リサイクル分野へ進出する決意
あっという間の一週間、今週も忙しかった。
なんとかRORO船の母港も決まった。茨城県某所の工業港だ。
ここには弊社の祖業の一つである太陽光発電、いわゆるメガソーラーがあり、それを買収するとともに、全面的に再構築する。
数年前から言われてきた、メガソーラーの寿命がきたらどうする?問題だ。
2000年から2010年ごろに作られてきたメガソーラの寿命は延命しても30年がいいところだ。
ここは海のそばで塩害もあり、「こんなとこ買って再度メガソーラーなんて大変だよ・・・」と言われたが、メインは母港化と、あと一つなのであまり問題はない。
ちなみに、リサイクル会社も的山大島だけでなく都内や茨城に拠点のある会社も買っている。
ちゃんと太陽電池リサイクルにも対応しているところだ。
いわゆる都市鉱山、スマホとか家電からの貴金属回収も可能だ。
まあ、みんな呑みながらでいいので聞いてくれ。だいたい筋道は付いたんで発表するが、リサイクル分野にも事業を伸ばしていこうと思う。
そう、金曜夕方の開発部強制シャットダウン後の、実質コアメンバー呑み会だ。
「えー、社長? ゆかい丸の母港をあそこにするんですか? あそこまでだとアクセスがよくないと思うんですが・・・」
まあ、そうだな。國本くん。無茶は承知で、全自動有人ドローンとしてウチのを航空局で許可が出るように働きかけている。
「どうやったんですか?」
大したことはしてない。有人無人機としての登録をしただけだ。
「有人無人機?」
そう。ペイロードとして人は乗っているが、操縦者じゃない。日本でも一部都市でそういう自動運転タクシーが走っているだろう?
「「「ああーー」」」
「それより社長、太陽電池ってリサイクル必要なんですか? 100年くらいは発電してくれるものだと思ってました・・・」
清水さん、いい質問だ。
メガソーラーは時期によって無機、有機の汚染物質の問題がある。わかりやすい例はカドミウムだな。
「あー、確かに」「Cdはマズいよな」「砒素と鉛もあるよ、ほら古いハンダとか」
そうだな。それにここ数年、国策的に導入されているベロブスカイト太陽電池、これは鉛が含まれているので基本的に人体に有毒だ。
「鉛もアレだな」「うん、RoHS でも規制されてるしな」「Pbはよろしくない」
で、肝心な寿命だが、2000年から2010年くらい、またはそれ以前のものはよくわかっていない。20年前後、まあ、最大で30年というところだろうな。
FIT制度、固定価格買取制度で家庭用などの小口が増え始めたことからのものだと想定25年程度のものが多いようだ。
なので、20世紀のものは既に、21世紀初頭のものもほぼ全て寿命が来ている。
大量普及時期のもの、メガソーラーなんてものが作られはじめたころのものもどんどん寿命がくるんだ。
「えーーー、そうなんですか。そんなに短いとは思いませんでした・・・うちにある。おじいさんの電卓、12ケタの大きいやつですけどソーラー電卓で、今でも現役で使えてます・・・具体的にはわかんないですが、40~50年くらい前のものだと思うんですけど。夜でも電灯・・・LED照明ですけど、つい電灯って言っちゃいますね・・・の、あかり、暗めでも、ふつーに動きますよ?」
うん、清水さん、それは単純な太陽電池とソーラーパネルの違いだ。
太陽電池は半導体シートで、電卓が古いものなら、間違いなくシリコン、ケイ素だな。
液晶電卓で難しい計算をしないものなら、本当にわずかな電力で動く。
ただ、バックライトは無いはずだから、そもそもの液晶画面自体が見れる程度には明るくないといけないはずだ。
「はい、それはそうですね。光る機能は無かったと思います。でも、ソーラーパネルだと何が違うんですか?」
うん、電卓の太陽電池も、ソーラーパネルも光を電気に変えるという意味では一緒だが、環境がまったく違う。
電卓、古くて大きいものなら、それなりに当時は高価だったかもしれない。
間違えてお茶や水をこぼして動かなくなったらどう思う?
「どう・・・まあ、電気で動くものに水を掛けたら壊れるのはしょうがないかと・・・あっ!」
そう、ソーラーパネルは水どころか、より電気の通りやすい雨水がかかる。雨の日に発電できないのはしかたないが、台風で大雨が来ても、こわれちゃ困るんだ。
確かシリコンのものでも重量比で言えば、本来の太陽電池、シリコン結晶は重量でいうと5%も無かったはずで、ガラスが半分くらいじゃなかったかな・・・布施君、わかるか?
「僕ですか・・・だいたいなら覚えてます。モノにもよりますが、重量比で言うと、ガラスが60~63%、アルミ、フレーム部分ですね、が15~16%、EVA含むプラスチックが17~18%、シリコンが3~4%、その他金属が1%弱って感じだと思います。アルミは枠の金属なので回収は楽ですが、シリコン、セル・・・要は電池部分をセルと言います・・・と、表で保護しているガラス、裏にある絶縁部分のプラスチックとそれらを全部まとめてEVAでラップに包んでいるような構造ですから、そこの分離は面倒ですね」
そうだな、ラップで何重か?少なくとも二重には包んである。
で、北関東の工場では、パーチのようなものを気体でできないか研究してたよな?
「あーーー・・・そこに繋がるんですか・・・確かに」
「だから開発部と社長だけで会話しないで下さい!!一般人にもわかりやすく!!」
「まあまあ、清水さん、薄めのを一杯どーぞ」「あ、ありがとう、國本さん。船に乗ってからほんと、普通になったよね?」
「えへっ^_^」
「あー、清水さん、ちょっと難しい話になっちゃうんだけど、空気中の分子を仮に分離できるとすると、モル比・・・というとアレだからほぼ同等の体積比ね、それで言うと、窒素が78%ちょい、酸素が21%弱、この時点で99%、次がアルゴンで0.9%ちょい。この時点で99.9%越え。残りを全部合わせて、0.1%未満」
「え、二酸化炭素って0.1%もないのに大問題なんですか?」
「うん、0.04~0.05%、ちなみに普通はppm、百万分のいくつでいうんで、今は450ppm行ってないくらいかな?」
「パーセントで0.01なら一万分の一だから・・・あー、450でいいんだ・・・そんなんで大問題なんだ・・・」
「いまそれを話すと長くなりすぎるから、とりあえず戻るね」
「はい、わかりました」
「アルゴンなら完璧だけど、窒素でも大丈夫なので、窒素だけの部屋を作れたとする。人間が入ったら一瞬で窒息して死ぬけどね」
「はい。だから窒素というのは聞いた気がします」
「そうかもね。その窒素の部屋を温めて、気温を・・・具体的な数値がちょっとわからないから、仮で300~500℃くらいとすると、EVAを含むプラスチックが分解できますし、部屋の窒素とはあまり反応しません」
「そうなんですね」
「ちなみにハンダも落ちますが、金属なので重い。容易に分類できます」
「それはわかります」
「溶かすのに800~1200℃が必要なガラスや1400℃のシリコン、リボンといわれる配線類はほぼ銅なので1085℃だったかな?つまり500℃の気体のくらいでは溶けません」
「ちなみにハンダは何度くらいなんですか?」
「鉛入りで200℃いらないくらい、鉛フリー、今使われているのはほとんどこれね、そっちでも250℃あれば溶ける」
「かなり低いんですね?でもいくら高温といっても気体で金属が溶けるんですか?」
「低くても溶けるからハンダ付けができるわけです。清水さんもガラス工芸の職人さんがバーナーでガラスを真っ赤にしたあと、息を吹き込みながら回して加工する動画とか見たことあるよね?」
「はい、ありますよ」
「あれ、気体です。それに、普通にガスコンロで200℃弱の温度が必要な揚げ物ができますよね?あれもガスだから気体、メタン、エタン、プロパン、ブタンガスあたり。少なくとも放置して天ぷら油が発火する380℃くらいまでは上げられるから、天ぷら火災とかが起きる。なので、最近のコンロは勝手に停止する安全装置が付いたりしているわけです」
「あ、確かに・・・ガス、気体ですね。ガスコンロ」
で、気化したEVA、プラスチックを含んだ上記を回収して、窒素を分離しながら冷却するとプラスチックの元が取れる。
「社長、布施さんからいいとこ取らないであげて下さい!!プラスチックの元ってなんですか?」
プラスチックは何から作っていると思う?元は石油だ。




