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工場の様子

さて、シールドマシンと重力波エンジン、最初は家内製手工業という感じだったが、そうもいかなくなった。そこで、重力波エンジン発祥の地、群馬県某所に、清滝工場という工場を作った。


元はゴルフ場、現メガソーラーである。よって、弊社の事業項目にはメガソーラーの運営と売電が含まれている。何故、メガソーラーなのか、理由はカンタンである。


元ゴルフ場で現メガソーラーな場所というのは比較的主要道路からのアクセスがよい、少なくともひどく悪くはない場所にある。また、点検用の道路も整備済みである。そして、一帯が立ち入り禁止、金網で囲われているのも通常仕様だ。そして、避雷針が多数あるのも不自然ではない。


メガソーラーというのは太陽電池とそれを支える地盤、そして変電装置、逆潮流などの制御装置などからなる。そのウチの最大面積を占めるのは言うまでもなくパネルと地盤である。これらは軽いものではないが、上にビルや工場が載っているのと比べれば圧倒的に軽い。高速道路の路盤よりも軽いのだ。


さらに言えば、山の上の元ゴルフ場、傾斜がある。よって、どこかの低めのところから掘って行けば最初はともかく、次第に土被りが厚くなり、安全に地下設備が作れる。特に試作の3m機が一応動作するようになってからは、カンタンに掘れるようになった。地中に居ながら自分の位置を正確に把握する方式などもこの工場の建設そのもので開発していったのだ。


鉄筋岩盤が作れるようになってからは安全性もどんどん向上していった。最初のころはヒヤヒヤの事象も無くはなかったが、安全対策は重要なので自動化、無人化を進めた。

極論だが、落盤してもマシンが勝手に返ってきてくれればOKという方針の時期もあった。地中のドローンという感じだ。

結局支保工と鉄筋岩盤を用いたアーチ状ドーム・・・カマボコ型の屋根だな・・・の形成というわりと従来型の地下工場となった。


ゴルフ場の地下だから、それなりに巨大だ。一つの巨大工場というわけではなく、初期はゴルフコースの下に、だんだんと複数のコースをあわせた下に掘るようになっていった。欠点は照明、排水、換気にそれなりの電力が必要なことだが、昼間はほぼ問題ない。売電するほど電気はあるのだ。実際には重力子エンジンができる毎に電力は増えるので、特に離れた、最初の工場、というか地下空間、そこに避雷針からの電力が集まるのだが、そこで新たな重力子エンジンが起動するたびに、電力には余裕ができている。もちろん出荷するので増えつづけるわけではない。


そして、今でもメガソーラーとして運営されており、利益も出ている。また匿名投資組合の持ち物ともしているので出資金も集めやすかった。繰りかえすが、今も現役のメガソーラーである。


なので、航空写真やら衛星写真を撮られても、工場の存在はかなり見付けにくい。そりゃそうだ。メガソーラーにしか見えないのだから。


重力子エンジン自体は大きくない。軽くはないが超絶重いというものでもない。軽トラでは難しいが、普通のトラックで運べる。シールドマシンは群馬県の高崎市近郊にある工場を買収し、その一部をシールドマシン用に改修した。また隣接地にもミニソーラーがあったのでそこも買い取り、JRF倉野駅まで直通経路を作り、今時珍しい引込線を設置した。


なぜかと言えばこの駅からは首都圏の新座、越谷、東北の秋田、そして、今回の舞台に近い福岡貨物ターミナルへの定期列車が設定されている。つまり、日本のあちこち、東北から九州までは一本で行ける。途中で積み替えをすれば北海道から鹿児島までいけるわけだ。


金属を加工する工場に、トラックが出入りするのも貨物列車の取扱があるのも何の不思議もない。昨今のモーダルシフト、サスティナブル指向を考えればトラックより日数が不安定だがCO2排出量の少ない鉄道への切替はおかしくないのだ。


初期に仕事を取れた下水道工事も北関東の仕事が多かったので地理的にもここが良かった。


と、いうわけでJRFにとっては弊社は顧客でもあったため、色々な話を通すにしても聞いてもらいやすかったわけだ。


投資をするにしてもある程度はすぐに利益を生まないと投資をし続けられない。俺は自分のコネやカネも使ったが、メガソーラーや利益の出ている企業の買収とそしてその最適化という形でそれを実現している。


個人のトータル投資でいうとマイナスだが、こういう資産を元に匿名投資組合を作ればある程度のカネを集められる。まぁ、どこかで当てるまでは自転車操業なんだが、重力波エンジンと我々のシールド工法は徐々にカネを生みつつある。


つまりアタリはほぼ確定なので、これでカネを生みだせば自転車操業は終わり、怒涛の回収モードに入る予定なのだ。


これからは、既存工法で数千億の案件を200億で受注しても、現場粗利が160億という世界だ。200億だと安すぎて入札が通らない。

最低入札価格を下回ってしまうので、ギリギリを狙うしかない。仮に既存工法の参考価格が5000億円だとして、最低入札価格が3000億円だとしたら、ウチの会社は3001億円を狙う。そのためにはグレーかもしれないが現地企業の勉強会だの研究会に参加するのも厭わない。


3001億で札を落として、現場粗利が2960億というのは帳簿的に異常すぎる。なので色々ごまかす、というか、ゆっくり技術を開示していくためにダミー工程もふんだんに実施するし、地元企業にもオイシイ仕事を回す。


別に違法なことをしているわけではない。冗談みたいなコスト削減工法を開発しただけだ。そして、それを発注側、地元企業、ヘタしたら大手ゼネコンにも還元しているだけだ。


正直探られたくはない。ので、時間を掛けてこんな謎の地下工場を建設し、そこで機器を作成し、全国への運輸体制を作ってきた。


初期の下水道工事のころは、なんとかトラックに乗る分解方法を確立したり、結局1機しか作らなかったが、2.75m機を作ったりもした。


まぁ、試行錯誤の結果として、大型コンテナに7m以上の大型機と仮設組立装置を載せて運ぶ目処もついたし、手元資金も増えた。キャッシュフロー的には大クロである。


さあ、回収の時間だ。と言いたいところだが、まだそれは少し先になる。

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