表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/102

投降受け入れ条件

風邪のほうは一安心のようですね


「そうだな。素直に礼は言う。ありがとう」


アレックスです。社長からはずいぶんと無茶なことが振られてきています。

まあ、いつも通りと言えばそうなんですが・・・


「で、一応明かりのある部屋を与えてくれてありがとう。メシも普通のものがあるし、ウマい。彼女も・・・危機的状況では無くなったな」


はい。そのようですね。身元についてですが、先程お伝えした通りでよい、お二人とも、その通りとの認識でよろしいでしょうか。


「まあ、オレはそうだ。彼女のほうは・・・彼女もそれでよいようだ・・・もう自分でも自分の姓の変遷なんて忘れちまっていたが・・・言われてみればそうだった。よく調べたな。ほぼ準軍事組織と言ってもいいんじゃないか?その調査能力は?」


いえいえ、協力者が確保できたので、それだけですよ?


「まあいい。で、どこへ向かっている?まあ、それは聞いてもどうにもならんか。部屋の外は真っ暗だし、ロールオン区画をうろついても赤外線やら何やらで検知されそうだからな・・・警察に引渡された後は、まあ、それっきりだろうな。一宿一飯の恩義は間違いなくあるから、機密であろうこの船のことは聞かれても適当にはぐらかしておくよ」


それはどうも。もし、あなたがたが、既に次の潜伏先を用意済みであれば、我々の協力者になるのであれば、もしかしたらご協力できるかもしれません。


「・・・旨い話には裏があるのが普通だ。何を考えてそういう提案をしているのか、こちらに飲ませる毒は何かを教えてくれないか?」


特には何も。我々でやろうとしている新しい戸籍を作る試みの実験台になって欲しいだけです。


「・・・やはり準軍事組織じゃないか・・・きっちり勤め上げて足抜けを認めるやつに新たな名前なりIDを準備してやるんじゃないか・・・その実験台になれという意味か?まあ、我々がよい実験台であることは認めるが」


そうですね。既に結婚している夫婦として存在してもらいたいんです。仮の義両親も用意します。どこかに潜伏先を準備済みですか?


「・・・枠くらいで住処やらは用意してないが・・・北関東のどこかに転入しようとは思っている。転出届はある。偽装だがな」


そうですね。あなたがたの過去歴を洗わせていただきましたが、傷害くらいまでで、殺人なんかはしてませんね。有印私文書偽造なんかは明確になっていないも含めればかなりありそうですが。


「まあ、傷害罪・・・こっち的には正当防衛だと思っているが、向こうにすればその程度の罪をデッチ上げるんだろうな。文書についてはおっしゃる通り。レジスタンスの仕事としてはごく普通だ」


それはそうでしょうね。新興住宅街の賃貸住宅からの転出までは確認済みです。

誰かを殺して入れ替わりとかしてませんよね?


「やらないよ。殺人とかはガラじゃない。世代的に内ゲバなんかも無かったし、基本的には平和な組織だったからな」


今じゃお二人だけらしいですね。


「まあ、実質的にはそうだな」


では、その偽装の転入情報を下さい。敷金と初月の家賃くらいならウチで負担しますよ?


「・・・本来なら警察への報告義務があるんじゃないか?」


出航・・・あれを出航というかは微妙ですが、離岸時にはお二人のことを把握してませんでしたから、地上側も当然把握してません。救命義務があるので浮き輪は投げましたが着岸したらしい、までしか、あのあたりに居たマスコミさんも判らないでしょうし。


「それなりには密かに潜伏できたってことか。まあいい・・・しかし・・・社員には知られているんだろう?こんなハウスも準備したんだし。なにか乗り物を流用しているんだとは思うが、車でもないしなんなんだこれは?ロープウェイのゴンドラか?」


鋭いですね。近いですが違います。社長を含め船舶部門と極一部の幹部にしか伝わってないですよ。


「まあ、トイレも水洗どころか洗浄便座だしな。シャワーは無いがな」


そこまでは勘弁してください。ウェットタオルの大きいのがあるので、電子レンジで温めてあげれば、体は拭けると思いますし、最低限の清潔は保てると思います。


「もう使わせてもらっている。着替えも紙パンツとジャージだが配給か?まあ、これも礼は言っておく。濡れたままの服は清潔とは言い難いからな。おかげで逃げることは難しくなったがな」


エアコンもあるし、ちょっと加湿器がないですが、寝るにはジャージのほうがいいでしょう。普通のマスクで湿気は補ってください。


「それも使っている。こっちからは会話だけだが、そっちからは見えているんだろう?」


そうですが、死角もありますよ。お二人とも死角を見つけるのがお上手です。


「それは褒めているのか?・・・まあいい、その、準備をしてくれるのは有り難いがオレたちが裏切らない保証もないぞ?」


裏切ったら切り捨てるだけです。あと、職も準備しますよ?無職で仕事を探すより、転勤してきたというほうが近所にも溶け込みやすいでしょ?


「まあ、それはそうだが・・・そうか・・・完全に取り込むつもりか?・・・わかった。今わかった。そちらの組織は我々が降伏するに値する。完全に演じるから、想定プロファイルを伝えてほしい。ちなみに、健康保険には入れるのか?」


意外ですね。そんなことを気にするんですか?ウチの関連会社の仕事を紹介するので、そちらの用意した名前にはなりますが、健康保険には加入できますよ。

想定プロファイルといっても・・・そちらで名前は準備しているんですよね?あとは普通の会社員、転勤で北関東の工業都市に来たくらいしか考えてませんよ。こちらでは。


「工員か。まあ、紛れやすいといえばそうだな。平凡な市民を演じるのは・・・比較的得意だ。彼女もだがな。で、彼女曰く、妊娠しているそうなんで、生みたいというなら健康保険に加入しておいたほうがよいだろう」


まあ、そうですね。そういえば、その準備済みの名前は戸籍謄本はあるんですか?


「・・・あるよ。よく知ってるな」


ということは、既に形式的には夫婦になっている謄本ということですね?


「・・・そうだよ」


御本人達は存在しないんですか?


「正直なところ、知らないが、存在しないんだろうな・・・元支援者に取ってもらったものだから、詳細は不明だ」


うーん、ちょっとバッティングしたとき困りますね・・・一応こちらでも調べておきますので、コピーを取らせてもらえませんか?


「流石に虎の子ではあるが・・・」

「ジョニー、もういいじゃん、丸ごと出せるもんを出しちまいなよ」


お、そちらの女性、復活されました?


「まあね。ワタシが足抜けを希望したんだから、ワタシは反対に回ることはない。で、今までのやり取りでそっちが普通の会社じゃないことはよく分かったから、忠誠を誓うかどうかは置いといて、そっちの希望通りに動いたほうが、こちらの都合にも良さそうまでは理解したから、そうするだけよ」

「これからはジョニーと呼ばないほうがいいよ」

「そうね。新しい名前は?まあ、二日もあれば慣れるよ」

「双葉総吉。君は聡子」

「そうきちにさとこね。わかったわ。なるべく普通の主婦のマネをするよ。フタバさん、サトコさん、と呼ばれたとき振り向くのも二日もあればなんとかするよ」


流石プロ市民ですね。直接会うと安全かどうかわかりませんので、こちらから回収装置を出します。トレーの中に今持っている全ての書類を入れてください。

あと、他に設定等があれば、レターセットがその部屋に入っていると思うので、手書きでよいので適宜記述してください。


「回収機・・・安全対策が徹底してるわね」


まあ、こちらは普通のサラリーマンなので、ボールペンを首に突き付けられたら降参です。


「ウチは・・・そこまでやる組織じゃないんだけどね?」


窮鼠猫を噛むですから・・・社員の安全が第一です。


「私達の筆跡も押えるつもり?」


ああ、そういう意図ではなかったですが、結果そうなるかもしれません。定規でカクカクした文字を書いたりしますか?


「その予定だったが・・・」「もういいじゃん。降参なんでしょ?」

「・・・降参だな。わかった」


では、後程よろしくお願いします。


「わかった」「わかったわ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ