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WHY?  作者: ハル


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ユリウス編 第1章:黎明の歪み

第1章:黎明の歪み

街は夕暮れに沈み、赤みを帯びた光がビルの谷間を染めていた。

大人たちは忙しなく行き交い、子供たちは無邪気に笑っている――その光景に、ユリウスの胸はざわついた。

(こんな世界……変えなきゃ、何も変わらない)

彼の目には、昨日まで見ていた「理不尽」が鮮明に浮かんでいた。

駅前で怒鳴る大人たち、理不尽に耐える店員、何もできずに立ち尽くす人々。

ユリウスは拳を握り締めた。

「俺が……やらなきゃ」

路地を曲がると、FREEDOMの残党が動いているのが見えた。

かつて自由を求めて戦った者たち。今は隠れ、力を温存している。

彼らの背中には警戒と疲労が混ざっていた。

「……お前らか」

ユリウスは静かに声をかけた。

「……誰だ、お前」

一人の残党が振り向く。武器はあるが、まだ攻撃はしない。

「戦わないと何も変わらない――そう思ったから、来た」

その目にはロイの思想の残滓が宿っていた。

守るべきもののために、躊躇なく理不尽に立ち向かう覚悟。

突然、街角から暴徒の叫び声が響く。

商店街で大人たちが喧嘩を始め、無関係な人々が巻き込まれようとしていた。

ユリウスは瞬時に状況を判断する。

(ここで止める……誰も傷つけさせない)

彼は駆け出す。

残党たちも反応し、手にした道具や武器を構える。

ただし、敵ではない。ユリウスは意思を示すだけで、戦う相手は“理不尽そのもの”だ。

拳が壁に当たる音、足音が廊下に響く。

ユリウスは人々を押しのけながら前に進む。

怒りも恐怖もない。あるのは「止める」という一点のみ。

「逃げろ! 巻き込まれるな!」

彼の声に、周囲の人々は驚き、暴徒は一瞬躊躇する。

ユリウスはその隙に、危険を排除していく。

拳が飛ぶ――だが、血はつかない。

“排除”するだけの冷徹さ。

戦いが一段落すると、ユリウスは息を整え、背後の残党に目を向けた。

「……どうだ? 一緒に来るか?」

「……俺たちは……お前みたいにはなれない」

残党は首を振る。だがその目は、少しだけ彼を認めていた。

ユリウスは頷く。

「構わない。俺は俺のやり方でやる」

その瞬間、彼の胸の奥で、冷たく光る柱のような意志が立った。

“守る”――ただそれだけ。

世界が理不尽に沈んでも、彼は立ち上がる。

夜。

街の明かりが遠くに瞬く。

ユリウスは高い屋根の上に立ち、深く息を吸う。

目の前にあるのは戦火ではなく、まだ守れる日常。

しかし、心の奥には小さな炎が燃えていた。

(誰かを傷つけさせない――そのためなら、俺は……何だってやる)

闇が街を包む中、彼の影は長く、細く伸びた。

ユリウスの戦いは、今、始まったばかりだった。

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