるようになった。


銀髪の少女が自己紹介をする。

「私はサニー。ねえ、これからどうなるの。まさか売られたり!?」

亜麻色の髪の女性がサニーの肩に手を乗せ、落ち着かせるように少し微笑む。

「私の名前はサディ・ソート・レルナ。一応、この国では魔術師をしているの。

非道なことはさせないようにするから、大丈夫よ。」

その言葉に少し安心したのか、銀髪少女、サニーは一つ息を吐く。


「あなたでは、私達を元の場所へ戻すことは出来ないのか?」

金髪ロングの女性は、亜麻色の髪の女性、レルナに詰め寄る。

レルナは首を振る。

「この男はこう見えても、この国一番の魔法陣の使い手なの。

1000年に1度、月が重なるとき、私達の魔力は普段の100倍に膨らむのだけど

この男はそれを利用して、この途方もない魔法を成功させたのよ。

倒れたのは、魔力を使い切ったためね。」


金髪ロングの女性は男の脇に立つ。


「では、この男をたたき起こして、また魔法を使わせればいいんじゃないのか。」


レルナは首を振り。

窓の外の2つの月を指す。


「月が次に重なるのは1000年後よ。普段の状態では、成功できるような魔法じゃないの。

でもこんな魔法、100倍に膨らんだって誰も出来はしないわ。

バカな男だけど、さすがとしか言いようがない。」


レルナは尊敬するまなざしを男に向ける。


銀髪の少女、サニーは眉を寄せ、亜麻色の髪の女性、レルナに疑問をぶつける。

「レルナより、凄い魔法使いなの?

さっき非道なことはさせないって言ったけど、本当に出来るの?逆にやられるんじゃないの?」


レルナは大丈夫、と微笑む。


「この男、攻撃魔法は一切出来ないから。戦いなら、私でも勝てるわ。」

サニーは胸をなでおろす。

「ならいいけど。」


私は、ひとつあるドアを指差して、レルナに尋ねる。

「この男が寝ている隙に、逃げませんか。」

レルナは首を振る。

「この部屋はこの男の作業場なの。

作業場の部屋は持ち主しか開けられないように、ドアには特殊な魔法がかけてあるはず。」


その言い方に、ふと疑問がわく。

「・・・あなたは、この男の人と知り合いですか?」


亜麻色の髪の女性は一つため息をつく。

「家が隣なの。嫌だけど、幼馴染ってやつ。」


それを聞いて、少し安心した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ