CTO の困惑と報告
あのさあ・・・
あそこまでするかぁ?
あんなん、エロゲでしかないシチュエーションじゃん。
一応、オレも男なんで、裸の女に興奮しないわけじゃない。
顔は見慣れているが、化粧を覚えてキレいめにはなっているし。
アイツからも火無瀬には注意しておけと。
・万が一にも取り込まれたりしないように。
・暗殺が目的かもしれない。
・さらなる第三者や、国内勢力の可能性もある。
まあ、そんなとこだよな。
見た感じでは信じてもらおうと必死・・・多少性癖があろうとも、あれはさすがに恥かしいだろう・・・な様子に見えなくもなかったが、油断は禁物だ。
あのPCは操作ログを完全にIT部門に把握されちゃうヤツだから、最大でも一ヶ月も待てば、クロでない、くらいは分かるだろう。それでもグレー扱いなんだろうけど、まあ、それはしょうがない。
しかし本人から前後の穴を両方見るようにお願いがあってよかったわ。
手錠だけの全裸で転がっている姿や、前のほうを見るときには興奮しないこともなかったが、腸の内部を深めに見てたら収まったからなwww
おっと、週次1 on 1の時間だ。行くか。
・・・
おつかれ
「よう、元気か? 日光浴室は使ってるか?」
使ってるよ。あそこのお陰で外の天気も分かるしな。
「まあ、プリズムやガラスは紫外線を吸収するんだろ? 別の光源も必要なんじゃないか?」
そこは、実験で作った石英ガラスに作り替えたから。
「高いガラスだな ww」
まあ、パーチが元で作ってみたらできちゃったってやつ。
酸化シリコンの塊にすぎないからな。
「まあ、な。シリコンを単離すると、空気中だと勝手に酸化シリコンができるってことか。普通、砂からシリコンの単離なんで不可能だがな」
最初のころ、物質反応炉に落ちる漏斗のフチを回転させるようにすると単離した元素が発生するという現象を発見したからな。
重力崩壊寸前状態であれば単離した元素を掬い上げることができるという、正直、現象は確認したんだが、何故動作するのは、イマイチわかってない装置だよ。
「俺も何度も説明を受けたはずだが、イマイチ頭に入ってこないんだよな、あれ。重力波ふるい、という装置として受け入れているがな」
それでいいよ。原理的に固体も気体も関係ないが、大気中では分離できてもすぐ混ざっちまうからな。当初は固体だけだった・・・まあ、それがパーチそのものだけど。
「ちなみに、また聞いて悪いが、気体の分留はどうやっているんだ?4Kまで下げて、分留するんなら理解できるんだが」
それだと連続的にできないからな。重力子フィールドを特定の分子量の気体だけを通すフィルタにしているんだ。
「そんなことできるのか・・・」
いつものパターンだよ。やってみたらできちゃった。 ただ、一つの重力子エンジンでは一つの分子量しかフィルタリングできないから、空気を窒素と酸素に同時に分けることはできない。
「ちなみに、同位体だと質量が違うだろう?」
まあね。窒素も酸素も、大体の気体は99%以上が一種類の同位体だ。N 、O 、CO みたいに二つくっつくんだから、確率的に幅1ちょっとを許容してあげればほぼ取れる。例えば、窒素なら27.9~29.1とかさ。
そういうフィルタなら酸素は通さない。
「酸素は+2の同位体もあったはずだが」
あるけど、超少ないよ。そこをがんばる意味はない。それに、大気中で気体のまあで作れるってことはそもそも100%は目指してないよ。酸素だって窒素だって99%で充分だ。
「それで問題ないならいいか・・・火無瀬さんの様子はどうだ?」
正直おかしい。公安には捕まってないんだろ? 本人は何かされる前に社長に助けてもらった、って言っていたぞ?
「・・・ヤツら・・・なんか薬品でも使ったのか・・・少なくとも一日、約八時間は拘束されていたはずだ・・・」
ああ・・・あれはもしかしてそのせいか?
「あれって何だ?」
あれ、説明するのか・・・まあ、言っておくしかないか。
・・・
「なんと・・・公安のやつら、何らか仕込んだんだな・・・」
少しは本人の性癖もあったみたいだけどさぁ・・・
「でも、明らかに捕まっていた記憶がない時点で普通でないモノを使っている。実際回収したときも寝ていたんだ。念の為神崎にストレッチャーを持たせておいてよかったんだよ」
やられてしまったことを、記憶の深層で覚えていて、オレにやられることで上書きでもしたかった、とかかな・・・ま、何を言っても推測以上のものにはならないけどさぁ・・・
しかし、予測してたんだ?
「まあ、あそこは治外法権というか、滅茶苦茶を平気でやる組織だからな」
そうなんだ。
「報告は受けてないが、そこで死体が発生しているはずだ。その中には公安の人間か、その協力者もいるはずだ」
そうなんだ。
「いくら地下とは言っても死体を放置できないだろう? どうしてる?」
まあ、簡単に言うと真空乾燥してパーチで分子単位で回収している。
銃やらナイフも鉄や酸素、クロムに分解されているな。
「・・・身元は不明か・・・不明のままでいいかな・・・」
そうなんだ。
「じゃあ、万が一工場の中を調べたとしてもそこで死んだ証拠は見付からないな」
工場の内部ならな。通路ならわからん。
「なぜだ?」
最初は窒素雰囲気じゃなかったから、侵入されてから充填したこともある。
そしたら、酸欠して転倒、その時に地面に血痕が付いてもおかしくないだろ?
それから回収機を作ったから、48時間くらいはそこに置きっぱなし。
血は石板に吸われて、真空乾燥しても回収できなかった可能性はあるよ。
「じゃあ、通路をくまなく調べたら」
何かあるかもね。まあ、でも今は侵入しても確実に入口付近で死ぬけどね。
それに、途中の通路は試作のセグメントでツルツルだから、仮に酸素ボンベ背負ってきてもU字のところで御陀仏だろうな。
「そこに『何かがある』まではバレている。ただ、そんな要塞じみた設備とまでは思われていない」
まあ、重力波エンジンありきの建設だからな。ここ。
「しかし、気密とはいえ、オマエと火無瀬さんがいる限り、二酸化炭素が増えて酸素が減らないか?」
おまえさあ・・・頭いいクセにときどき間抜けだよな・・・前に日本でトンネルを掘ればだいたい水が出るって話あったじゃん。
水は何でできてる? こないだ開発した気体分留装置だってあるんだよ?
そうでなくても試作品やらなんやらで、普通の化学吸着式の分離装置だってあるよ。
それに電気だって使いたい放題じゃん。
「そうだったな・・・」
まったくもう・・・
「火無瀬さんは、少なくともあと一週間は直接手を出さないでくれ」
なんだよ。オレはそんなに性欲強いと思われてるのかい?
「そういうわけではないが、一緒に風呂に入るような仲になったら、しないほうが不自然だろう?」
確かに風呂は一つしかないけどさぁ。
「俺のカンでは、彼女はシロだ。例のPCも渡したんなら、一部敢えてやらかせるようになっているから、それをやらかさなかったら、さらにシロだな」
なんだ、ハニーポット付きかよ。意地悪だな
「まあ、臆病なだけだ。カンは100%は当たらないしな。しかし、予定ではもう少しあとに渡すはずじゃなかったか?」
仕事がしたいんだってさ。
「は?」
さっき説明したような痴態を晒してでも仕事がしたいんだってさ。
オレの謎メモをみんなに分かるようにするとか、指示書のブレークダウンとかさぁ。
で、自由時間にはみんなの論文を読みたいんだってさ。
「・・・流石は開発部、ということか。」
まあ、オレもそんなに差はないけどさぁ・・・




