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ドローンは飛んでいく

双葉です。


びっくりしちゃったな、もう。という感じです。


港をドローンで出ているにも関わらず、海のほうに出てます。そして、河口から川を遡ってます。これは・・・ほぼ利根川確定ですね。

地形が明確に銚子という感じですから。


ということは・・・神栖ですか。あそこは・・・


「鹿島かもしれませんよ?」


まあ、港の名称としては鹿島港でしょうね。

南側でしたから、市としては神栖になるかと思います。


「ん、そうなんですね・・・地理は詳しくなくて・・・でも日が落ちてるのに、南側ってわかるんですか?」


港の中も海上でしたが、明らかにコの字方にターンしましたから・・・灯台もあれば、太平洋側に港もありましたし、川に入ってから漁港らしきものもありました。


そして、多分、利根川の一番河口にあるであろう、銚子大橋らしきものも越えましたから。


「しかし・・・低いですね。そして速いです・・・大丈夫でしょうか。これ」


彼女達が日常的に利用しているというのを信用するしかないですね。それに、道路や鉄道を橋の手前でちゃんと上昇してから下降してます。

相当なデータを入力済みなんでしょう。


「こんな機械があれば、『潜伏』とか『隠密行動』の意味が変わりますね・・・ドローンって、もっとウルサいものだと思ってました」


それには同意するしかありませんね・・・

グレー系の外装でしたし、高度が低くてもこの音なら目立ちませんね。


「川の上をモーターボートで移動するより目立たないのは確実です。船だと日没後の移動は危険なので、スピードも出せませんから・・・発見される確率は圧倒的に船より低いでしょう」


           ・・・


「あれは、高速道路と鉄道?ですか?距離が分かれば速度が推定できませんか?」


一応、総吉としては鉄道に興味ありということで、実は共通点ではあるのですが、流石に距離までは。該当しそうな鉄道路線は一本しかないので、路線名は確実なのですが・・・河口からは・・・30kmくらいだったとは思うのですが自信はないですね。


「その、銚子、利根川に入ってから速度が一定だったとした場合ですが、スマホによると10分経ってないくらいです。25kmだったとして時速150、30で180、40で240キロ以上というのが確実ですね」


航空機としては大したスピードじゃないですが、陸上交通と比較すると圧倒的ですね。ざっくり時速200だったとして、一時間で高崎か前橋の郊外に着いてしまいますね。


「群馬ですよね?そんなに近いんですか?」


部長は高崎とおっしゃってましたが、他地域の住民が高崎と前橋の区別をしない、できないのは、たぶん群馬県人あるあるなはずです。県庁所在地は前橋ですが、鉄道的には前橋はローカル線しかなくて、高崎が鉄道のハブで商業地としては高崎のほうが・・・実態は知りませんが優勢だと思います。


「ああ、隣同士でライバル意識が芽生えそうな枠組みですねwww。埼玉県人の浦和と大宮みたいですね」


今は両方ともさいたま市ですが、未だにあるんですかね?


「少なくとも去年もそういう言い合いを聞いたことがあります。大学生ですから、年配のおじさんとかじゃないですよ?」


なるほど、それではあるんでしょうね。私の出身地の岐阜も県庁所在地なのに名古屋が近すぎて商業施設などがあまり無い、というので有名ですが・・・


「私の出身地の一宮市はもっと名古屋に近いですし、面倒なので出身地を名古屋と自称するのも一般的です」


まあ、一宮では説明が面倒ですからね。わかります。岐阜でも名古屋と言う人すらいますから。


「いるんですか、そんな人」


生粋の岐阜人でなかったり、特に岐阜から名古屋に通っている学生が東京に転居した場合には多いようですよ。まぁ、地元には知り合いもいないので聞いた話ですが。美濃という出身に特にこだかりがない、ということでしょうね。


「ああ、旧国名、藩名ですか。同じく愛知でも豊橋や岡崎は絶対に名古屋と名乗らないというのも有名ですけどね。三河と尾張ってやつですね」


           ・・・


などと、プロファイルの練習もしながら、我々は利根川を遡っていった。

正直、やることはないので暇だが、川、大河の上を高速で飛ぶというのは得難い経験であるのは事実なので飽きたりはしない。


それに、地上からの発見対策だと思うのだが、ドックを出てからは、キャビン内は消灯状態だ。

なんだかんだで地上の灯りはあるので、こちらからは地上が観察できないこともない。高速道路なんてギンギンに照らされているし。


頭の中にある地形図と照らしあわせて、いまどの辺にいるのかを考えようとしたが、川の合流点、こちらから見れば上流に遡っているので分岐点になるが、それをいくつか過ぎたところでもうわからなくなった。


今は「ああ、やっぱりこっちが太いほうか。利根川本流なんだろうな」くらいの感覚だ。


しかし、この先は両側に市街地が拡がっている。眼下が全面的に明るくなってきた。


さとこさん、前橋に突入するようです。


「高崎じゃなくて前橋なんですね?わかるんですか?」


はい。利根川の流路は完璧に覚えていませんが、源流は水上(みなかみ)、文字通りの町名ですが、北の県境、新潟とのですね、のほうだったはずです。

なので消去法です。


「なにか傍証はありませんか?」


あれですね。こちらからみて、川の右側にある高い建物が群馬県庁です。150mくらいあったはずです。


「目立ちますね、あ、上昇を始めましたね」


万が一を考えてるんでしょうね。横にずれて衝突したら大変ですからね


「衝突したら・・・死にますね」


それは普通の飛行機でもヘリでも一緒です。もっとも我々には操縦の権利が与えられていませんが。


「飛行機もヘリもこのドローンも操縦できる自信はありません」


無理でしょうね。あの会社の謎な科学力を信じましょう。


「ドローンなのにスピードを落さず上昇できるのはなんででしょう?」


私に聞かれましても、というのが正直なところですが、スペシャルな何かが付いているのでしょう。


「目測で、距離は100m弱、高さは30mほど確保していた感じでしたね。すかさず降りはじめましたが」


さとこさんの目測は信頼できますからね。下のほうを見ていた感じでは利根川の上とはいいつつ、県庁から遠いほうを飛んでいた感じですね。


「ありがとうございます・・・こんな操縦が全自動なんて信じられません・・・」


同上、というやつです。あ、市街地が終わったみたいですね。うーん、渋川か沼田かな?


「それは・・・候補地、郊外の市ということですか?」


はい、渋川は工業都市だったはずなので、可能性は高いです。沼田はどちらかというと果樹園とかのほうが有名かもしれません。


「工員と事務員の夫婦なら、その二択なら渋川なんでしょうね」


まあ、裏をかくという手もありますし、果樹園とかなら紛れて降りやすいかもしれません。


「流石に静粛性に優れると言っても市街地に降りたら目立ち過ぎですからね」


廃校とおっしゃっていたので、中山間部だと思います。それなら渋川側でもアリかもしれませんね。


「なるほど・・・市街地を外れたみたいですね。・・・両側に山があります」


関東平野の北限という感じですね。赤城山と榛名山だと思います。伊香保があるほうが榛名ですから、こっちからみて左が榛名、右が赤城ですね。


「赤城が近いですね・・・結構圧迫感あります・・・」


県庁のところで実績がありますからね、ぶつかったりしないと思います。


           ・・・


『シートベルトをお締め下さい。Fasten your sheet belt』

『シートベルトをお締め下さい。Fasten your sheet belt』

『シートベルトをお締め下さい。Fasten your sheet belt』


さとこさん、してますか。


「はい。乗ったときから締めっぱなしです。そーきちさんは?」


僕も締めてます。少し速度が落ちましたね。


「そうですね・・・きゃっ・・・」


おう!結構な急旋回ですね。これは・・・関越自動車道上空に切り替えたということか?

まあ、夜でも交通量ありますし・・・そういう手はあるんでしょうね。


「ちょっと酔ったかもしれません・・・」


結構、橋とかあるたびに上下もしてましたからね。どちらにしろそれほど遠くないはずです。


「そう願いたいです・・・」


           ・・・


『到着します。Will be Arrived』『到着します。Will be Arrived』


彼女の希望通り、割とすぐに到着アナウンスは流れた。

どこかはわからないが、とりあえず無事に着けそうだ。


彼女のほうを見るとほっとした様子なのは間違いない。


さとこさん、降りますよ。大した荷物はありませんが・・・

さすがに寝床は用意されていると信じたいですが・・・寝間着はどうしましょう。


「『ルーム』にいたときからのジャージもいただいてますから、最悪それでいいです。そんなの心配しなくても、もう風邪も直ってますし、下着でもなんでも寝れますよ」


まあ、そうですよね。


彼女から視線を離し、前方に目をやると、高速道路から静かに畑の上に外れ、目の前に『廃校』としかいいようの無い建物が見えた。


校庭

体育館

まあまあの大きさの校舎、一部しか電気が光ってないが、3階建というところか・・・


ドローンは静かに校庭に着陸し、室内の灯りも点灯した。

そして、乗降用のドアも開いた。


『本機はすぐに離陸します。忘れものにご注意ください Taking off shortly. Check your belongings.』


忘れものね・・・流石に発生しないと思うが・・・出る前にしっかりパッキングしたしな。


「忘れものヨシ。そーきちさん、降りましょう」


流石ですね。さとこさん。承知しました。一応、私が先に降ります。


「よろしくお願いいたします」


地面との段差はわずかだ。これもどうなってんだ?ポイントだが、今は降りるだけだ。


校舎からこちらに向かってきている人影がいるのには彼女も気付いていた様子だ。

今更敵対者でもなかろうから、こちらも精々親しく接するだけだ。


           ・・・


「おう、新入りさん、早かったな。オレはJSH北関東の吉田だ」


はい、私は双葉総吉、こちらは妻の聡子です。


「双葉夫妻ね。よろしく。どうせあの博士連中は飯のことなど考えてなかったんだろう?腹減ってないか?」


まあまあ減ってます。もし、少しお分けいただけるならありがたいです。博士というのは、部長や副部長さんのことでしょうか。


「部長ね・・・オレタチ地域会社からすると数段格上の雲の上のお方みたいなもんだがな・・・彼女たちはそれなりに有名人で、開発部の主要メンバーはほぼ全員が博士様だよ」


そうなんですね。


「まあ、そういう感じを出さないことに関しても天才的なんだけどな。超フランクでなwww。まあいい、メシも酒もあるから中で話そう。ベッドはあるけど、正直床から離れるための台ってだけで、その上にフトンを引くだけだが、大丈夫か?」


充分です。ああ、学校の床・・・鉄筋校舎の床は寒いですよね。


「そうそう。まあ、深いことは聞いてないが、訳有りなんだろ?あんたも。まずは呑もうぜ!」


多少であれば・・・あまり強くないんですよ。彼女はほとんど飲めませんので、ソフトドリンク、なんなら水でもいいので、そういうものでお願いします。


「かまわねえ。オレが呑む言い訳になればいいだけだからな!」


そうであれば。缶一本くらいならお付き合いします。


「しけてんな!まあ、アルハラ禁止の研修も受けたから、一本でも付き合ってくれればオレが何本か呑む言い訳にはなる。まあ明日も車で出勤だから、3本が限度だけどな!!www」


では、お付き合いします。さとこさんも水かお茶でお付き合いしましょう。


「承知いたしました」


「そんな丁寧な言葉遣いはいらねえよ」


そういうわけにもいきません。初対面ですし。


「ま、そうか」


そうです。では、行きましょう。

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