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母港にもうすぐ到着です

語りが、オレに回ってくるとはな・・・


双葉総吉。そーきちはちょっとダサい気もするが、年齢も性別も合ってんだから気にしない。ま、選り好みできる立場でもねぇし。


生年月日もしっかり覚えなおして、出身地も岐阜県岐阜市で迷わないようにする。まあ、全国転々としているのはこいつもいっしょだから警察にでもお世話にならない限りなんとかするさ。方言が出ないのも、子供のころから親の転勤でうろうろしていたせい、で通じるだろう。


ぶっちゃけ顔も体格も知らないから本人のマネもできないが、この手のリストに上がってくる人材は、まあ、あまり知人友人が居ないのが普通だ。


この得体の知れない会社でも調べてくれるっぽいから・・・なんだろう・・・渡りに船すぎて極めて怪しく危険にも思えるが・・・乗るしかない。


そもそも・・・こんなデカい船をかなりの少人数で動かしているというのが恐しいな。コンピュータを使った自動化なんかもあるが、この大きさなら10人でも相当の少数精鋭のはずだが、まだ、二人しか認識できてねぇ。


しかも一人は女だ。


某アニメのレイバーにも似ているがかなりゴツい・・・かと言って、もっと有名なアニメのモビルスーツのように巨大でもない・・・4mくらいか?人の倍くらいの大きさのデカさのゴツいヒト型のロボットというかガワというか・・・乗り物だな・・・に乗っていたので、船長共々顔は見れてないが・・・


サトコがボイスチェンジャーで女声にしてるのかどうかでカマを掛けていたが、普通に女であるって認めていたようなもんだしな。


まあ、そういうのには慣れてないってことだろう。

普通の会社員なら慣れる必要もないしな。


書類を渡したあと、「これ、通信機ね?」って渡された袋の中には普通にスマホが入っていた。


職業柄、すぐに紛失することも多いが、スマホやPCくらいは使える。

結構機能にロックが掛かっているってことはわかったが、まあ、起動して放置しておけばいいだろう。


           ・・・


ぴぽぽぽぽ・・・


「掛かってきているみたいだよ?出たら?」


お前が出てもいいんだが・・・


「そーきちに任す」


わかったよ。スピーカーモードにして・・・

はい。双葉です。


「おー、ちゃんと答えてる・・・デービーあたったけど、多分外国で死んでるっぽいので大丈夫。行方不明状態だね」


デービー・・・データベースのことか?どこのデータベースにアクセスできるんだい?


「秘密に決まってるじゃん。なんで、そーきちとさとこで99.99%セーフ。まあ、推定死亡だから100%じゃないけど、まあ、かなり100%には近いみたい」


俺達もそこまで求めてない。まあ、礼は言うよ。じゃねえ。ありがとうございました。部長。よろしくお願いいたします。


「なんのなんの。じゃ、契約書を準備するから一杯サインしてもらうよ?もしよければ、紙で安定した双葉総吉のサインの練習をしておいてね?」


何の契約書ですか?


「雇用契約書。お仕事斡旋するって言ったじゃん?」


は?いきなりですか?


「だって、仕事とアパートに住んでるって事実があれば、あとはこの戸籍謄本やらなんやらでマイナンバーとかの申請もスムーズよ?」


そりゃ、そうですけど・・・


「今までもニセの住民票とかでいろいろやってきたから慣れてるでしょ?」


まあ、はい、ですけど。


「で、マイナンバーだけじゃなくて、年金手帳とかいろいろやってもらうことあんだから」


へ?年金?・・・まったく払ってないと思いますが・・・


「いや、双葉さんが払ってたかどうかはわかんない。親が代わりに払ってくれてることもあるし。そーゆーとこ気をつけてね?」


う・・・油断したな・・・「油断したねーー。シロートに揚げ足取られてやんの」


そうですね。気を付けます。


「年金は過去何年か分なら希望すればまとめて払い込むこともできるから。このヘンが密接にくっついてるから、あなたたちの望む健康保険に入るにはしっかり手続しないとだよ?」


わかりました・・・調べてしっかりやります。


「いちおー手順書あるから、だいたいその通りでいいはず。年金事務所とか市役所とか順番があるから気をつけてね?あと何往復かするのも覚悟して?」


まあ、そのくらいは・・・お役所仕事にも慣れてますし。


「あとさ、あなたたち大学は中退だけど、一応国立大学に受かるくらいの学力はあるってことでいいんだよね? 算数もできない、って言われると今更だけど困る」


二人とも国語と算数は人並にはできます。英語は・・・よくもわるくも日本人の普通、英単語ならいくらかわかるけど、英会話を得意とする、からはかなり遠いくらいです。看板とかの関係で今時の人よりは文字を書くのも慣れてると思いますし。


「おっけー、パソコンは使える? WindowsでもマックでもLinux でもFreeBSDでもいいけど」


まあ、Windows なら使うことくらいはできます。エクセルも簡単な計算くらいならできたと思いますけど。サトコはエクセル得意だったと思いますよ?


「メールも大丈夫?」


大丈夫か違うかでいえば大丈夫です。スマホも普通に使ってましたから。テレグラムとかですけど。


「確かにそっちかwww 7 x 11 x 13 は?」


え?77 と 13 だから、770 たす・・・えーと・・・231・・・? 1001 で合ってます?


「合ってます。掛け算までは問題なさそうね」


まあ・・・それくらいは大丈夫です。割り算もできますよ?


「ちなみに前のスマホは?」


彼女のモノも含めて、全て水没済みです。


「完璧ね!。じゃあ、もうすぐ日没だから、茨城のどこかの港に入るね。で、群馬県、高崎の郊外まで移動してもらうよ?」


いや、まだ今回の成功報酬ももらってないんで移動する現金が無いんですけど・・・IC カードも無いですし。


「そーゆー人達って現金を10万くらい丸めてどこかに仕舞ってるもんだと思ってたんだけど・・・」


多少ありますが、本当に最後の現金ですし・・・10万は無いですよ?


「うん、群馬まではこっちの乗り物で行ってもらう。あっちは車だけど・・・『双葉さん』の免許はないよね?」


そりゃ、無いですよ。


「教習所行けば取れる?二人とも?」


まあ、私も彼女も運転はできますから、ヘンなクセを指摘されるでしょうけど、取れはするでしょう・・・でも二人だと50~60万円くらいかかると思いますが、そんな蓄えはないです。試験場での一発試験は自信ないです。


「まあ、住民票からマイナカード、運転免許証までいけば身元はだいたいおっけーね。お金はあまり気にしなくてもなんとかなるよ?」


ならないでしょう?


「奥さんも短時間正社員かパートで働く?実績あれば産休でるし?」


は?


「どういうことですか?」


「大学中退なら、高卒相当で雇えるから・・・事務仕事ならそれなりにあるよ?」


「・・・二人とも、今の名前では卒業証明書とか取れません・・・ね、そーきち?」


ですね。


「いや、こっちは事情わかって雇うつもりだからそんなのいらないよ?普通の就活じゃないんだから」


・・・そういえば、我々は足抜けする人にちゃんとした市民 ID を付けるためのお試しってことでしたね。


「あれ? そんなことまで言ってないと思うけど?」


ああ、私の勝手な推測でした。そうでもなければ、こんなに私達にとって都合の良すぎる話は有り得ないでしょう。


「当らずとも遠からずってやつね。ちなみにスパイやダブルスパイは禁止ね? ウチの社長は普段は優しいけど、裏切り者には超苛烈よ?」


そうでなければこんな準軍事組織みたいな会社はやれないでしょう。

さとこさん、働く?


「働きたいし、スパイもダブルスパイもやらない。誘いが来たらそっち側には返答を曖昧にしておいて、会社の上に報告すればいいってことでいいですか?」


「わかってるぅ!それでいいです」


「じゃ、働きたいです。PC作業も簿記もできます。まあ、この名前じゃ簿記何級とか言えないけど・・・」


「じゃあ、ストーリー作っておくからしっかり覚えて。貴方達は海外放浪から戻ってきた行方不明者だけど、ウチで拾うことにして、地域会社に送りこんだ。詳しいことは紙に書いて送るから。幸い、そっちの二人も大学時代に出会っているから、出身高校と大学を間違えないようにね。生い立ちもわかる限り追ってあるから覚えてね!」


この時間でそこまで調べたのかよ・・・つくづく恐しい組織だな・・・。


           ・・・


「そーきち、これがあれば、彼女、パワードスーツで来る必要なかったんじゃない?」


そうだな。オレもそう思う。


書類の山はファミレスにあるような自動搬送機で送られてきた。まあ、猫みたいな顔はついてない飾りのないものだが。

そのてっぺんにあった交番のお巡りのチャリの後ろについているような金属製の箱の中には、『俺達』の生い立ちやら知り合った経緯、なぜ海外放浪の旅に出たかなどが延々と綴られている冊子が入っていた。


それから、雇用契約書。社宅入居同意書。各種の誓約書。などなど。

まあ、懸念していた賃貸住宅の契約もこれで回避できるわけだ。


仕事や住所・・・居住の実績もあるのであれば住民票も得やすいだろう。そして、コピーは取ったよ?という付箋が付いていたが、元の戸籍謄本も入っていた。


そして、手順書。このように市役所では説明しろ、とか細かい指示が入っているものだ。

次にここへ行け的なところも含めて的確で丁寧な仕事だこと・・・


冊子は一冊しかないので、経歴を覚えるために、顔を寄せあって読んでいる時にサトコが言った。


「そーきち。アタシここに骨を埋めるつもりでがんばるわよ?」


言いたい事はわかる。


「正直、さっきの人の・・・のーてんきな明るい声と、この調査能力の落差が恐しいよ」


同感だ。さとこ、オレもしっかり覚えて齟齬がないようにする。

俺達に出来ることはそれくらいだ。死ぬまで真面目な市民を演じるだけだ。


「そうね・・・それしか・・・だけど普通の市民になれるんなら賭ける価値あるわよ!」


そうだな!

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