治水工事で丸儲け
少し前に施工した工事の話になる。
野川という多摩川の支流がある。とある企業の研究所が源流らしい。
20世紀の後半、つまり、1950年代は流域も一部を除いてほとんどが畑だったそうだが、今ではほとんど宅地だ。
よって、以前は地面に染み込んだ雨水が舗装面を流れるようになった。
また、畑であれば多少の冠水も問題なかったが、住宅地であれば床下浸水でも大騒ぎである。
また、気象の激化により、雨が降ったときの降水量も激しくなっている。
しかも国分寺崖線というのがあり、野川の北岸は基本的に急斜面だ。
つまり雨が流れこむ一方だ。
さらに多摩川の本流の流量のほうも余裕がない。単に放水路を造るのでは、多摩川の下流で越流・・・いわゆる洪水だな、多分、二子玉川のあたり・・・が発生しかねない。
そのようなわけで、地下調整池+多摩川への放流路という公共工事が告示された。
このころになると、弊社も良くも悪くも有名になりすぎていて、名立たる有名企業からJVの依頼が舞い込むようになった。
正直な話、地域住民への説明会や政治的ネゴ、各種地上工事など、シールドトンネルに関わらない部分はおまかせしたほうが圧倒的に楽だ。
なので、弊社の担当部分として、トンネル工事の部分のみ、従来工法の半額程度の見積として、幹事会社に提示した。
まあ、現場粗利は90%と建設工事とは思えない数値だが、快諾された。
鉄も高くなっているし、一時期よりは粗利率は落ちている。
秘密を探ろうとする勢力もかなりいるが、国内は、一部では家の力も使い、概ね大人しくなった。今は海外勢力との戦いだ。
昔は放蕩している三男坊という扱いだったが、今では新進気鋭の経営者扱いだwww
家督相続争い?上の兄達とは20歳以上離れているし、最初からそんな気はない。
あんな本家など歴史やしがらみでガチガチで継ぐ気にはならない。
兄達とも母親は違うものの昔から仲は良かった。まあ、それこそ親子でも不思議でない年齢差だしな。
今では、小さいながらもコングロマリットの主になって、背負うモノ、気苦労などにも共通点ができて、以前より話が合うようになったほどだ。
そんな流れで「使えるもんは使え。そのほうが楽だ」との助言もあり、家の勢力を使って国内のほうはほとんど静かになった。
海外は金でどうにかなるところしかどうにもならない。元共産主義勢力のあそこや赤い国、そして、戦争大好きな太平洋の向こうの同盟国もどうにもならない。
・・・
無人ということになっている清滝工場は、無人だけあって思い切りのよい策が取れる。
地下から地上への経路は複数あり、地上からの経路っぽいものの半分以上はダミーだ。
試作シールドマシンのころからあれこれ掘っているので、かなり無茶苦茶なトンネルもある。
多分、侵入者の死者も出ているはずだが、こちらには報告は上がってきていない。
無人ということになっているので当然だ。
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さて、野川の氾濫対策だが、野川公園・武蔵野公園と、調布飛行場の下に遊水トンネルを掘る、というものだ。14.7m機のトンネルのセグメント内径を今回は、直径14.7123mとした。
断面積を170m とするためだ。
よって、1km掘れば、170,000m の容積となる。
実際にはダメになることも見越して約50万m の遊水トンネルを作成した。
そこに、先日火無瀬が脱出に利用したもう一つのトンネルも掘っておいたわけだ。
ちなみに、水の出口も複数つくってある。
一つはわかりやすく、揚水ポンプで野川に戻す口。
次が、二ヶ領の堰の下流に出る口、ここはサイフォンの原理と細い(といっても3mだが)トンネルで多摩川の堰堤の内側、いわば河原に建てた建造物から多摩川に放水する口である。
最後は透水性のある鉄筋石板による浸透だ。
今までのシールドセグメントは鉄筋でも無筋でも水を吸わなかった。
厳密に言うとまったく吸わないわけではないが、それはセメントでも同じだ。
開発部の独自研究・・・エンジニア個人の興味による研究・・・のうちの一つに、鉄筋石板を軽くしたい、というのがあった。
かといって、鉄筋の近くは透水性があるとサビの原因になる。
また、セグメントである関係上、堤防や堰堤の様に、一部に穴が開いている構造にはできない。
そこで分子結合の密度をコントロールし、鉄筋から離れた部分のセグメントは従来の強度を保ちながら水は通すようになったのだ。
ここまでくると、俺には「なんとなく」にしかわからない。
分子結合の密度に濃淡を設け、薄いところだけを透水性にしてあるそうだ。
まあ、「社長! フラクタルーって感じですよ」と言われてもな・・・。
強度と透水性を両立させたのはよかったが、当初の研究目的の軽量化は果せなかったそうだ。
地理的に言えば、国分寺崖線と多摩川の関係は河岸段丘だから、このへんの地下の土は地層としては広大な河原の土。基本的には水はけはいいということだ。
ちなみに、先日の脱出に使ったものを始めとして、こちらの目的のためのトンネル、治水と無関係なトンネルは、公共工事とは別の費用、弊社の自腹で掘っている。予算の流用などしていない。
もっとも、その公共工事で儲かりすぎたお金を使っているとも言えるが、税金処理済みなので問題ない。
現在の社屋も地上は二階建てでこじんまりとしているが、地下は広大である。
地下遊水池といっても流入してくる水には泥が含まれているので浚渫、泥の回収が必要になる。
巨大な地下施設はそのための準備工事として合法化した。
そして、調布飛行場への直接アクセスを手にしたのである。
調布-神栖の無人操縦有人飛行も間も無く許可される見込みである。
もっとも、昼間は飛行場の入口まで車でいって、普通に入る必要がある。
流石にそこは妥協した。
なお、地下遊水池の浚渫など、毎年の保守作業は、随意契約である(ニヤリ)




