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WHY?  作者: ハル


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第3章:迷路の攻防

第3章:迷路の攻防

街は静まり返っていたはずなのに、路地の奥ではまだ混乱が残っていた。

倒れた自転車、破れた看板、散乱する瓦礫。カレンは息を整え、端末を握りしめる。ALが光の粒子のように情報を解析し、次の動きを示していた。

「残り暴徒7。民4人、H通りで混雑。迂回経路を確保せよ」

カレンは深呼吸して夜の闇に溶ける。

(私はユリウスじゃない……力だけじゃ守れない。恐怖を生まずに守る方法がある)

路地を進むと、暴徒の一群が突如現れた。

一人が棒を振り上げ、もう一人は石を投げる。瓦礫が飛び、破片がカレンの肩をかすめた。

「避けろ!」

カレンは瞬間的に足を跳ねさせ、壁に蹴りを入れつつ横に飛ぶ。

弾かれたゴミ箱が暴徒に当たり、思わず一人がバランスを崩す。

ALが端末越しに解析音声を流す。

「左前方2m、障害物を利用可能。右側通路は封鎖、迂回せよ」

カレンは瞬時に判断し、壁を蹴って斜め方向に飛ぶ。

突進してきた暴徒の刃先が空を切る。血が地面に跳ねる。致命傷ではないが、彼女の行動は明確に戦局を制御していた。

民は恐怖に震えながらもALの指示に従い、狭い路地を安全に抜ける。

カレンは暴徒たちを通路ごと誘導し、逃げ道を完全に確保する。

一瞬の静寂。だが背後には別の暴徒が待ち構えていた。

「こいつ、どうやって逃がした……?」

小さくつぶやく声。カレンは無言で端末を確認。ALが解析する。

「左側障害物を破壊して、制圧可能」

彼女は瓦礫を蹴り上げ、暴徒の前に障害物を作る。飛び散った破片が暴徒の視界を遮り、攻撃のタイミングを狂わせる。

「これで終わりじゃない……」

声には迷いはない。

路地の出口まで民を誘導し終え、カレンは深く息を吐く。

(ユリウスは力で守る。でも私は……恐怖を最小限に抑えて守る。道具も、仲間も、計算も――すべて使う)

背後で瓦礫が小さく崩れ、夜風が冷たく頬を撫でる。

ALが解析音声を流す。

「民全員避難完了。残存暴徒は3。次の標的はI通り」

カレンは端末を握りしめたまま、再び影の中に消える。

孤独で緊張の連続。だが、彼女の信念だけは揺るがない。

(誰も、傷つけさせない――そのためなら、私は何度でも立ち向かう)

闇に伸びる影は長く、路地の迷路の中で、唯一揺るがぬ灯火のように輝いていた。

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