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日本盾管隧道建設工業株式会社  作者: Jack...
4年目
26/103

ロストテクノロジーは特には無いが、鷹島口トンネル完成間近

「まあ、よくあることですよ」


そういうものなんだな・・・


「どちらにしろ、言質を取って書類を作ったあと、建設を終わらせてしまえば、言った言わないも何もないです。個人の力では壊すこともできませんし」


まあ、それはそうだな。


「しかし、これはどんなテクノロジーなんでしょうか?どこから持ってきたんですか?」


吉岡技官、何のことでしょう?


「またしらばっくれますか・・・あなたがたは試掘と称してますが、新末橘TNにしろ、明らかに竣工してますよね?」


何のこと・・・まあ、わかっちゃいますよね。


「・・・墓の下まで持っていかなきゃいけないことが、また、増えたみたいですね・・・」


また、ということは今までもいくつかお持ちだったということですか?


「技官なんてことをしていると、そういうお話が来ることはあるんですよ」


ウチの技術もそのように評価していただけたことはありがたいことです。


「・・・そういうレベルじゃないですよね? 本来なら、大臣や総理大臣表彰でなく、ノーベル賞でもおかしくない。

再現ができてないので、世界的には異端扱いですが、見ればわかります。

量産・・・かどうかは微妙ですが、地方の主要都市の下水道工事をやりながら、こちらでトンネルを掘れる程度にはこのシールドマシンの量産・・・少なくとも複数生産は出来ている。

例の鉄道車両の展開も見てしまいましたしね。あれはバルーンなら可能でしょうけど、金属製のシールドのカーネルとしては異常でしょう。普通、油圧でなければ展開不可能なはずです。

しかも、それが単体で発進して、シールドトンネルを掘れるなんてどこのロストテクノロジーですか?」


何のことでしょう。


「まあ、いいですよ。特にどこの国とは申し上げませんが、USの軍組織等々に巻き込まれないよう、お気をつけ下さい」


ご忠告、ありがとうございます。まあ、いろいろとアクセスはされています。


「それはそうでしょうね」


           ・・・


ともあれ、吉岡技官もびっくりの速度で工事は進んだ。


鷹島口側では大規模土工が必要だったため、地元の複数の建設工事会社に仕事を発注した。

災害復旧は公共工事なので所謂(いわゆる)相見積(あいみつ)を取って、最も安いところに発注する方式だ。


しかしこれにもウラがあり、地元で口利きをする談合屋が実質仕切っている。


吉岡技官やガンさんにも聞いてみたところ、そういうもんだ、あきらめろ、くらいの返答だったので、別の方式で嫌がらせをしてやることにした。


鷹島口現場事務所は、完全に山の中を切り開いて作っている。後で植林する予定だが、今は更地だ。


人員輸送は今福駅からだ。ここまでは各社の車なりバンなりで来てもらう。


今福駅の既に線路を撤去してしまった路盤に再度仮設線路を引き、本線に合流できるポイントを設置した。

現状では、旅客運転は今福で折り返している。

利用されていない一面のホームを借りることも考えたが、工事環境は分離するべきだ、との原則で仮設線路での乗り降りとした。


車両は貨車ベースの幌人車(ほろじんしゃ)だ。


なにそれ?となると思う。人員輸送用に適当にでっちあげた車両だからな。

かまぼこ型、というほど上は丸くないが、パワポでありがちな角丸四角形をぶった切ったような車体の枠に、耐水性のテント地を貼ったものだ。

真っ暗にならないよう、床から1mくらいのところから天井の丸みのあたりまでは糸入りPVC素材でできている。


構造材は鉄パイプで、高さは2.2m程度、中央の背骨になる鉄パイプ以外にも二本の鉄パイプが縦に走っており、それら三本から、数十本のロープが吊されている。


そう、立ち乗りだ。


乗り降りは前後から。通勤電車の貫通路に相当するところに出入口があり、上半分は上に、下半分にはラダー、階段が組みこまれており、そのまま地表に降りられるようになっている。


現場にはプラットフォームなんて粋なものはないので、今福での乗り込みも同じ方式のほうがよかったわけだ。


前後の昇降口の枠、幌のフレームは鉄で出来ているので、他車との軽い接触があっても怪我はしにくいはずだが、昇降口そのものは高さ1.9mと低いので、背の高い職人や作業員は頭をぶつける可能性がある。


もっとも乗る時には保護帽、工事関係者が付けているヘルメットは必着なので、よっぽどのことがない限り大丈夫だ。


なお、昇降口の幅は1.5m程度とかなり広めだ。職人の荷物はデカいからな。


屋根や前後の妻部には合板等、木材も多用されている。


速度は15km/h程度しか出さないし、工事期間だけ持てばいい、というまるで戦時設計のような思想で作られている。


しかし、内部の照明はLEDライト・・・民生品のシーリングライトそのものだが・・・など、最低限の居住性はある。


冷暖房もないが、特に帰りは臭いの問題があるので、屋根には埋め込み式のファンが付いており、下、室内から吸い込んだ空気を真横に排気する。

エアコンの室内機のようなファンなので、それほどの騒音ではない。また、雨の吹き込みも防いでいる。


そもそも台枠に鉄板・合板・鉄メッシュ板を載せているだけのような構造なので、気密性はない。

15km/hでも10分とかからないので冬場は我慢してもらう、という対策になる。


耐火性もあまり無いが、横の壁が幌なので、燃えたとしても一瞬で焼け落ちてしまうので、避難は容易だ。

あまり可能性はないが、床板が燃えたとしても乗客のうちだれかしらは刃物を持っているので、切ればそこが非常口だ。


高さが2.2mと低めなのは、仮GVが押すスタイルでも運転台からの前方視界を確保するためだ。


なお、普通に走っている通勤電車と同じようなサイズで、最大乗車人数が50~60人、ロングシート、ドアすらないので、じつはゆったりとしている。


さて、現場の職人、作業者の昼飯は基本的に弁当だ。

自分で持ってくる人、コンビニなどで買う、現場で仕出しをまとめる等あるが、基本、アツアツの飯は食えない。


農閑期 = 寒い時期なので、これは、それなりに辛い。


そこで、本社でもやっている食事提供をした。

基本的に昼飯は労働者の個人負担だ。

なので、現金精算または、会社によっては天引きも可とした。

要は会社の信用力があれば天引き可で、そうでなければ不可だ。

もっとも、談合組合に入っているような会社はそれなりに信用力があるので、ほとんどの会社は天引き可。

二次・三次受けの一人親方の職人もそちらの会社経由であれば天引きOKだ。


金額は安定の300円。

自作おにぎりにフリカケだけ、みたいな弁当よりは高い。

しかし、この価格では格安スーパーの弁当くらいしか買えない。

栄養も量も考えられていて、暖かい飯が食えるとなれば、皆、こちら一択だ。


更地の現場でどうやって料理する?

キッチンなど無いはずだ?

外ではすぐ冷えてしまうだろう?


これらについては、前述の幌人車とキッチンコンテナで解決した。


31ftコンテナをキッチンカーに改造するのは割と難しくない。

というか、こちらの現場事務所を作るときにもカプセルホテル改造やら、キッチン改造やら、シャワールーム改造など、かなりの量をやらかしている。


幅:2.3m 長さ:9.2m 高さ2.3mの空間と考えると結構やりようはある。


問題は給水と排水、上下水道だけだ。電力はウチの場合、重力波エンジンを使うという大技で大体解決可能だ。


昼食は300円。これで暖かい料理を提供する。

キッチンコンテナで受けとった食事を幌人車で食べてもらうのだ。

ウチの社員も一緒のものを一緒に食べる。

元請けの社員はプレハブの中で、下請けは外で、なんて現場も多いそうだ。

同じものを同じ机で食べるだけでも好感度は上がるだろう。


人員輸送中でなく留置中であれば、会議用の折り畳み机、パイプ椅子、寒ければ石油・電気ストーブだって置ける。

それ一両に50~60人を一両に詰めると割と手狭だが、まあ、なんとかなる。

幌人車は二両あるからだ。そして、現場から松浦側は開通していない。

つまり車両を留置する線路がある。

よって、現場に屋根がと平らな床があるところをそれなりに作れるのだ。


ボギー台車台枠キットは、 JRF から廃車発生品を安く譲り受けて再生し、量産している。

現場作業での優位性が半端無いからだ。バラせば 31ft ウイングコンテナに積載できるようになっているため、長距離は鉄道で、最後はトラックで運べる。

まあ、量産といっても10台を超える程度だ。大した両数ではない。


貨車も試作は仮組だったが、台枠キットに置き換えられた。

全てフォークリフトで荷役、組立可能になったので効率が大幅にアップするはずだ。


仮GVは江迎鹿町で組み立てから一度も分解してないので、置き換えはまだだ。


そんなわけでウチの現場に慣れると、ヨソが辛くなり、どの職人もグチってしま

うようになった。


「シールド工業の現場はよかったぜー。昼飯も300円で暖かいモンが腹一杯だったしよー」

地元の圧力で談合組合を抜けるのは難しいにしろ、次の機会があれば現場の声も無視できまい。土工なんてのは人の数がいてナンボという商売だからな。


原価は300円未満なのは事実でも、会社の食堂と違い料理人を雇っている。

キッチンコンテナなんてものもヨソとの兼用といいつつ作ってしまっている。

価格対効果という意味ではまったくモトが取れてない。


いいんだ。これは先行投資であり、他の現場でも応用できることばかりだ。


そして、これが俺なりの、嫌がらせ、意趣返しだからだ。


もっとも、案件全体としては余裕の黒字なのだから何の問題もない。


俺に鉄道趣味・贔屓は無かったはずだが、これだけ鉄道の威力を体感すると、文明開花の明治期に鉄道が大ブームになったことも理解できる。


まあ、災害で休止中の線路を使える、という特殊条件ではあるので、どの案件でもできる話じゃない。


ただ、今後考えている三セクの災害対応や、事前の悪条件部分の路線付替工事などでは少なからず廃線部分が出るわけだから、応用は可能だろう。


そのために今回 7m 機を使ったというのもあるからな。

7m のシールドトンネルなら、交流20KVでも問題ない。単線だが、必要があれば二つ掘ればいいのだ。


そういう三セクだったら JRF が第二種をやっている。

なので、頼めば貨物輸送してもらえることも確実だ。

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