第4章:夜明け前の衝突
第4章:夜明け前の衝突
街の端、H通り――瓦礫と火の粉がまだ残る場所で、カレンは端末を確認した。
ALの解析が淡い光を放ち、通りの混乱状況を示す。
「残存暴徒14、民避難完了9。迂回経路はI通り、速度確保」
だが、路地の先には「自由派」と「安全派」の小規模衝突が起きていた。
自由派の民衆は、秩序を押し付ける力に反発し、火炎瓶や即席の武器で道路を封鎖する。
安全派は軍用装備や盾で彼らを制圧しようとし、互いに衝突の火花を散らしていた。
カレンは深く息をつき、判断を瞬時に決める。
(ユリウスは力で守る。でも私は――最小の犠牲で、民を守る)
彼女は短剣を抜き、瓦礫に反射させるように飛び上がる。
空中で刃を振り下ろし、自由派の突進を弾く。金属の衝突音が夜に響く。
ドローンが群れ飛び、赤外線センサーで暴徒の動きを解析。ALの指示でカレンはドローンに手をかざし、光点の位置を把握する。
「左通路、制圧可能。迂回経路を確保」
火炎瓶が飛び、瓦礫が跳ねる。民は恐怖で固まる。カレンは迷わず手を伸ばし、民を背後に引く。
刃が当たり、血が飛ぶ。だが致命傷は避ける。
彼女の動きは正確で無駄がない。
「逃げろ、絶対に逃げろ!」
カレンの声が路地の混乱を貫き、民は振り返らず安全な通路へと誘導される。
戦闘の最中、ALの光が点滅する。
「安全派兵士、損耗10%。自由派、抑止率75%。民の迂回率85%」
数字だけが正確に示す冷たい現実。
カレンは血の匂いを嗅ぎながら、息を整える。
(犠牲は出させない――でも、完全に無傷にはできない)
突如、自由派のリーダーが火炎瓶を投げ、壁際の民に迫る。
カレンは刃で角度を変え、瓶は壁にぶつかり爆発。炎が跳ねる。
民の髪に火の粉がかかる。悲鳴が夜を裂く。
「危ない!」
カレンは素早く民を押し倒し、炎から守る。
民は震えながらも無事。だが周囲には飛び散った血と火花が残る。
戦いが落ち着くと、カレンは屋上に戻る。
街の明かりは遠くに瞬き、煙が空を染めていた。
ALが解析を続ける。
「残存暴徒3、民避難完了率90%」
カレンは端末を握りしめ、深呼吸する。
(ユリウスは力で守る。それも正しい。
でも私は、恐怖を生まず守る方法を選ぶ――犠牲を最小に、でも誰も見捨てない)
夜風が吹き、影は路地に長く伸びた。
血と炎の匂いが残る街で、カレンの決意は揺るがない。




