火無瀬さんの仮釈放に向けて
「おはようございます、CTO 」
おー、火無瀬、おはよう。さて、早速だが、いいニュースと悪いニュースがある。
「あ、それ、どちらから聞きたい?というやつですか?いいほうからお願いします」
先回りすんなよ。
まあいいや。いい方は幽閉モードは段階的に縮小していいことになった。
いまのビリビリモードは減らしていいってさ。
「ありがとうございます!!」
っつっても、行ったら普通に危険な場所もめっちゃあるからな。その辺は普通にレクチャーしていいってさ。
「いや、有り難いですよ・・・CTO とも普通に会えるようになるんですか?」
それが悪いほう。お前さぁ、オレとの性的接触を要望していたじゃん?
「いやあ・・・性的接触を希望?まあ、お風呂で裸の付き合いができればいいくらいですが・・・」
あのさあ、オレは30代後半、お前は30代前半で、オレもイケメンとは言えないとは思うけどさあ、オレ的にはマッスルな意味で、お互いにまあまあ見た目を整えている男女だよ?
お前も求められなかったらそれはそれで寂しいとか言ってなかったっけ?
「はい、それは言いました。別に例のスパイに開発されたとかじゃなくて、昔からそうでしたけどね。院のころは見た目がアレだったので機会も少なかったですけど」
そういやそんなことも言ってたね。で、もしそれをしたいなら、完全監視下でないと許可しないってさ。逆に言えば、見られながらならいいってこと。
「・・・えーと?・・・それはCTO と私が一緒にお風呂に入るときにはカメラ一杯がオンになってて監視されてるって意味でいいですか?」
それだけじゃない。ベッドルームでオレがお前を相手に腕立て伏せをするときも完全に見られているならいいよってことだってさ。
「・・・まあ、私はかまいませんけど・・・」
いいのかよ。オレはオレがするための部屋の盗撮環境を自分で作るってのでなんつーか結構・・・うんざり感はあるんだけどな。
正直、そういうところでするのは御遠慮したいよ
「お気持ちは察しますけど・・・」
オレの安全の為とか言いやがるけどさあ・・・まあそうなんだろうけど・・・
「お手伝いしますけど・・・といってもカメラの設置や配線の埋め込みか配線カバーの取り付けくらいしかできないでしょうねぇ・・・」
だよなあ・・・ネットワーク部分はまだ任せられないし。隠れてどこかでするか?
「・・・うーん、CTO 、私相手で、その、なんというか、明るい部屋で、できます?」
最初の何回かはできると思うよ。人間相手は超久し振りだからな。
「じゃあ・・・最初の3回くらいは週一で、その後は隔週くらいで3~4ヶ月間だけ見られながらすることにしません?」
・・・ああ、それくらいやればなんやかんやで収容から半年か。
確かに二週間に一回なら飽きないだろうな・・・
「私なりに顔も体もメイクアップがんばりますよ?昔みたいにストーンズじゃないですからね」
ストーンズ?いにしえのロックバンドじゃないよな?
「あーー、大学のころのスラング?です。思春期に背しか伸びなくて・・・そういう女子の面々の自虐的な・・・」
?・・・オヤジギャクかよ?胸も腰もふくよかにならないから、ロンT着てもストーンと伸びてるだけってこと、またはそのような女子の集団で複数形・・・だよね。ま、わかるけど。
「わかるんですね・・・まあ、國本ほどじゃないけど、私もこの会社に拾われて胸が育った経験ありですからね」
で、きれいになって自信も付いた、と。それ自体は悪いことじゃないけどさあ。
「でも、そんなストーンズ時代でも、案外と男子が興奮するのが嬉しかった記憶がありますけどね。まあ、それ以前から裸族は裸族でしたが」
あー、その時代は、匂いだろうな。若い女子の匂いが大学院に入りたてのころまではしたんだろ。種族的なフェロモン的な化学物質を発していたんじゃないの?
「そういうもんですかね。自分ではわかりませんでしたが」
そりゃ自分じゃわかんないだろ。オレも自分のにおいはわからん。
一応、お前がくるって分かった時は念入りには洗ったもんだよ。でも、今じゃ元通りのざっと洗いだけだけどな。
「特にCTO の残り香はないですね」
臭くなきゃかまわんだろ。そっちも特に香水なんか気にしなくていいから、普通に清潔にしてくれればいい。まあ、香水欲しいとかいうんなら、買うのは問題ないけど、全部オレにバレるぞ?
「じゃあ、そういうのを通してくれたらしてくれるサインと思っていいですね?」
基本、全部通すからサインとかじゃねーよ。
「なんか思いだしました。4-ヒドロキシウンデカン酸、またはプレラクトン が目印です」
何の目印だよ。有機物質ってことわかるけど。
「さっきCTO がおっしゃった若い女子の匂い成分をどっかの製薬会社が分析した結果で、今ではプチプラの香水にも含まれてるっぽいです」
そんなの研究してたんだ・・・まあ、実用的っちゃ実用的か。
「最近では『女子』の年齢範囲が広くなってますから・・・」
ウチの開発部はそんな女子ばっかだからな・・・お前も含めて。
「結局、個々の人体との相性はあるんで何種類か小さいのを使ってみたいです」
じゃあ、しっかり型番を指定してくれれば発注はしておくよ。
「なんで、しばらくの間は見られているところだけでしましょう。そのほうが私としても将来的な安心に繋がる気がします」
言ってる意味はわかるんだけど・・・部屋というかスペースはいくらでもあるからいいんだけど・・・監視付きのヤリ部屋作るのかぁ・・・
気乗りしねーなー・・・
「CTO 、女子のその匂い、ラクトンとやらで本能的に興奮できるなら、色々試しましょうよ。折角なんですから。正直、こっちには違いがわかんないので、あなたが匂いを嗅いで興奮できるか、それ系のやつも一杯頼むので試してみましょうよ?」
お前、積極的だね・・・
「まあ、自由になるためですから・・・私はあなたを篭絡するしか生き延びる手段が無いかもしれないと思ってます。いや篭絡は言いすぎでしたね。同情を買う、あたりで充分でした」
・・・まあ、そうなるかもな・・・オレは耐えられてるんだけど、お前はこの地下世界に耐えられるかどうかがキモかもしんないぜ?
「うーん・・・老人になって、医療が必須事項になったら苦しくなるでしょうね。どんなに節制していても高血圧になるときはなるみたいですし。血糖値も上がらないように、糖質オフの食事なんですよね?」
特に男性は糖尿や痛風になりやすいらしいからな。まあ、糖質オフしてプリン体オフってのは、なかなか難儀だけどさあ。
まあ、ムキムキになった時点である意味オレ的には変装してるようなもんだけどさ。
「ヒョロガリでしたからねぇ・・・。私もシリコンマスクなんかを使えば・・・涼しい時期なら変装はできなくもないけど・・・医者には行けないですね」
まあ、それこそ公安組織なら変装グッズがあるかもしれないけどさ。
最悪、整形なんだろうな。社長に言えばどこか紹介はしてもらえると思うよ。
「それより、市販薬じゃなくて処方薬を送ってもらうほうが簡単だと思いますよ」
だな。ウチの社長ならなんとかしてくれそうだもんな。
「最悪、ウチの小型機でどこか秘密を守ってくれそうな病院に直接降りるほうがいいかもしれません」
秘密ねえ・・・公安にも漏らさなさそうなところはどこだろう?
「自衛隊病院なんかどうでしょう?」
いいね。ヘリポートも確実にありそうだ。




