連続式気体分留装置
國本です。
今日は開発部でブレストです。CTO も頭を悩ましてるんだって。
「というわけで、CTO は世界のどこからか、國本さんは船からのリモートですが連続式気体分留装置を、どうやって論理的整合性を持って組みあげるか、考えましょう」
はーい。布施くん、すっかりリーダーだね。
「そうだね。布施は実質開発部長になってるよな。アイツに部長にするように言っておこうか?」
いいねっ☝
「いや、別に今のままで充分ですよ。まあ、依頼が来てから考えます」
「じゃ、例のやつよろしく」
「はい。CTO から来た気体分留装置の件ですが、作れるし動作するということまでは机上実験で確実です。ただ・・・これ、このまま作ると、重力波エンジンが三つもいるんですよ・・・しかも出力的には大幅に余りまくる・・・」
「そうなるね」
「まあ、それは力技で解決しているということでアリにしてもいいんですが、現代技術に合わせる必要があります。DACという略称は一杯ありすぎるんですが、今回は Direct Air Capture:直接空気回収技術という意味でのDACを使います」
はーい。
「國本さんが化学も結構詳しいとは知らなかったんだけど、まあ、生化学をやっていたんだから、それなりに詳しくてもおかしくなかったね」
まあね。
「一応、復習のため、二酸化炭素のDAC、直接回収の面倒さについて述べてくれる?」
うん。そもそも450ppm程度なんで薄い。それに尽きる。気圧が1013hPaだとすると、二酸化炭素分圧は44Pa、0.44hPaしかない。超ざっくりで1/2500気圧ってこと。
で、一応実用化されてるっていうと化学吸着法なんだけど、これは液体にCO2を取りこんで分離してって方式です。アミンとか使うの。この組成が研究対象で実証くらいは動いてるプラントもあると思います。
この場合、吸着塔と再生塔みたいな二個の巨大タンクを立ててアミンとかの液体を循環させて、再生塔で二酸化炭素を気化させてあげる。
加熱式だと液体を冷却する必要があるけど、減圧式なら冷却不要で循環させられるから、そっちのほうが省エネ的には有利です。
「減圧?まあ、冷凍機を使えば減圧できなくないけど・・・ちょっとキレイじゃないな・・・」
CTO 、火発の側に作るんなら、LNGで冷却すれば二酸化炭素なら昇華の固化で減圧できるよ?
「まあ、限定条件にはなるけどLNG冷却か。なるほど。そりゃいいね」
ただ、この方式だと、初期投資がスゴい上にさすがにジャマ臭いので電気的吸着がいいと思います。
固体の電解質や、電極的物質に電荷を掛けるとCO2を吸着して、無電荷か逆電圧を掛けるとCO2を排出する方式です。
で、大気雰囲気でやっちゃうと何も起こらないので、膜で分離するか、液体で凝縮するかを組み合わせたりします。でもそれじゃウチらしくない。なので塩田方式がいいと思います。
「塩田方式ですか?國本さん、もう少しわかりやすく・・・」
「私もわかんないよ?」
姫ちゃん、布施くんとはいい感じ?
「いきなりぶっこんでくんなよ。内部でくっつかないとどうにもなんねーっていったのはお前じゃん。手近な所で済ませられないか検討中だよ!」
「手近って・・・まあいいや。國本さんお願いします」
はーい。仮で2気圧としますね。これくらいならわりと簡単に扱えます。
「そうですね」
Aのタンクに固体吸着剤が入っていて2気圧の大気が入っています。
ものすごく雑ですが、固体吸着剤の能力としてはAのタンクの1気圧分の二酸化炭素を吸着できるものとします。
「はい」
エアバルブが付いているとして、入口バルブと出口バルブがあって、出口バルブだけ緩めると中は2気圧だから、半分くらい二酸化炭素なしの空気が出ていきます。
「はい、そうなりますね」
そのまま入口バルブから送風して大気を入れかえます。二酸化炭素を400ppm以上にするくらいの意味です。これを掃気と定義します。
で、出口バルブを閉じて、入口バルブから2気圧になるまで大気を押し込みます。
これを繰り返していくと吸着剤に電荷を掛けたままなら、そのうち能力一杯にCO2がくっつきます。
その状態で掃気して、タンク内が大気圧になった状態で両方バルブを閉じて電荷を切れば、CO2が開放されて、2気圧でほぼ二酸化炭素分圧が1気圧の混合気体ができます。
で、最後は重力子フィールドですね。要は重力波ふるい効果として公表しているもので分離します。
そうでないと特許とかでひっかかっちゃうし?
あと、布施くん最初に重力波エンジンが三つとか言ってたけど重力子フィールドを展開するだけならエンジン一個でフィールドをいくつも展開できるじゃん。
シールド電車だって16個とか同時展開だよね?
あと、二酸化炭素、酸素、その他のほぼ不活性ガス、の三つでいいから二つフィールド展開すればいいと思うんだけど
「あーーー、そういやそうだ・・・何故かすっぽり抜けてた・・・アルゴンは回収する必要はないな・・・したらしたで金にはなりそうだけど」
「だね。フィールドでふるいかけるだけだからね。なんだろうな。オレも手癖でエンジン三つ書いちゃったよ。最近L型とか出来て、エンジンは数的には余裕できてきたけど、贅沢な構成だな、と思いつつね・・・アルゴンもフィールドで行けるなら回収しよう。なるほど塩田方式ね。確かに塩田方式っちゃそうだな。姫嶋、わかったか」
「ま、方式的には。ただ・・・実装は布施と相談しないとだけどね」
「姫嶋さん、そうね。タンクA-Bで行って来いの連続にするとか、多段、例えば5連続とかにして本当に連続式にすることも実装的には考えられる。あー・・・シミュレーションで絞るのが現実的かなー」
えへ?役に立った?CTO ?
「立った立った。設計図書くぞ。実装頼むぞ。布施!」
「わかりました・・・。メッキー、ほぼ國本さんで解決しちゃったね・・・」
「まー、あの娘は元から天才的だし・・・ラブラブパワーでつよつよなんだろうね・・・つーか社内でメッキーは言うな!!」
姫ちゃんメッキーなんだ。ま、固体吸着剤はこれからの開発なんですけどね?
「まあ、それは実際には重力子フィールドで実装すればいいだけだから」
あ、CTO 。確かにそうでした!!
「CTO 、社長に許可とって、再現不可論文のためにも、どこかの大学か会社の素材を買っておいてほうがいいですね」
「だね。しかし布施と姫嶋かぁ・・・あ、そうそう。國本?船長とは順調?」
はい、お子様二人目も実装中。割とラブラブです!!
「実装中www。モニタ越しでも・・・なんか若返ってんね。近くで見たらシワとかあんのかもだけどさ」
経産婦なめんな。シワとかタルみを探したらいっぱいあるよ?ま、船長にしか見せないけどさ。
そもそも血液型が違う小さな人類が自分の中にいるんだよ?なぜ、お互い死なないかの説明がよくわかんないレベルだよ?
「・・・そういやそうだな。何故だろうね?」
まー、胎盤の働きだと思うけど、重力波エンジンやフィールドと同じで、根本まで分かってないけど経験則で行けるなら行けるでいいんじゃない?
「それを言うかwww」




