第16章:血と戦略の夜 ― 完全決着
第16章:血と戦略の夜 ― 完全決着
夜空に稲妻のような光が走る。
市街地は混乱の渦に包まれ、自由派と安全派の敵対勢力が互いに衝突していた。
建物の壁は割れ、窓ガラスは粉々になり、街灯はちらついている。
ユリウスは屋上から全体を見渡す。
「――ここで止める……誰も、もう傷つけさせない」
手元の端末には、暴徒の位置、残党たちの展開、民間人の避難ルートが表示される。
戦闘はすでに限界に達していた。
◆1. 血の代償
自由派の武装集団が、建物の陰から突進してきた。
ユリウスは拳を振るう。
その瞬間、敵のひとりが肩を切りつけられ、鮮血が夜空に飛び散る。
「――くっ!」
痛みと恐怖の声が響くが、ユリウスは止まらない。
致命傷は与えず、戦闘力を無力化することを最優先する。
しかし、破片や瓦礫が民間人に飛び、数名が軽傷を負う。
彼の目に、初めて“守る力の限界”が映る。
「……やれる、やれるんだ……でも、足りない」
背筋に冷たい汗が流れる。
力の暴走ではなく、計算しつつも避けられぬ代償――それが、ユリウスの戦いを一層過酷にする。
◆2. 敵勢力の戦略
自由派は都市の狭い路地を利用し、ユリウスを挟み込むように攻撃してくる。
安全派も混乱を抑えようとするが、戦闘に巻き込まれた民間人が増える。
双方は次第に協力ではなく対立し、街は文字通り“戦場”となる。
ユリウスは冷静に観察する。
敵同士の衝突を利用し、民間人の安全を確保しながら戦力を削ぐ。
「誰も死なせない……それが、俺の戦術だ」
彼の動きは正確で無駄がない。
しかし、肉体は限界に近く、拳を振るうたびに血が滴る傷が増える。
◆3. ジャスパーの補助
ジャスパーはユリウスの背後で指示を出す。
「左の路地、爆発物がある! 民間人を誘導!」
ユリウスは瞬時に軌道を変え、瓦礫を盾に民間人を守る。
数秒の判断ミスが命取りになる。
彼の全神経が集中し、戦場の血と破壊の中で冷静さを失わない。
この戦いで、ユリウスの力は単なる暴力ではなく、制御された“守る力”であることが証明される。
◆4. クライマックス
自由派・安全派双方のリーダーが正面に現れる。
互いに攻撃を仕掛けるが、ユリウスは中間に立ち、戦力を分断し、衝突の最小化を狙う。
拳が飛び、銃撃が飛び交う。
血しぶきが路面に散り、瓦礫が飛び、民間人は屋内に避難する。
ユリウスは最小限の力で、敵を無力化していく。
そして最後、両勢力のリーダーが倒れる。
市街地に静寂が訪れた。
瓦礫の山と血の匂いの中、民間人が恐る恐る顔を出す。
ユリウスは深く息をつく。
「……終わった……」
◆5. 余波と覚醒の代償
街の灯りが揺れ、破壊された建物から煙が立ち上る。
民間人に怪我は出たが、死者はゼロ。
ユリウスの制御力が功を奏した結果だった。
だが、彼の体は限界を超えていた。
血だらけの傷、裂けた筋肉、裂けそうな関節――
それでも立ち上がる。
「守る……これからも……」
ジャスパーは傍で静かに頷く。
「力だけじゃ守れない。
でも、君なら、制御できる……」
ユリウスはその言葉を胸に刻み、血と破壊の夜を背に、新たな戦いへの覚悟を固める。




