第6章:揺れる信念
第6章:揺れる信念
朝日が街の廃墟に淡く差し込む。
瓦礫に覆われた道路、焦げた看板、割れた窓――前夜の戦闘の爪痕が残っている。
カレンは屋上に立ち、街の様子を見渡した。ALが端末で分析する民の避難状況、残存勢力の動きを示す。
(まだ……完全には安全じゃない)
心の中でつぶやき、拳を握る。
路地の一角、自由派と安全派が再び衝突していた。
自由派:「力で守る奴は結局人を支配する! 民の意思を奪うな!」
安全派:「秩序を守らなければ誰も生き残れない! 従え!」
二つの正義が激しくぶつかる。その間に、民が怯え、瓦礫や小火器が飛び散る。
カレンはALのデータを確認しながら、民を安全な方向へ誘導する。
(ユリウスのやり方も正しい……でも、私は恐怖を生まず守る)
突如、自由派の一部が突撃してくる。
カレンは反応速度を研ぎ澄まし、障害物を盾にしつつ刃で攻撃を弾く。
鉄パイプが飛び、瓦礫が跳ね、火花と破片が宙を舞う。
カレンの刃が腕に触れ、赤い血が滲む。
「……痛い。でも止める」
身体の痛みを押さえつつ、民の安全を優先する。
ALが解析する。
「残存暴徒:15、民避難完了率:92%、安全派兵士損耗率:12%」
数字は冷たく正確に現状を示す。
だがカレンにはそれだけでは足りない。
(守るだけじゃ……民は安心できない)
自由派のリーダーが近づく。
「お前……ユリウスの思想を受け継いだか? でも違うな、やり方が……」
悔しさと尊敬が混ざった目がカレンを見つめる。
カレンは短く頷く。
「力だけじゃ守れない。恐怖を生まず、民を守る方法を選ぶ」
自由派のリーダーは口を閉ざし、民を見渡す。
瓦礫と血の匂いが漂う路地で、カレンは冷静に判断を続けた。
(正しい守り方は一つじゃない……でも、私は譲れない)
その視線の先には、まだ不安と混乱に震える民がいる。
カレンは息を整え、再び歩き出した。
戦いは一瞬終わった――しかし、思想の衝突は次の段階へと進もうとしていた。




