来世でも必ず見つけ出すと約束した彼女が人妻になってた
「来世でも必ず君を見つけ出すから……」
涙を流しながら俺の手を取る恋人の洋子(ようこ)にそう告げて息を引き取った。
「つー訳で! バイト代と夏休みを使って洋子を探してくる!」
「ふーん」
十七年後、生まれ変わった俺は教室で幼馴染みの舞(まい)にそう宣言した。
俺には前世の記憶がある。再会を誓った洋子のこともバッチリ覚えている。
「まずは俺と洋子が住んでた県に行って……」
「それ、ウチもついてく」
舞が唐突なことを言い出した。
「え、なんで?」
「力也(りきや)一人じゃ心配だから」
舞はギャルギャルしいのに案外真面目っていうか世話焼きなんだよな……。俺が前世の話しても唯一馬鹿にせずに信じてくれてる。
まあ、言い方はアレだが、気持ちはありがたく受け取ろう。
「いいけど……お金は?」
「あんたと同じコンビニでバイトしてんだろうが」
汗水垂らして働いたお金を俺の為に使うなんて……変わったな奴だ。
「じゃあ、決行日は……」
そうして俺と舞は夏休みの計画を立てた。
夏休み。電車を乗り継いで最初の目的地にやって来た。
「うーん、変わったような、そんな変わってないような……」
キョロキョロと辺りを見回しながら歩いていると、俺は見つけた。
「洋子……」
年を重ねていたがすぐにわかった、洋子だ。俺は駆け出そうとした。
「洋……!」
「ママー、お菓子買ってー」
「……ママ?」
洋子に向かってそう話しかける男の子に俺は足を止めた。
ママ? ママって言った?
「駄目よ。ご飯が入らなくなっちゃうから」
洋子は男の子に優しく声をかける。
「じゃあ、パパが買ってあげよう!」
洋子の隣にいた男性が言った。
「ちょっとパパ、甘やかしちゃいけないわよ」
パパ? パパって言った? あ、もしかしてご結婚されて……?
俺との誓いはなんだったんだ……。
「じゃあ、小さいの一つだけよ」
「やったー!」
「パパとママとわけっこしようか!」
「やだ! ボクのだもーん!」
「ええー……」
「ふふっ」
でも……幸せそうだからいいか。
「ちょっと、急に立ち止まってどーしたの?」
舞が話しかけてくる。
「洋子、いたんだけど、人妻になってた」
「あー……」
舞は気まずそうな顔をする。
「で、でもさ、力也のことずっと好きな奴はいるよ!」
「え、誰?」
舞は顔を赤らめて自分を指差す。
「こいつでいいなら……」
俺も顔を赤くした。
「えっと……俺もこんな奴でいいなら……」
「力也がそんな奴なのは昔から知ってる……」
「そっか……」
俺達は付き合うことにして、夏休みの計画とバイト代は舞との思い出作りに変えた。
俺も洋子も、別々の道を歩いていくことにした。
でも、幸せならそれでいい。そう思った。




