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中型ドローンの設計思想

続いて布施です。


メッキー、中型機の構造って理解してたっけ?


「は?・・・いやー、ローター部分が畳めるのと、降着脚が実は引き上げができるってくらいかな?・・・あと・・・居室部分は確かFRPの二重構造で、あんまり金属は使ってないくらいかなぁ・・・操縦装置の部分は普通に金属部品もあるみたいだけど」


うん、大体あってる。でも、居室部分もカゴのように金属のフレームは入っているよ。

ドアヒンジのところも金属は使われている。基本的に構造材は角パイプだけどね。

じゃあ、二重になっているFRPの間には何が入っているかな?


「んーー、普通に考えたら断熱材か。FRP で真空構造は無理があるからなー。発泡スチロール的な何かかな?」


そう。そういうものが充填されている。でも、ちょっと違うのがカーボンファイバーが含まれているんだ。


「え?充填材に?CFRP 的なモノじゃなくて?」


そう。何のためだと思う?


「充填材にカーボンファイバーねぇ・・・一応電波吸収効果はあるよね?対レーダーってこと?」


実際どこまで効くかはわかんないけど、そういう意図。


「それで丸っこくない、どっちかっつーとエンピツみたいな断面なんだな?」


そう、真っ直ぐには反射させてあげない構造だね。まあ、副次的にドアを上に開けるとき、二つ折りになるから多少空間的に有利ってのもあるけど。

まあ、六角形といってもかなり四角に近いから、何もしないよりマシって程度だろうけど。


「じゃあ、あの艶消し塗料も電波吸収素材だったりするのか?」


一応ね。


「でも上部はあの色では太陽熱でアツアツにならないか?」


上部は白というか銀というか、赤外線反射塗装だよ。降りたあとローター畳むと白いだろ?


「ああ、そういやそうだ。乗り込む時はローター開いた状態だから、艶消しグレーの印象しかなかった・・・」


まあ、そう思っても不思議はないね。


「降着脚が上からずどーんと降りてるのもなんでやねんと思ってたんだけど、本体がFRPじゃ、衝撃を受けとめられないから当然のことか」


構造的にはさ、実は屋根が本体。降着脚を畳んでローターを広げてしまうと一枚板になるんだよ。


「は?・・・ああ・・・9m四方で、6ローターの板か・・・なるほど、厚みがないわけではないが、板っちゃ板だね・・・じゃあ、貨物機への応用も簡単な作りなんだな?」


その通り。今の旅客機の仕様では降着脚の間にトップリフター的なツメを付けてコンテナを吊るしている。

当然、それに耐えられる強度はあるけど、飛ぶまでが面倒なわけだ。


「まあ、実際にはコンテナの上にツメユニットを付けてから、ドローンをタイヤユニットが外れるようにしてから、その場で飛ばして、外れた降着脚部分を精密制御でツメユニットの上からピッタリ降ろして緊締だからなー」


そうだね。なので、地上側に人が必要。実質、室内でないと・・・まあ、無風なら外でもできると思うけど・・・全自動では難しいよね?


「言いたいことはわかった。あたしが言ったさっきの方式ではコンテナを運ぶことができても地上に降りるときに縄梯子が必要ということだな?」


縄梯子は不安定だと思うけど・・・


「冗談だよ。居室ユニットは割と簡単に外れるように出来ているから、そこにトップリフターユニット、ツメユニットを付けて降着脚を出した状態で荷役をしようってことっしょ?」


おっしゃる通りでございます。


「そうか・・・それならあの面倒な積載はやめて、二台目以降はその貨物機モードにすれば・・・一機目は普通の居室のままでいけるか?」


やってみないとわかんないけど、論理的には行けるはず。


「降着脚は多少伸び縮みするからそれを利用してコンテナ緊締も出来るな」


だね。


「そっちのほうが格段に便利で使いやすいじゃないか・・・」


そうだね。


「・・・なぜあんなハンパな貨物積載仕様になってたんだ?・・・いや、・・・みなまで言うな・・・実験申請を出さないとならないから、構造はバレる・・・その場合、『使えねーなー』という仕様にしておいたほうがよい、ということか?」


流石メッキー、説明が省けすぎて、楽でしょうがないよ。


「しかし・・・見た目ではそんなに居室の脱着がそんなに簡単にできるようには見えないな・・・」


まあ、そんなに「楽」じゃないけど、僕等二人でも作業はできなくはない。


「ふむ・・・つまりトップリフターユニット、コンテナのツメの取り付けが一番大変だ、ということか」


メッキー、先読みしすぎだよ。


「いや、今までの話を総合すれば居室ユニットはボルトオンということだろう?」


まあ、そうだよ。


「とすると、降着脚を使えば、というか縮めれば、居室ユニットはランディングできる」


それは正しいよ。


「で、パイプフレームがFRPの中に通されているんなら、自重以上くらいなら余裕で保持できる」


そうだね。


「となると、その時点で天井の何か内張り的なものを剥せば、ボルトオンポイントがあって、ゴツいナットを緩めるか、逆にこちら側からのボルトを緩めるかという構造になっていることが想像できる」


中々そこに辿りつけるヤツはいないけどね。


「そういう構造であればゴムなりシリコンなりのパッキンがあるはずだから、ただナットやボルトを外したとしても、ユニットは抜けないはずだ」


抜けないね。


「また、そういう構造であれば力学的接続はナットだとしても、電気、信号的に接続されているコネクタが複数系統あるはずだ。それらの長さには余裕があり、居室ユニットが離脱してから、コネクタの脱着をする構造になっているはずだ」


うん、電力系と信号系は別コネクタでの接続だね。


「そうであるなら、我々で『ゆさゆさ』すればよい」


ん?「ゆさゆさ」?


「そう。降着脚を少しずつ伸ばして、内部に我々が乗って『ゆさゆさ』して少しずつ引き剥がす。重量的に足りなきゃ、重いものを積んでゆさるとゆーことだ」


ゆさる・・・妙な動詞を作らなくてもいいけど、その認識で大丈夫。


「しかし、ピンポイントでボルトなりナットに荷重が掛かってもこまるから・・・リアクションプレート?全体に荷重を分散させる板が下にあるんじゃないか?」


あるよ。まあ、ステンレスのハニカム構造という軽量化構造だけど、それなりには重い。でも二人で持てない重さじゃない。一枚20kgくらいかな?


「まあ、実際には25kgとしても二人で持ったほうが安全だな。一人でも持てる重さだが、危険な重さでもあるしな・・・4枚というところか?」


そうだね、前後二枚ずつ、4枚ある。


「であれば一枚に最低でも16本程度のボルトオンポイントがあるだろう?24本でも驚かない」


そうだね。ちょっと正確な本数は覚えてないけどそれくらいかな?


「そうすると・・・数十トンを吊すことのできるトップリフターとなると、数百kgや1トンあっても不思議ではないだろう?降着脚を縮められるだけ縮めて、フォークリフトで位置合わせをしながら上げていくという手段しか思いつかないけど・・・フォークの下に入って作業するってのは安全基準違反だよ?」


そこに気づくか。流石だね。


「でもどうすんの?人力でやるには無理がある作業だよ?今夜やるとしたら私と布施でやるしかないんだよ?」


メッキーは少なくとも目の端には入れたことあると思うよ?


「へ?」


平戸で見たでしょ?


「えーと・・・なんだ?浄化槽ユニットじゃあるまいし・・・あ、あのヘンなトップリフターモドキを使うのか?」


あれなら重量物をいくらでも持ち上げられる。


「まあ、コンテナ三段積めるんだから相当持ち上げられるんだろうけど・・・あの機械はここで使うにはあまりにもデカすぎないか?」


別に?あれフレームの大きさだから。4隅の支柱が本体なんだよ。あれ。

小さく作ればトップリフター装着装置になる。

あの柱の上下構造はウォームギアだから、フォークと違って、事故で落ちてくる可能性は無い。さらに、自動締結機構・・・簡単にいうと機械がナットを締めてくれる機能も作りこんでおいたよ?

ダブルナットだ。


「流石だな。布施。やっぱ部長やれよ」


管理職はいいよ。僕は技術屋がいい。


「あのな、CTO を見てみろよ。役員待遇なのにパワードスーツまで作ってバリバリの肉体労働者をやってるぞ? 社長は口がメインだが、それでも赤壁の孔明並にバチバチの交渉をしているし、ガンさんだって社長なのに未だに工事の陣頭指揮も取ってる。ウチの管理職的な立場の連中は現場仕事ばかりだ」


パワードスーツ?・・・言われてみりゃ、あれはパワードスーツか。

SF の中のモノと勝手に思っていたけど、まあ、重力波エンジンという無敵のパワーユニットがあれば、作れるんだな。


なるほど、言われてみたらそうだね。打診があれば受けるよ。


「おっけー。じゃ、仕掛るぞ!!」


おー、徹夜決定か。まあ、昼間寝てたから大丈夫だけど。メッキーは?


「大丈夫、しっかり昼間は寝てたよ!」


やっぱ、僕等、普通のサラリーマンからは遠いみたいだね。


「今更っしょ?!」

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