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再会

すると、仁王立ちした猫は上品に笑いながら直前に聞いた声のままハッキリと人の言葉を話した。

「そうよ、あなたの飼い猫だったリリスよ。私がいきなり喋りだして、聖南ちゃんも驚いたでしょう?」

「それもそうだけど・・・リリちゃん、あなた一度病気で亡くなったはずでしょう?それなのに、どうしてこんなところに居るの?もしかして飼い主の私の方が夢に迷い込んじゃったのかな」

聖南は自分の頬を抓ってみるが、どうやら夢ではないらしい。じんじんとした熱が頬に残っても、聖南はどこか冷静なままだった。

「安心して。ここは紛れもない現実世界よ。周辺を見渡してみても、聖南ちゃんが普段過ごしている風景と何も変わってないでしょ?」

「それはその通りだけど、だとしたらリリちゃんはどうやって現実世界までやって来たの?しかも喋れてるし・・・」

「正確には現実世界に来れてるんじゃなくて、一時的に聖南ちゃんに私の姿が見えるようになってるんだけどね。こういうのって、人間の言葉では成仏できていないって言うのかしら。私が死んだ後に一人でメソメソ泣いてる聖南ちゃんが見ていられなくてね、こうして天の上からやって来たのよ」

そんなオカルトチックな話が本当に起こり得るのだろうか。いや実際に今聖南の目の前でそのオカルトが繰り広げられているのだから信じざるを得ないのだろうが、頭をフル回転させたところで理解が追いつかない。

あまりの事態に混乱していると、目の前のリリスはニッと笑いながらそんな聖南にこう語りかけた。

「そんなに怖がらないでよ。私は聖南ちゃんにまた会えたことが素直に嬉しいのよ。私がここに居れる時間は決して長くないけど、折角再会できたんだから今夜だけでもゆっくりお話しましょう」

手を広げて得意げな様子のリリスに、ずっと元気がなかったはずの聖南も思わず吹き出した。

「それもそうだね」

聖南は体勢を整え、改めてリリスに向き直る。

「それにしても本当にびっくりした。リリちゃんって、人の言葉を喋る時はそんなお嬢様みたいな口調になるんだね」

「そうかしら?まあ、確かに聖南ちゃんに飼われている時の私は何かと弱々しい存在だったかもしれないけれど、痩せても枯れても気高い猫様だからね。今の私は病気もなくなって、ご覧の通りとても元気よ」

「うん、一目見た時からそれは分かったよ。リリちゃんの元気そうな姿が見れて私も安心した」

そう言いながら、聖南は自分の表情が翳っていくのを抑えさせなかった。

「・・・ごめんね、リリちゃん。私にもっとお金があれば、せめて私が彼氏と上手くやって心に余裕があれば、リリちゃんを救えたかもしれないのに。リリちゃんは病気で生き続けるのは苦しいかもしれないけど、それでも私は、リリちゃんにずっと生きていてほしかったの」

再び嗚咽を上げながら聖南が言葉を発すると、立ったままのリリスはその足で近寄って優しく抱きしめてくれた。

聖南がただリリスの整った毛並みの感触を確かめながらしばらく無言の時間が流れたが、やがてゆっくりとリリスが口を開く。

「もういいのよ、聖南ちゃん」

そう言い放つリリスの声は、どこか諦めたような響きだった。

「どんなにあなたが願っても、私が生き返ることはもうないもの。何より私自身、一度死んでしまったことは後悔していないしね。だから聖南ちゃんにも、悲しみを乗り越えて前を向いてほしいのよ」

そんなリリスのセリフに、聖南は涙が溢れて止まらなかった。

「リリちゃん・・・ありがとう・・・。まだ立ち直るには時間がかかるかもしれないけど、私、これからも頑張って生きていくよ」

聖南が折角の上質な毛を涙でぐしょぐしょにしても、リリスはそっと背中に回した手を離す素振りはなかった。

「それでこそ私のご主人様だわ」

それどころか聖南を優しく抱きしめてくれるリリスにまた涙が溢れたが、そんなリリスは少し声色を変えてこう提案してきた。

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