表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
WHY?  作者: ハル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/49

第2章:夜闇の決断

第2章:夜闇の決断

夜の街は、昼間の喧騒を忘れたかのように静まり返っていた。

街灯がまばらに並び、歩道には長く影が伸びる。遠くのビルの窓から漏れる光が、霧がかった空気にぼんやりと揺れていた。

ユリウスはビルの屋上に立ち、下を見下ろす。

路地裏には、人々の生活音も、車のエンジン音もほとんど届かない。だが、その静けさが彼の胸をざわつかせる。

(静かすぎる……動かねば、誰も助けられない)

手には小型の端末。画面には、暴徒が集まる地点や、混乱している地区の情報が表示されている。

ユリウスは深く息を吸い、拳を握った。

「行く……止めるんだ」

最初の標的は、駅前広場に群がる暴徒たち。

彼らは無秩序に買い物カートを押し、叫び、誰かを押しのけていた。

ユリウスは屋上から飛び降り、闇に紛れながら路地を駆け抜ける。

足音と衣擦れの音だけが、夜に反響した。

「……逃げろ!」

彼の声が、暴徒たちの背後から響く。

彼らは一瞬、動きを止め、振り返る。

その隙にユリウスは割れるガラスの音を鳴らす壁際に手を置き、障害物を押し出して通路を封鎖。

血の匂いが混ざるわずかな怪我もあったが、ユリウスの視界の中心は“人を傷つけさせない”一点だけだった。

暴徒の一人がユリウスに向かって突進してきた。

拳が飛ぶ――彼は相手を致命傷ではなく、転ばせる程度に制止する。

「逃げろ!」

ユリウスの叫びに、周囲の人々は慌てて道を譲る。

破壊されたゴミ箱や飛び散る看板の音が、夜の静けさを裂いた。

戦いが落ち着いた後、ユリウスは背後の残党に目を向けた。

「……見たか? 俺のやり方だ」

残党は首を振る。だが、その目には一瞬の尊敬と恐怖が混ざっていた。

「……俺たちは、そこまでできない」

ユリウスは小さく笑う。

「構わない。俺は俺のやり方でやる」

夜風が吹き抜ける屋上で、ユリウスは深呼吸をする。

街の明かりは遠くに瞬き、混乱の影を静かに映し出す。

(誰かを傷つけさせない――そのためなら、俺は……どんな夜でも立ち向かう)

闇の中、彼の影は長く、孤独に伸びた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ