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CTOのパワードスーツ

「CTO 、ヒマですね」


ヒマだね。


火無瀬が早朝お風呂に入りたい、と言って通信をしかけてきたので、通路を開放して行けるようにしてやった。

お風呂から出たあとでお話できませんか?と、言って来たので、リモートなら、と許可したわけだ。


基本、休日は暇だ。仕事が無い、というか、仕事をしないとこの地下工場でやることは基本的に無いからだ。

最初のころは休みもへったくれも無かった。この単なる地下空間を『清滝工場』に作り替えてやる必要があったからな。

その為には結構無茶もしたし、いわゆるヒヤリハットもあったさ。

その結果、もう、大学生のころのような無理はできないな、と思って工夫もいろいろした。幸い、アイツが全額サポートしてくれるんで金はなんとかなったしな。


「あの、いいですか?」


何、火無瀬?


「雑談とかOKですか?」


別にいいよ。


「こんなにヒマでいいんですか?」


かまわない。


「でも・・・なんか今でもお給料出てるんですよね。使うことができないので実感ないんですが・・・」


そうだな。生活必需品以外はお前の口座から引き落す形で、自由に発注できるようになるといいな。


「まあ、今でも明らかに『生活必需品』じゃないものを買っていただいていますが・・・」


今の金額くらいなら、ここの工場運営費で消し込めるよ。それより、お前に自由に通信させるってのがまだ許可が出ないんだよ。


「それは・・・そうでしょうね。そういえば銀行口座とかクレカとか無事なんでしょうか」


無事だよ。スマホも渡してあげられないけど、サブスクも継続されてるはずだ。

悪いけど通信費とかも引き落されているはずさ。


「まあ・・・今となっては・・・お金を使ってないですから、それくらいで残高が無くなるわけもないですし」


ちょっともったい無い気はしなくもないけどさぁ。


「はい。それはします。まあ、大学・・・院や満期修了後の微妙滞在時期から考えたら夢のような立場になりましたけどね。あのころの貧乏性は中々抜けないです」


それでいいと思うよ。

で、雑談はいいけど、何か話題あるの?


「話題というか、疑問が・・・」


何、オレへの質問大会でもすんの?


「してもいいんですか?」


答えられないことは答えないんでよければ。オレだってヒマだからな。


「じゃあ、お願いします。今は休日はヒマみたいですけど、工場を作っている最中は忙しいというか、土日もへったくれもなかったんじゃないですか?」


そうだけど。なぜそう思うの?


「いや・・・シールドマシンが一人で操作可能で全自動といってもデータの入力も一人では大変だし、そもそも、試作試験とここの建設が兼用ってことは色々と試行錯誤があったと考えるほうが自然かな、と」


そうだね。それは合ってる。


「そうなると不自然なことがありまして」


なーに。


「CTO がムキムキになったのは見せてもらいましたけど、そのレベルでは建設・建築・構築なんかが実現不可能な設備がいっぱいある気がします」


例えば?


「例のモノレールもそうです。鍛えれば何十キロくらいなら持てるかもしれませんが、それを持ちながらボルトで止めるのは、腕が二本の時点で不可能です」


モノレールロボは作ったよ?


「ロボを乗せるレールが必要ですよね? そのレールや基礎作りに機械があったとしても、何か別のものが無いと、安全な作業ができないと思います」


じゃあ、作ったんじゃない? 何を作ったと思う?


「ヒト型ロボット、できればその場でリモコン操作できるもの。まあ、作業補助のためですよね。あとは・・・ご自分用に、介護とか、重作業用に実用化されている、一種のパワードスーツ。それを改造や改良して作った作業用のパワードスーツですとか」


おー、いい線行ってるよ。


「アニメに出てくるような巨大ロボットは要らないと思うんですが、ヒト型って、作業する上では・・・頭で考えたことをやる上で重要だと思うんですよ」


なるほど、ヒト型だと何がいいの?


「一人で作業していると、自分がもう一人居れば、とか、手がもう一本あれば、とか思うこと多くないですか?」


あるね。


「その時、自分の思う通りに動くヒト型ロボットがあれば、作業が進みますよね。あと、危険な作業、モノが倒れる可能性があるなら、自分でなくロボをそっちに当てることで危険を避けられます」


いいね。それ。


「それを押し進めていくとロボットを大量に作ってリモートでなんでもやらすってことになりそうなんですが、そうだとしたら、一台くらい、すでに目撃してもおかしくないのに、まだ見てないんで、それは違うのかな、と思いました」


そこは合ってる。


「可能性としては、CTO って、あまり考えないでも完成品を作れちゃうから、ロボットに稼動データ打ち込むのはあまり好きじゃないのかなとも考えました」


そういうところはあるかもね。


「そうなると、ロボットを補助にすると・・・自分が進化しないといけないわけです」


そうなると?


「さっきのパワードスーツを人体拡張に利用するほうかな、と思うわけです」


例えば?


「まあ、外装用の一応実用化されているパワードスーツは外骨格で重量物を支え、人間の動きは基本的に自分の行動の拡張です。つまり、人間の動きができるだけと言えばだけです」


なるほど?


「となると、人間では不可能な行動ができるパワードスーツ、かつ、大規模な事故が発生しても生存性を高める方向性でお作りになるんじゃないか・・・とは思いましたが・・・」


考え方としてはそうだね。


「外骨格を外部装甲まで増強して手足の動きも重力波エンジンで超パワフルにするのは思いつくんですけど・・・正直、重力波エンジンのノウハウはまったく知らないので、実装方法がわからないんです。電力を引っぱってモーターを動かすならわからなくもないんですが・・・それだと重すぎるはずです」


まあ、開発部の中でも極一部の人間にしか教えてないからさぁ。

まあいい、ここで暮すんなら覚えてもらうしかないから、徐々に教えるよ。

パワードスーツっぽいのは合ってる。何種類もある。一種類は見てるよ。


「え?」


お前の内臓検査をしたときのやつ。あれもパワードスーツだよ。ヘルメットをすればかなり安全になるし、あれも外骨格で重さを支えられる構造だから、百キロくらいなら運べる。

作業着もケブラーとかでナイフなんかは通らないし、あれで人を殴ったら、簡単に死ぬよ?


「あれ・・・そんなに恐しいモノだったんですか」


まあ、自分の拳で殴ったら骨折しちゃうけどな。バットとか持てば大丈夫。


「そういう問題・・・で、まあ、いいでしょうね」


で、ヒト型ロボットは作ったけど、イマイチ使えなかった。


「そうなんですか」


お前のいう、オレが二人居れば、は思って作ってみたんだけど、二足での安定歩行とか、そっちのほうが大変なんだよ。

なんで、敢えて言えば、ケンタウロス型?四足歩行で腕が二本のものは作ったしある程度は使った。

結局、足はなくてもクロウラーや四輪、六輪タイヤで胴体部分が伸び縮みして、腕が二本とか四本、場合によっては八本くらいあれば作業用の補助ロボットとしては充分だよ。

指も5本の必要はない。120度毎に3本あれば役に立つ。人間と違って手首相当のところを延々と回転させる、とかも可能だからな。

まあ、そこはアタッチメントで付け替え可能にすればいいんだ。


「考えてみれば・・・そうかもしれません」


どっちにしろ、重量物をリフトするには土台の重さが必要だからな。それに、六輪とか八輪のタイヤにしてやらないと、工場内の移動が大変すぎるんだよ。

二足歩行じゃ重たいパーツを持たせることもできない。


「言われてみればその通りでした」


パワードスーツが堅牢性、生存性重視はそのとおりで、必要な大きさに合わせて何種類か作ったよ。今も使ってる。

ただ、一番デカイのでも全高3mくらいしかないよ。


「そうなんですか?」


巨大ロボはロマンがあるけど実用性は無い・・・とオレは思う。

基本的に、操作感を考えると背の高さはゲタの高さ。つまり人間でいうスネから下が異常に長い構造だと違和感なく操作できる。慣れはやっぱり必要だけどな。


「歩幅とか速度には慣れが必要でしょうね」


人間では、とか、強化外骨格無しでは不可能な、荷物を持ったままの凄く深い屈伸とかもな。


「いわゆる関節の自由度はどうなんでしょうか?」


ほぼ、人間と変わんないね。重力子フィールド様々だよ。


「そこはまったく教えていただいてませんし・・・理解もしてません」


少しづつ教えるよ。まあ、気長にね。


「はい。時間はあるみたいですから」


で、腕と脚、肘の先と膝より下は多少伸び縮みする。

あと、まあ、人間より一回り大きいそういうのが活躍するアニメとかあったろ?あれで想像できるようなゴツいヘルメット部分はあるけど、そこには人間の頭は入っていないんだ。

分厚い装甲の胸部分だね。頭の部分にはセンサーやカメラが入っている。高いところから見たいからね。

ちなみに重力波エンジンは踵部分。重いものは下に、ってのと、万が一爆縮しても、そこなら助かる可能性が高い。逆の脚はデッドウェイトだね。


「・・・なるほど・・・爆縮の半径は高々数十cmということですね」


そう。それ以外にもバッテリーはあるから、脱出するためにユニットをバラす電力くらいなら持つ。まあ、その前に数段階の警告が鳴るから爆縮させたことはないけどね。


「何段階・・・鳴らしたことあります?」


二段目まで。それは本当にヤバかったときで、普通は一段目で作業中止にしている。今は一段目も滅多に鳴らさないよ。


あと、ゴツい腕は二本、一組だけど、多関節のマニピュレーターというか、そういう精密作業腕は最大で三組付けられる。

さっきお前が言った、がっつりと保持は自分の腕で操作するんだけど、そこで固定して、やや太めのマニピュレーターで上を支えて、繊細なマニピュレーターでボルトナット止めをするとかできるわけ。

メインの腕はグローブ操作で、ボタンでホールドにしてグローブから手を抜いてジョイスティック操作でいけるんだ。二組四本なら両手で操作できる。まあ、慣れないと難しいとは思うけどね。


「・・・なんとなく想像はできました。多関節ということは、裏側からカメラで見ながら操作できるってことですか?」


その通り。見えなきゃ操作なんて難しいだろ?各腕にカメラが付いていて必要なら右目と左目で別の腕のカメラを見れる。これはなー、慣れないとめっちゃ酔うぞ?


「それは・・・想像できます。めちゃくちゃ酔いそうですね」


うん。本当のところを言うと重機すらを直接搬入できる搬入口すらあるんだよ。

でなきゃ、ここにある大型の工作機械とかあれやこれやなんて持ってこれないじゃん。


「まあ、そうですよね・・・なるほど・・・わかりました」


何がだい?


「あれ、揚水発電の為に作ったんじゃなくて、後で隠せるように揚水発電を実装されたんですよね」


今の説明で分かるとは流石だね。ま、ドローンで入ってきたんだし、ヒントはあったってことだよな。


「はい、深いところに搬入口があるんですね。まあ、エレベータの実装方法まではわかりませんが」


今はそれで充分だと思うよ。

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