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5m機じゃだめだ。7mでないと

「社長、5m機って言っちゃったって聞いてるけど、文書残ってる?」


いきなりだがあいつからリモートで通話が来た。


いや、5m機については口頭だけだ。まずかったか?


「5m機って、4.6mって忘れてない?シールドセグメントの内径が4.6mっていっても空頭高が足りない」


契約文書には特に何m機で掘るか、なんて記述はない。今後詰めていく事項となっている。


「それならよかった。言い間違い・聞き間違いで済ませるしかないね。路盤を作って下を水路にするのはいいよ。でも、結構水路を広くしないと。50年くらいはシールドの崩落は無いと思うけど、流入は有り得るからね。末橘は片勾配で掘るから、水や多少の土砂流入は路盤の下に落ちるところを一定間隔で作るのはいいよね。そしたら、今回のシールドセグメントはなるべく平滑にするから、最悪上から水で押し流すってのも対策に入れておける」


しかし、7m級は立坑用に持っていく予定だったからいいが、7m用の立坑は10mでないと掘れなくないか?


「ちっちっちっ、今回の現場、地形図を手にいれたけど、少なくとも末橘側は立坑いらないね。ウチのシールドマシンはジャッキで押す必要ないんだよ?忘れちゃった?で、バックで発進基地まで戻すのと、田平側で解体基地を作るののどっちが合理的かって感じか。解体基地にすれば路盤機もいっしょに持っていけるから、ワンパスなのはメリットだけどさ。で、鷹島側はできればちょっと駅を移設するか、路線そのものを鷹島駅の奥で高度を稼ぎつつ左に回頭させて、標高40mくらいの土地、国道から農道が入っているあたり、買えないかな。そこが買えれば前島側から見て上り勾配、こっちからは下りね。そこからゆる~い下り勾配で掘ってって、前島側は国道がガケになってるあたりから顔を出す。こっちは解体基地は難しそうなんで、バックだね。ゆるい勾配ならバックで戻れるから、ちょっと長いけど、セグメント機を出して最後のセグメントたちを組み込んで、路盤機で路盤設置だ。そしたら、そこから駅までは陸橋で降ろそう。距離は短いけど景色はいいかもしれないよ。ま、どうしても、末端部分は手作業の施工が残るんだし。そこはガンさんたちにがんばってもらおうよ」


いつの間にかトンネル技術者になったのか。しれっと新しい用語を使っているが、セグメント機はシールドマシンの後ろの部分、セグメントを重力子エンジンで嵌める部分単体の機械、路盤機はシールドトンネルの中央部分、家紋「丸に二つ引き」で検索して欲しいんだが、この家紋の中心部の薄い部分みたいな運搬機だ。これで、路盤を運び、シールドの下面に床を作る。これも建設残土から作っているのでコストは鉄筋代のみだ。完全に埋めてしまってもよく、それなら鉄筋も不要になるが、残土だけでは不足してしまうこともある。また、ケーブル用通路や、前述の排水路の用途があるので、路盤パネルも鉄筋入りで作ることが多い。


そうだな、細かいところは鉄道課や開発部で詰めてくれ。


「あいよー」


鉄道課というのは、鉄道建設が得意な会社を買収して作った部署だ。正直、半分以上辞められてしまったが、一定のノウハウは吸収できたのでよしとしている。残ったメンバーも面白いやつらばかりになったし。それはそれでヨシ、というところだ。


鉄道課は工事部の下に付けて、一部の開発部向けのメンバーのみ開発部に異動している。

工事部鉄道課と、開発部内鉄道チームという感じだ。開発部内にも鉄オタ?少なくとも鉄道好きはいたので、自然にチームになっている。


さて、ガンさんに声を掛けるか。


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