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対海賊装備を真面目に考えてみる①

アレックスです。


今日は、船から本社に会議を接続し、CTO さんも参加して海賊対策について考えてみる会です。


「おー、アレックス、久し振り!っても直接会ったことはないけどさぁ」


はい。お久しぶりです。お元気ですか。


「まあまあ元気。そっちは國本とラブラブかぁ?」


まずまずラブラブです。


「アレックス!!」


「國本、まあいいじゃん、美人度も増し増しだし?」


「もう・・・」


「それくらいにして置け。まだ時期尚早と言えばそうだが、国際航路に進出する前に海賊対策については考えておくべきだ、というのが今日の会議の目的だ」


はい、一応私も国際航路の経験はありますので、参考になれば幸いです。


「そこは宜しく頼む。國本さんはレールガンやらパルスレーザーの実装方法にアテがあるようだが・・・民間船に明らかな武装、というのは国際法や海運条約違反だな」


はい、私もその認識です。


「でも、ウチは今後も女性乗組員を増やすんですよね? 何か対策は必要でしょう?」


一応、私のほうで貨物船の防備の一般論についてまとめておきました。

画面を共有します。お待ちください。


「中々イケてるね」

「おおーー、凶悪そうな有刺鉄線・・・」

「これは普通の軍手くらいでは掴めないだろうな」


はい。船の周囲には手摺りがありますが、そのあたりに悪意を持って乗り込むのを視覚的にも抑止するよう、有刺鉄線、レザーワイヤーを巻き付けます。


「なるほどね。レザーはRazor、カミソリワイヤーってことか」


その通りです。さらに、これに電流を流します。


「農業でも使われている電気柵のようなものだな?」


そうです。社長。一般的には電力の無駄遣いですが、防御装置としては優秀でメンテナンスが比較的楽なほうです。


「じゃー、無駄は承知で、バチバチと放電するように回路構成しちゃわない?アレックスどう?」


それは・・・思い付きませんでしたが、視覚的にも有効ですね。海賊行為の大半は夜ですから。


「なるほどね、夜闇に紛れて近づいてみると、舷側がバチバチと放電している船か。やる気を削げるかもね」


「それは・・・船員に危険がないのか?」


ウチのは、ゆかい丸も、予定の新造船も基本、RORO船ですから、そもそも甲板に人が立ち入ることが稀です。

まあ、中型機なんかが飛来したときは別ですが、それもエレベータで格納しちゃいますからね。

あとは、基本夜間のみ電撃モードにするくらいでしょうか。

甲板作業のときはぶ厚い手袋を義務化することも必要でしょう。


「ねーねー、AI使って暗視モードで海賊候補の怪しい船舶を自動で見張るのはどう?」


ああ、確かに。ウチの方向性ならそういう動的抑止のほうがいいですね。


「でさー、レールガンはだめでも、運が悪くない限りは人が死んだりしない兵器・・・じゃない、抑止装置は作ってもいいんだよね?」


程度によると思いますが・・・ちゃんと『抑止装置』として、届出できるものなら大丈夫かと思います。


「國本、パルスレーザーを弱めたやつ、とか言うなよ?ギリギリ抑止装置かもしれないけどさぁ」


「ううん?シンプル。ある意味今のゆかい丸ならすぐにでも装備できるやつがあるよ?警察もデモ鎮圧とかに使ってるし、海上保安庁も対不審船で使ってる信頼と実績の装置」


ああ、わかりました。放水装置ですね。ウォータキャノン、高圧放水銃という言い方もありますが、これは合法的に設置可能です。

まあ、金属を切れるようなウォータージェットじゃない前提ですが。


「そこまでしないってー」「どうだか」


「なるほど、放水銃なら問題なさそうだな。先程國本さんが言ったAIによる自動追跡と放水を組合せてもいいだろうな」


「はい、開発しがいがありまーす!!」


一般的に舷側にハシゴを掛けて登ってくる、というのが海賊の原始的かつ効果的な侵入方法ですが、ゆかい丸には今でも舷側からの大量放水機構がありますから、それはそのまま使えます。


「バラスト水が切れたらどうなるんだ?」


社長、切れることなんてないですよ。


「あのさー、アレックス、社長、頭いいのにこういうところがあるんだよ?」


まあまあ、船は浮力で浮いてますが、水密区画が厳密に仕切られているゆかい丸や予定の新造船では船底に近い所に取水口を設けることができます。船の重さで自然に海水が入ってくるので、放出したバラスト水とバランスの取れる量が自動的に取水できるわけです。


「考えてみればそうか。そうでなければウォータージェット推進も成り立たないか」


おっしゃる通りです。まあ、どちらかというとポンプ容量ですが、こちらの増設は比較的容易なので。

まあ、ダメコンを実装してあるので、自動注水による復元やらなんやらも実装されていますし、そもそも双胴船なので、そうそう転覆などしませんが。


「ちなみにだが、その取水口からの侵入対策はされているのか?」


はい、取水口区画は双胴船の両側にありますが、ゆかい丸では、ステンレス鋼の井桁になっています。小魚くらいならともかく、人は入れません。


「なるほど、水だから別にぱかっと開ける必要はないんだな」


「パカっと開けると高速航行時に抵抗になっちゃうから、一応扉というかカバーはあるけどスライド式ですよー」


はい、ウォータージェット単体ならウォータージェット専用の取水口があるので、高速航行時には通常取水口は閉じますし、浮力も必要なので結構バラストは排水します。


「しかしさぁ、報告書読んだけど、70ktって・・・本当に出せるの?」


「でますよーー。バラストをほぼカラにして、羽出してあげればですけどー」


そうですね。ゆかい丸の大きさだと、今は類似する船は少ないと思いますが、水中翼船という概念に近いと思います。


「70kt というと、約130km/hか・・・船としてはとんでもない速度だな」


但し、視界良好、天気明朗、レーダー反応一切無し、という状況でないと危険で出せません。


「まあ、実験用というところか。40ktを安定して出せれば充分すぎるほど速いだろう」


そうですね。貨物船としては破格ですね。軍用の高速貨物船でそれくらいでしょう。


「40なら、貨物満載でも羽出せばよゆーだねっ。重機運搬でもやってるよ。速い速い」


はい、お客様に驚かれますね。

で、話を海賊対策に戻しますと、あとは光と音が主な対策ですね。


「レーザーポインターみたいので目を焼いちゃうとか?」


ゆり子さん、それはだめです。緑などの致命的な損傷が発生しにくい光じゃないとだめです。


「やれやれ・・・海賊に人道的措置とか・・・意味わかんないね」


兵器性が無い、ということが重要なのです。例えば沿岸に近ければプレジャーボートや釣り船なんかも存在しますから、特に他意なく近付いてしまっただけで殺傷性があるのは大変な問題です。


「そうだな。ジェットスキーなどもある。一般の民間人を傷付けることはできん」


はい。そうでないと搭載が認められないとのことでした。


「でもー、ジェットスキーってアホが多い気がする・・・双胴船の間を抜ける遊びとかしてきたら重力子フィールドで排除するとかはいいのかなぁ・・・」


まあ、ちょっとおかしな人もいますが・・・その重力子フィールドというのはどのような効果があるのでしょうか。


「おい、國本。それはダメだ。あれを人体に直接使うのは・・・未検証すぎる!」


CTO ・・・、私にはそれの使い方がよく分かりませんが・・・沿岸接近時、入港時にはバラスト水を入れて、喫水を深くして、その、股抜けのような遊びができないようにすればいいだけですよ。ゆり子さん?


「確かに・・・外海で40kt出してたらジェットスキーじゃ追い付かないもんね。あんな軽い機体じゃ強力なエンジンにスワップして、スピード自体が出てもハネまくっちゃうだろうし」


外洋に出る船体じゃないですからね。

まあ、イタズラ防止策程度なら、スターンランプ、船尾の上端部分が水平ですから、あそこから水を盛大に撒き散らせば充分でしょう。外国の場合、下見に来ているであろう海賊対策にもなりますし。


「そうだな。奴等も下見はするはずだ」

「で、万が一の時のことも考えないとさぁ」


はい、侵入されてしまった場合ですね。

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