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火無瀬さんは赴任する

まあ、私なんかはロクな恋愛経験もないんですよ。


小中学生のころの淡い初恋とか、高校生のころの恋に恋するみたいな経験はなくもないですが、実際、男女関係も大学になってから酔った勢いでって感じです。


今はわかりませんが、20代前半くらいまでは、生き物として男性を誘引する匂いが出るらしく、まさに酔った勢いで適当な男子としました。


ハタチすぎて処女というのも微妙かと思いまして。あ、避妊はしましたよ?


でも、なんで特別に美男子でもないやつらとのセックスにはまる美人女子がいるのかは理解できませんでした。

お前らなら選びたい放題じゃないの?って思ってました。


まあ、こっちの場合、相手も理系男子で特にそっちが得意というわけでもないですからね。

正直、勢いだけでしたし、なんか大学院まで行ってて処女ってゆーのも微妙?くらいの感覚でした。一回してからは、私みたいな女子でも興奮してくれるのが結構楽しかったってのもあります。


今は、社長の綺麗になれ指令があるからそれなりですが、当時は超地味女子でしたしね。


誠一さんはこの会社に入ってからの知り合いだから、『並』よりはよく見えるようになってから、のお付き合いですが、・・・よかったです・・・。


別にアレが極端にデカいとかそういうのはなくて、まあ、少ない何人かの経験の中でもサイズ的には普通のウチですが、気持ちよくしてくれる・・・という意味ではすごかったです。


なるほど、美女達もこれでハマるんだ。というのは理解できました。


今思えば、そういう訓練を積んだ人だったんだろうな、ということはわかるんですけどね。


多摩センターの古い公団団地に住んでいるご両親にも、お会いして、この人と結婚しようと思っているんだ、と紹介されました。

古いながらも小綺麗で、誠一さんの公立大学の卒業証書が飾ってありました。

いい家庭で育ったんだな、とその時は思っていました・・・


破綻は突然でした。


新社屋に移って最初の月次の1 on 1のときに、社長から言われたのが


「すまないが、F2Fで話すことが必須になった・・・ショックなこともあるかもしれないが・・・」


その時、誠一さんを信じたい気持ちと、ああ、やっぱり、という気持ち。何か言おうとしましたが、言葉が出ませんでした。なんとか、承知しました、と絞り出すのが精一杯でした。


           ・・・


社長、誠一さんは・・・


「そうだな。結論から言うと、赤い国のスパイだ」


誠一さんは無事ですか?


「日本にも公安という組織はある。彼は、黒か白かで言うと真っ黒らしい」


無事ではないんですね?


「申し訳ないが、そうらしい。君が見た、ニュータウンの団地も作り物、その時だけのものだったという結論だ」


ああ・・・誠一さんは誠一さんではなかったんですね・・・


「そうだ。残念だよ」


社長が誠一さんを・・・


「逆だ、公安から聞かされただけだ。尋問にも立会えなかったし、結果を聞いただけだ。公安相手では、一私企業(いちしきぎょう)にできることはきわめて少ないんだよ・・・」


・・・ということは、誠一さんは、あちこちの女に手を出して情報を搾取しようとしていたってことですか?


「概ねその通り。但し、最悪ではなかったであろう事実として、この何年かは君一人だけだったようだ」


・・・今更ですが・・・確かに最悪の最悪ではないですね・・・

もう、会えないとはわかっていますが、念の為に聞いておきます。

もう、()()()()()()()()()()()()、んですよね・・・


「その認識の通りだ。国として甘い措置は取れない。経緯は知らないし、聞きたくもないが、尋問中の不幸な事故、ということになっているそうだ」


拷問かどうかはわかりませんが、国として舐められないように・・・

必要なことなんですね・・・


「そう言わざるを得ない」


私も抹殺対象ですか?


「それはない。個人的には絶対に阻止する!」


でも・・・


「もし、よければ清滝工場に転属してもらいたい」


・・・それ、どこでしょう???


「まあ、わからんよな・・・北関東の元ゴルフ場のメガソーラーの地下だ」


ああ、例の地下工場ですか。実際には行ったことありませんが。


「そうだな。俺もない。で、聞いてくれ」


なんでしょうか?


「君は公安から狙われている。違法な捜査も平気でやる連中だし、尋問と称して陵辱される可能性もある」


まあ、彼も殺されてしまったようですし、そうかもしれませんね。


「それだけじゃない。赤い国の報復対象に君が入る可能性もある」


あっさり痛くないように殺してくれるのなら・・・


「そんなこと言うな!!君も大切な社員なんだ!!得難い人材なんだよ!!」


でも・・・


「確かに君は派手な成果は出してない! でも、アイツのテキトー論文や文章を整理して補筆して開発部全員がわかる文章にできるってだけで相当の逸材なんだよ!!」


そうでしょうか? 開発部のメンバーなら大半はできるのでは?


「そんなことはない!!断じてない!! でなければ、アイツが君のことを今のように頼りにするか?! あまりアイツを甘やかすな、と、君に言いたくなったことすらあるんだぞ!!」


それは・・・ありがたくお褒めの言葉として受けとっておきます。

でも、もう、普通に鉄道で移動するのも安全じゃないってことですよね・・・

少なくとも赤の国には彼から私の写真くらいは渡っているでしょうし、公安さんも自国の国民だから、情報は掴んでいるでしょうし・・・


「そうだな。どちらも非合法な手段を平気で使ってくる。車で行ってもらうことも考えたが、高速で囲まれでもしたらどうしようもない。なので、非合法には非合法で対応することにした」


もしかして、野川の工事のときについでに作ったアレですか?


「そう、それが一瞬で分かる時点で逸材なんだ。ただ、有人でのテストはまだしていない」


社長だって平戸の時にいきなり使ったじゃないですか・・・

うちの製作物はそれなりに安全ですよ。


「まあな。それで行ってもらうので、食べて寝ておいて欲しい」


ああ、そうですね。深夜に無灯火で行くというか行かせるおつもりですね


「基本的には高速道路の上を飛ぶから、君からは下が良く見えるはずだ」


都心にまわるわけないですよね?郊外から行くとして、トンネルのところはどうなります?


「地形データも入ってるし対地レーダー、LiDAR、赤外線カメラ総動員で一定の高さをキープする。さすがに八王子のあたりはJCTに回るのではなく、送電線ルートを使う」


送電線?山の上を通っているとかですか?


「そうだ。市街地から離れて圏央道までショートカットだ」


まあ、わかりました。私に選択肢はないようですので、赴任します。

でも、あそこは衛星写真で見ても太陽光発電所にしか見えないのがウリだったと思いますけど・・・どこに降りるんですか?


「最近できたところだよ。現役のゴルフ場だったころとの差異を考えてみてごらん」


・・・ああ、なるほど、深夜というかDawn、夜明け前が望ましいわけですね。


「御名答。やはり君は得難い人材だよ!」

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