ああ、今度はブルーピースさんですか・・・
「示威行為ね。レーダー反応からいって、FRPの漁船。踏みつぶす気になれば、行けるけど?船長」
アレックスです。ゆり子さんが好戦的です・・・
ゆり子さん、実際に踏み潰したら・・・溺死を誘発するのでだめです。
「まあ、そうよね。あいつら反日の大手マスコミ引き連れているもんね」
えーと。日本は大手が反日なんですか?
「うん、公共放送すら反日www。おかしな国」
まあ、それはいいです。ともかく、踏み潰すのはだめです。
「了解。船長。じゃ、降伏勧告放送をするね」
それは・・・かまわないでしょう。
降伏勧告放送というのは、そのまんま、数ヶ国語で、海賊行為や威力業務妨害は違法である。排除は簡単だが無駄なので降伏せよ。降伏したら無闇に命は取らない。捕虜の扱いは国際法に準拠する。という内容をまくしたてるものです。
やっても無駄・・・なことがほとんどですが、やらずに踏み潰すと問題があるので、数回、十分に聞ける時間があった、ということが重要です。
双胴船の真ん中では完全に沈没、溺死の恐れが多いので、左右にずらしたところで当てるようにしますが・・・
「閃光弾射出!酢酸機、海水機出動!」
閃光弾は接岸するときの明かり、という建前ですが、実際には海賊対策、マスコミ対策も兼ねています。
薄暮の夜明け前に強烈な閃光を放つものがあると写真等が撮りづらくなります。
今回の船は妨害船のようなので、妨害船と海岸の間の上空で光らせてゆっくり落ちてくるようにしてると思います。
そうすると、海岸からは妨害船そのものもよく見えなくなるはずです。
酢酸機というのは、以前彼女が話していた酢酸水鉄砲を放つドローン、海水機というのは水鉄砲的な水圧はありませんが、海水を投下させるドローンです。
海岸に好き好んで来ているんだから、海水がかかっても不思議はないよね?という妨害装置です。
実際、静かな海であっても船が通過するだけで突然の大波というのはありえます。それで起こる事故だってあります。
まあ、何故かカメラやビデオを持っている人たちだけがビショビショにされるんですけどね・・・
海水ですから、高確率で故障を誘発するでしょう。
もっとも一度に積める海水は数トン程度なので、十数人レベルなら対応できますが、数十人になると撃ち漏らしが多数になるはずです。
今日は見た目で10人くらいでしょうかね。事前の打ち合わせ通り、接岸予定地の北側だけしか入場許可されていないようですので、それなりには当たるはずです。
「まったく、環境保護とか言えばなんでもアリだと思ってんでしょ?。そこは市民のゴミの最終処分場なんだけどね? やんなきゃ、困るのは市民」
・・・それはそうですが、ゆり子さん。我々も公益事業だからといって正しいというわけではないんですよ? お互い様な側面はあります。気をつけましょう。
「そーでした。でも業務は遂行します。妨害船乗員、海面に逃げました。え?二人とも?船どうすんの?」
酢酸機の酢酸水鉄砲は赤外線センサーで狙いを付けるので、目や鼻など、覆われていないところが自動的に狙われます。
二人だと同時に数発当てられてもおかしくないのでたまったものじゃないのはわかりますが、エンジンを掛けたまま、推力を入れたまま、船を離れてしまったようです。
無人の船はこちらの横を通り、どんどん沖合に向かっていきます・・・
「船長、あれ、浮き輪投げてあげたほうがいいかな・・・」
まあ、着衣ですと水泳の達人でも溺れたりしますから・・・救命義務があると思いますよ。
「はーい。前方二番射出機から硬質ウレタン浮き輪を発射します。だいたい届くはず。ほいっ!!」
二つ射出してあげて下さいね?お二人ですから。
「うん。4つ射出済みですよ。着水で割れることもなくはないけど4つ出せば大丈夫でしょ?」
そうですね。
では、障害物なし、接岸します。
「はい、接岸します・・・接岸」どどん
さて、重機さんには上陸してもらいますか。接岸シーケンス起動。
「接岸シーケンス起動。陸上側重機アンカーロープ締結準備」
うちの船は何もないところに接岸するときには陸上側に死重となる重機を用意してもらい、アンカーロープを掛けます。
ある程度まではなくてもいけるんですが、RORO するときの安定性を考えて、必ず用意してもらえるようお願いしています。
アンカーロープを締結して、バウランプを降ろすと、岸壁側から重機の運転手さんが乗り込んできます。
そう、ウチの船は貨物は積んでも人は乗せません。
セキュリティの関係もありますが、あまり外部の人を乗せることを前提としていないので乗せられない、が近いですかね。
・・・
さて、重機も降ろし、受領サインももらって(このときはさすがにこちらから降りていきます)、撤収です。
バウランプを上げ、アンカーロープを取り外してもらって収納します。
では、離岸しますか。
「ちょっとまって、船長!!バウ側に人がいる!!」
監視カメラ写します!
『あー、見ているか?我々二人は勧告通り、投降する。繰り返す。我々は投降する』
確かに・・・勧告してしまいましたね。
「どうしよう、船長?」




