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シールドマシンの輸送は大変

重力式シールドのシールドマシンだが、長さは短い。


3m機は3m、5m機は4.6m、7m機は7m、10m機は10m、そして、14m機は14.7mだ。


つまりシールド断面と同じ長さで作られている。一般的なシールドマシンもだいたいそんなもんだ。もっとも、一般的なシールドマシンは後端が伸び縮みしてシールドセグメントを押し広げながらハメ込んだりしないし、バックして戻ってきて、あちこちの工事に汎用的に使えたりはしない。


一般的なシールド工法では、シールドセグメントの外径とシールドマシンの外径が一緒だからだ。原理的にバックできず、マシンは使い捨てになる。


弊社(ウチ)のシールドマシンだとマシンの外径とセグメントの()()が一致する。実際には僅かにマシンのほうが細いため、内蔵されているクローラー・・・キャタピラのほうが通じるか?・・・を使うことで緩斜面なら登りであってもバックできる。


重さだが、だいたい直径に比例しているが、大きいほうが比例よりは重い傾向がある。

俺が聞いている限り、という話なので、勘違いや誤差、実際に作ったらもっと重くなった、などがあるかもしれないが、3m機なら15トン、14m機は100トンくらいと聞いている。


この意味がわかるだろうか。二乗三乗の法則に反している。基本的に大型機が軽すぎるのだ。


例えば中央リニアの工事で使われたシールドマシンは直径14m強で、長さ14.5mと聞いている、つまりウチの14m機と偶然ほぼ同じサイズだが、重さは約3000トンと、30倍の重さだ。


シールドマシンの素材は色々あるが鉄類が主に使われる。

完全な鉄のカタマリではトンネルなど掘れないが、思考実験のために計算してみる。

直径3m 長さ3mの円柱状の鉄、鉄の塊の重さを計算すると、167トンくらいになる。


機械の内部には空隙、スキマだな、ケーブルやパイプが通っている時点で原理的に在するし、スキマが無ければ機械を回したりできないのが当然だ。鉄よりずっと軽いアルミやプラスチックのパーツもあるし、鉄塊に比べて9%の重さ、15トンというのは、まぁ、おかしくない。


しかし、直径、長さが14.7mでこれを計算すると18600トンを超える。これが二乗三乗の法則だ。

ゾウなんか今の陸上生物の限界の大きさだが、体積がすごいので放熱が場合によっては追い付かない。なので、放熱する器官として耳がデカい。クジラにはもっとデカいのもいるが、浮力に依存していて、陸に打ちあげられると自分の重さがモロにかかる、つまり、重力、万有引力のせいで死んでしまう。

東京タワーにしろスカイツリーにしろ、デカい建造物は頑丈なのにスカスカ、という構造にしないと自立できない、みたいな話だ。


ウチの14m機は100トン。軽すぎる。ほぼ空洞だろう?という話になる。実際そうなんだが。


前述の中央リニアのシールドマシンの鉄塊に対する重さの比率は16%程度。ウチの3m機は9%。これは革新的構造とか新素材など言わずとも二乗三乗の法則からして、むしろ自然な重さだ。


14m機は脅威の0.6%だ。トンネルを掘るどころか、自重や地山の圧で潰れてしまわないか心配されるレベルと言える。


潰れたりはしないので大丈夫なのだが、それでも100トンある。やはり重い。輸送が難しいのだ。直径14.7mともなると組立の為の治具、足場なども必須で、それらも輸送しなければならず、一式200トンを超える


3mでも分解せずに運ぶには特認が必要で、5m以上は分解しないと輸送もままならない。今回の7m級は40トン強で、治具、足場まで含めると60トンを超えるので、物流業界でいう10トントラックでも7台は必要なわけだ。


なのでRORO船は分解無しの輸送手段とできるかも? というのに舞い上がっていたわけだが、割安に買えたのはよいにしてもなんとも微妙な物件だ。

アチコチの辻褄あわせが必要だ。ウチが買収した会社がこの船を買った当時の事情を知る人は既にいない。相手の会社も屋号、名称しか、わからない。相手方の事情もわからない。当時の連絡先に連絡してもちゃんと相手が応答しない。それでいて税務含めてちゃんと処理してある。当時の運輸省への提出書類も少なくとも形式的にはきっちりしていて受理されている。

などなど・・・船は合法的に会社に存在はしているが、入手先の情報がしっかり不明であることを確定させていった。が、これは別の話だ。時系列的に元に戻して・・・


シールドマシンは陸上、海上問わずコンテナ輸送ができるように、20ft, 40ftのISOコンテナを考えていたが、7m機に関しては、国内の31ftコンテナで運べるようにJRFとも話をすすめていった。


7m機は、鉄道トンネルとして考えると単線だが、20,000Vの交流電化トンネルが掘れる。


日本では貨物としての全国の幹線線路網はまだ存在している。しかし、その中間や末端が三セクになってしまった。

なので、JRFとしては、災害時の緊急対応だけでなく、被災予定地というのは不謹慎かもしれないが、要対策地域に、迂回トンネルを一本掘れる存在には非常に強い興味を示したのだ。

当然、鉄道屋としてのJRFはトンネル掘削には金も時間もかかることが常識なので、今回の災害対応で実績を作るのだ。


31ftコンテナは実際の最大積載量は13.8トン。トラックの大きさでいうと15トン車クラスだ。

専用のトラックとクレーンが存在していること、という条件だが、対応している貨物駅で直接コンテナ車からトラックに積み替えができる。つまり、貨物駅内で荷役が不要ですぐ出発できるのが特徴だ。

7mなら3両で積み切れるのでトラックが用意できそうだが、14mだと、非常に効率的に積めたとしても15両、普通は18~20両程度になると想定できるのでトラックが用意できるかはちょっと微妙だ。

ただ、貨物列車の最大長は26両だとのことなので、一編成の3/4ほどを使ってしまうことになるが、一度に運び切れる。もっとも足場を組むほうが先になるので、二回に分けるほうが効率的かもしれない。


今回の仕事で、いろいろ検証することになりそうだ。

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