工場の防衛装備
あのー・・・
「何?」
CTO ですよね?
「まあ、アイツ、社長が名付けた役職でいえばそうだよ」
ここにずっと居るんですか?
「最初は海外とかも行ったけど、通関のときにあんまりにも無防備になるからさあ、最近はずっとここだよ」
社長はご存知なんですか?
「多分、ご存知。でも絶対に聞かれない」
は?
「あのさあ、あいつ、『ウソつかない』って売りがあるんだよ」
まあ、概ねそうですね。
「そう、多少の腹芸はしないとだけど。で、オレにどこにいるの?って聞いたら知っちゃうじゃん?」
なので聞かないと?
「なら、どこにいるか知らない、と公言してもウソにならない」
まあ・・・そうですね。
で、すぐ降りると死ぬってのはどういうことですか?
「あー、そこってさ、どうしても外部からの侵入を完全に防ぐのは難しいのよ」
まあ、ダイバー装備であれば・・・
「だよね。で、気体分留装置ができたってのはそっちにも報告いってるよね?」
はい。正直、マジかよって思いましたが・・・
「いいね。マジかよ。オレもそう思う」
そうなんですか?
「うん。で、さっきも言ったけど、ここに完全に敵対勢力からの侵入を拒むってのは難しいの」
まあ、先ほど社長に脅されまくりましたが・・・
「そうね。みんな無茶を平気でする」
じゃあ、対策しているわけですね・・・毒ガスですか?
「そんな面倒なことはしない。窒素+二酸化炭素の空気。理想気体で換算しても問題ない筈だけど、分子量で大体合わせてる。で、外気のhPaに合せて、1.01倍の気圧にしている」
それは・・・数秒か数分かは知識が足りなくてわかりませんが、確かに死にますね・・・
「そう、ハッチを開けている時間で外の酸素も入ってくるけど、この時間で閉めたら酸素濃度はそんなに上がらないからね。こっちは液体窒素にして適当に蒸発させてるから」
それで寒いんですね。
「まあね。こっちから搬送機を向かわすから、そっちの機内に酸素ボンベ付きのリブリーザーがあるんじゃないかと思うから探して?」
リブリーザー?
「ダイビングアイテムだよ。知らない?」
インドアなめんなって言っていいですか?
「まあ、そうだよね。口でくわえるやつ、最悪鼻はダブルクリップで止めてもらうことになりそうだね」
それは痛そうですね・・・
「数秒だから持つ可能性のほうが高いけど・・・吸ったら死ぬから」
死ぬより痛いほうがマシということですか・・・探します。
CTO の言ったリブリーザーは社長から頂いた緊急食事キットの中に入ってました。先に教えておいて欲しかったですが、まあ、非常時ですし・・・
CTO 、リブリーザーありました。試しに付けたらめっちゃタイトです。
「それはそうだよ。海面下10~20mになることもあるんだから、大気圧で付けたら跡がビンビンに付くくらいでないとマズい」
そうなんですか・・・
「あと何分かしたら搬送機が着く。指紋と光彩認証を入れてあるから、ドローン・・・というには巨大だけど、そこから降りて、搬送機の認証を通す一分程度はリブリーザー頼りだ」
何かミスしたら・・・
「死ぬ」
そうですか・・・
「悪いが、一応、火無瀬がそっちに取り込まれている可能性も考えないといけない」
まあ、それはそうですね。
「あっさりしてんな?」
生まれて始めて女の幸せ的なものを体感してて、それが真っ赤なウソで、国際的なスパイ組織なんて本で読んだことしかないのを体験した直後ですし。
「・・・そうだな」
あのですね・・・
「何?」
もし、この 地下帝国に受け入れてもらえるのであれば、好きにしていいですよ?
「どういう意味?」
CTO も普通に男子の性的指向で、女子が好きと聞いてます
「・・・まあ、そうだよ?」
私も美人とは言えませんが・・・普通に綺麗になれるよう、努力してきました。
「ああ、学校のころに比べれば格段によくなってるね」
なので、暇潰しでいいので、抱いてください。
「・・・ここでそう来るか・・・」
だめですか(泣)
「ダメ・・・ということはないが・・・どうしたらいいんだ?」
まあ、CTO の気が向いたときだけでいいですよ。
「あまり期待しないでくれよ?」
一応、大学時代も何人かとしているので大丈夫です。
別に美人でなくても、刺激すれば大きくなるし、興奮すればできるんだなーってのは知ってますしww。
「大学時代から何年経ってると思ってんだ?そこまで若くないぞ」
40代の芸能人でも浮気や不倫報道なんかあるんですから、まだ30代のCTO ならやることはやれるんだと思ってますが?
「そうだな、できるはできると思うけどさあ」
ま、その時でいいです。さっきの反応だと、直接お会いできるまで数日かかるんじゃないかと思うんですが・・・
「そうなると思うよ?で、何か?」
買い物とか・・・
「食事はちゃんと出るよ?」
まあ、直接的な表現で申し訳ありませんが、生理用品とか下着とか、今日明日・・・明後日くらいまでは大丈夫ですが・・・あ、お風呂とかありますか?
「ある。贅沢なお風呂があるよ。電力はそれこそ売るほどあるからさあ」
じゃあ、キッチン的なものもあるんでしょうか?
「あるよ。ハッキリ言うと、本社よりよっぽど贅沢な設備がそろってる。ジムやプール、日光浴室。あと宅配受取装置もある」
日光浴室?
「うん。どうも定期的に日光浴しないと、人間的によろしくないらしい」
まあ、聞いたことはありますが。
「プリズムやミラーで減衰しているけど、本物の太陽光が来る部屋がある」
徹底してますね。
「まあ、数年地下で暮してると、一番の強敵は退屈だからね」
外へは出られないんですか?
「別に出なくても、ほとんどが宅配で済むから」
ふと思ったんですが、私を個室に隔離しても、お風呂やキッチンで会っちゃいません?
「・・・あーー、そうか。風呂は男女別になってない。トイレは複数あるから、自分で掃除するところを決めて男女別にはできるけど」
あ、搬送機らしきものが来ました。乗り込みます。
「がんばって」
・・・
あーあー、聞こえますか?
「聞こえてるよ。無事乗れたみたいだね」
ビックリするほど真っ暗ですね。
「侵入者にヒントをあげるほど優しくない」
でも窒素雰囲気ですから、すぐお亡くなりになりますよね。
「そうだね」
窒素雰囲気とはいえ死体の回収は必要ですよね?
「まあね」
死体の回収はいやじゃないですか?
「いやだよ、そりゃ」
多分だけど、何か開発したりしてません?
「まあねぇ・・・2.2mくらいの半球の回収機を作った」
半球?
「半球。回収する地面が必ずしも平坦でないから、ちょっと工夫が必要だったけど」
そうすると・・・真空あたりがキーワードですか?
「まあ、正解。液体窒素で満たして、しばらく放置。すっかり気化したら、真空吸引。そして、300~310K程度に加熱」
随分念入りなフリーズドライじゃないですか・・・
「別に賊の身元に興味はないしね。苦しんだであろう死に顔にも興味ないし」
まあ、私もいやですけどね。
でも、装備品、機械類は残りますよね。極低温で壊れてしまったとしても
「強引にパーチで吸って、元素別に回収してちゃってるよ。万が一何かの仕掛けや致死性のある何かがあるとイヤだしさあ」
・・・徹底してますね。じゃあ、死体を見たり掴んだりする必要はないんですね。私でも回収業務に出れそうです。
「まあ、お願いすることもあるかもね」
あの、どうでもいいかもしれませんが、随分と上に行ったり下に行ったりするんですね。
「まあね。どこまで曲ったシールドトンネルを掘れるかの実験とかもやったからさあ。その遺構?を活用してる。正解ルートを分かっている僕でも生身では辿りつけないよ」
そもそも窒素雰囲気ですもんね。
「例え空気に満たされていた状態でも、生身では無理。空を飛べるスーパーマン的存在でないかぎり」
スパイダーマンなら可能性ありますか?
「今はもう無理だね。一応そういうエージェントが来る可能性は検討済さ」
その上で、窒素雰囲気ですもんね。
「しかも、試作時代のシールドセグメントは、まだ表面がツルツルなんだ」
追い打ちが凄いwww




