表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
WHY?  作者: ハル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/49

第9章:秩序の裏側

第9章:秩序の裏側

街は再建の兆しを見せつつあった。瓦礫は片付けられ、民は避難所から少しずつ戻ってきた。だが、表面の秩序の下では、腐敗と矛盾がうごめいている。

カレンは夜の路地を歩きながら、街灯に映る自分の影を見つめる。

(守る……だけじゃ、何も変わらない)

自由派も安全派も、民も、誰も気づかない。秩序の名の下で、人々は選択の自由を失い、無言で従う。昨夜守った民も、知らず知らずのうちに管理の枠の中に押し込まれている。

「……これじゃ、ユリウスと変わらない」

小さく呟く声は、自分に向けられた独り言のようだった。

その夜、カレンは隠された倉庫に足を運ぶ。

そこには、S計画の残骸と、かつてALが分析していた膨大なデータが眠っている。補助AIは衰えているが、まだ動く。

「……使おう。民を守るために、今度は私が秩序を揺さぶる」

カレンの手は冷たい。理性と感情の境界線が溶けるように、決断が頭の中で研ぎ澄まされる。

(恐怖を生まず、守る方法……いや、もう守るだけじゃ足りない。変えないと、誰も自由になれない)

翌日、都市の中心で混乱が始まる。

路地の暴徒は、今度は秩序を守る側の安全派兵士に向かって叫ぶ。

カレンは遠くから観察する。

瓦礫が跳ね、破片が飛び散る。火炎瓶や銃声の緊張感が、夜よりも濃く街を覆う。

だが、彼女の心は冷静だった。

「……ユリウスは力で守った。私は秩序を揺さぶる」

その瞬間、補助AIが警告を発する。

「カレン、被害拡大の可能性。民が巻き込まれる」

だが彼女は止まらない。

「……大丈夫、最小限にする」

攻撃は計算されていた。瓦礫で通路を封鎖し、兵士たちの進行を遅らせる。銃火が飛び交う中、民を巻き込まない角度や距離を瞬時に計算する。

自由派の残党が駆け寄る。

「……カレン、何をやってる!?」

「民を守るためよ。でも、今度は恐怖じゃなく、秩序を揺さぶる。彼らに選択を返す」

瓦礫の中で、カレンの影は長く、冷たく、そして孤独に伸びる。

彼女はもはや安全派でも自由派でもない。民の自由を取り戻すため、自ら秩序の壁を打ち壊す者――それが新しい“守り方”だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ