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WHY?  作者: ハル


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ロイ編

第1章:選ぶ者と避ける者

空は澄み渡り、雲ひとつない青さを広げていた。

けれど街の空気は、決して清々しいとは言えなかった。

通りを歩く人々の表情には、微妙な緊張が漂っている。

誰もが自分で選び、迷い、時には傷つく自由を手に入れた。

だが、混乱はまだ収まらず、秩序は不安定だった。

ロイは背筋を伸ばして歩く。

拳を握ると、自然と指先に力がこもる。短気な性格は、こういう混乱を目の当たりにすると止まらなくなる。

だが、今日は違う。今日は、“自分の安全を最優先”にする日だ。

路地の奥で、異様な光景を目にする。

大人たちが難民や行き場を失った人々を整理している。

無言で、冷静に、そして徹底的に。

誰も声を上げず、ただ秩序を取り戻すための作業を続けていた。

(……あいつら、どうしてこんなことを……)

胸がざわつく。怒りがこみ上げる。

短気な自分なら、拳を振り下ろすところだ。

だが、ロイは歩みを止めず、背を向ける。

「……ここは、俺の戦場じゃない」

自分の身を守るため、混乱から距離を置く。

それが彼なりの選択だった。

目の前の正義は、自由の混沌は、まだ理解できない。

理解する必要もない。今日のロイは、自分の安全を選んだのだ。

歩きながら思う。

自由って、こんなに怖いものなのか。

街のざわめき、警告のように鳴るサイレン、議論する人々の声。

すべてが、彼の胸に刺さる。

そのとき、小さな騒ぎが視界の隅に入った。

喧嘩腰の少年たちが、狭い路地で言い争っている。

ロイの短気な心が反応する。

「……またか」

拳がわずかに動く。だが、今回は押しとどめる。

目の前の混乱に飛び込めば、自分も巻き込まれる。

安全を選ぶ判断が、彼を止めた。

歩道を抜け、広場に出る。

人々が自由に選び、悩み、笑い、怒る姿。

混沌と秩序が入り混じる世界。

(……これが、俺たちの時代か)

ロイは空を見上げた。青空の向こうには、過去の英雄たちの影も、反乱の残骸もない。

あるのは、自分たちが選ぶしかない世界。

自由は怖く、混乱は日常。

でも、生きるためには、安全と自由、どちらも向き合わなければならない。

拳を握りしめ、ロイは歩き出す。

短気で、衝動的で、でも理性を少し持ち合わせた少年の歩みが、静かに街のざわめきに混ざっていった。

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