RORO船、ゆかい丸 乗船
國本くん、もしかして呑んでる?
まあ、かまわんが・・・
「はい!社長!ガラにもなくあんな着飾ってニコニコするのは苦痛でした!!」
いや、美人だったぞ?
「あれは、メイクさん?すたいりすとさんのおかげですぅ」
それにしたって、素材がいいということだろう。吉岡技官が臨時で乗られるので、飲酒勤務はよろしくない。そこあたりは配慮していただきたいな。
あと、技官のことはノリさんと呼ぶように。
「しょーちいたしましたたたぁ。國本は退勤ずみとさせれいたらきー、宿直室にてしゅーしんいたしますー」
既に作業着に着替えていた彼女は宿直室のほうへ歩いていった。
やれやれ・・・まあ、大舞台を彼女達の力で乗り切ったのは事実だし、多少ハメを外すのはかまわないが・・・
「社長、貴社では勤務中の飲酒を認めておられるのですか?」
無論、禁止です。ノリさん。
彼女は人前に出るのも目立つのもかなり苦手なタイプで、もしかすると、誰かが景気付けとか言って少し呑ませたのかもしれません。
ただ、あの開通式は弊社としてはまともな勤務とは言えない認識ではありますが。
「・・・そう言われてしまうと・・・私の認識でもあなたがたを無理矢理引っ張り出すのが目的、施工業者が壇上で挨拶など普通は有り得ませんからね」
おっしゃる通りです。
「まあ、それも上手く活用された社長がお上手というわけですか。というか、ある程度察知していて、この準備周到、というわけですか?」
高速撤収は今後の展開も考えて、事前に計画済みでした。
設備産業ですから、なるべく設備を遊ばせないために、今後のスケジューリングを考えると一度実施して、データを取っておくことが重要と考えております。
私にも知人などはおりますので、「○○の周辺が騒がしい」「××の秘書が動いている」などの話は多少、聞こえてきます。
「それにしても有人ドローンに着艦設備を備えた『輸送船』ですか」
はい。正確にはRORO船ですね。車両だけでなく、ラスト10マイルくらいのドローンによる輸送も考えています。
島嶼部だと大型船が着岸できないことも考えられますので。
「ドローンですと、着陸できない所もあるかと思いますが?」
はい。そちらのほうが多いかと。なので、軽トラに乗せる小型のウィングコンテナを開発して・・・開発というほどのものでもありませんが、製作しました。
「なるほど、それでドローンの公称積載量を350kgにしているんですね。コンテナ含めて350kgなら、合法的に軽トラに載せられますからね」
そうです。荷役のことも考える、とRORO用のランウェイから降ろしても、トレーラーヘッドが無ければどうにもなりませんし、ガントリークレーンもあるはずもないです。
直接軽トラの荷台にドローンで載せてしまえば接岸の必要もありませんから楽です。
「なるほど・・・重ければ載せただけでも大丈夫でしょうけど、空荷だと固定しないと危険ですよね?そこはいかがですか?」
それについては高速を走るわけでもないので、普通のトラックロープで固定してくれれば大丈夫です。そこは、その程度の走り方にしてくれ、というお願いになりますが。
「なにかアタッチメントなどを作成してカチっとはめるほうがお好きかと思いましたが・・・」
軽トラの荷台のサイズというのはいくつかあるそうで、いろいろ試してもらいましたが、原始的なのが一番頼りになるという結論でした。
まあ、ドローン側は爪でカッチリはめますけど。
「なるほど・・・」
一応納得したようだ。ノリさんには会議室で休憩してもらおう。
ノリさん、口調はどちらでもかまいませんが、会議室に簡単な食事を用意してあるはずですので、そちらでご休憩ください。
そこに行く途中にお手洗いもあります。
今後の事は明日相談しましょう。
先ほどの國本は先に業務後モードでしたが、式典にも参加した松丘と姫嶋も食事をする予定ですのでよろしければご一緒にどうぞ。
別に呑んでいただく、という認識ではなく、社員と同等の酒食をお出しするだけですので、酒類も御遠慮なくどうぞ。
どうしても、ということであれば後日精算して領収書もお出ししますよ。
「社員にもお酒を提供されているのですね。比喩でなく『乗り掛かった船』ですから、流儀に従いますよ。明日相談、ということは何日かかるかもわかりませんからね。一人一本・・・船ですから缶のほうが安全ですかね?」
社員と同様の扱いですと、一人4缶が一日あたりの上限です。繰越はできません。まあ、500mlの缶ですので、普通は上限で充分な量です。
「結構豪快ですね。最大2Lですか。ビールだと大瓶でも3本。わたしも多少は呑みたいほうなので、350 一缶だとちょっと寂しいかな、くらいでしたが、それなら充分です」
まあ、私も割と好きですので。それに箱で買えば小売店でも安いものです。
100万円もあれば20人分としても約二ヶ月は持ちます。
「100万ですか。まあ、船の経費と考えれば大した額でもないのでしょう。ちゃんと保管しておけば腐るものでもありませんし」
そうですね。はははっ、ノリさん、彼女達の開通式でのハデな衣装、ざっくりで1000万掛けてますから。
「!!!それは・・・会社の経費にはできないでしょう?」
はい。私のポケットマネーです。ほら、彼女たちは理系美女ではありますが、化粧品にお金を掛けるタイプでもないですから、服や装飾品だけでなく、スタイリストさんにブランド物の化粧品とその使い方レクチャーまでお願いしました。
彼・・・じゃない、彼女もある意味一日チャーターしたので、普通に10万円以上支払いましたしね。
「なんともはや・・・私とは金銭感覚が違いすぎますな。一応社長の一族の話くらいは聞いたことはございますが・・・では、ありがたく食事を頂くことにします」
はい。お酒も遠慮なさらず。缶ばかりですが冷してあります。ビール以外にもワインやチューハイ、ハイボールもありますよ。ビールやチューハイは糖質ゼロもあります。
なお、宿直室へにご案内は女性がするとよろしくないかもしれませんので、松丘のほうに指示しています。
あと、蛇口の水は飲用できるものとできないものがあるので、お呑みになられたときは、500の水のペットボトルを二本お持ちになって下さい。
「誠に念のいったことで恐縮です。お酒、食事も水もありがたく頂戴します」




