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日本盾管隧道建設工業株式会社  作者: Jack...
9年目
107/108

元提督の偵察飛行?案

私?今の私は・・・単なる男・・・歳老いた男です。

退役軍人ではありますし、退役後も国の為に働いたこともありますが、それも、もう終わっています。


今はハワイに住み、適度なマリンスポーツに親しむ程度の夫婦というやつです。普通の夫婦と違いがあるとすれば、それは妻も退役軍人、なかなかの士官だったということでしょう。


などと言ってはいるものの、後輩が四つ星を付けたりしていることもあり、未だに非公式での助言など、請われればしています。


まあ、世間的には過去の人です。


少し前に、現役の士官、まあ、ほぼ孫といってもいい歳の士官から、日本に奇妙な航空路線が出来たらしいから、乗ってみるのはどうか、という話を頂きました。


ちょっと調べてみたら・・・本当に奇妙でした。一応、国土交通省が認可した路線なんですが、東京のコミューター空港から、地方都市の港にある工場まで、という路線です。


「は?」と思いました。そんな路線が普通は認可されるわけはありません。

将来的にはその都市の公園の防災センターのヘリポートまでに変更される予定だが、暫定的な到着地がその機体を作っている工場、ということで、試作機関係の路線かな、などと思っておりました。


日本が独自でヘリを作っているなどという話は一部ではありましたが、最近では共同開発という名のノックダウン+カスタマイズくらいかと思ってましたので意外でした。


機種を調べてみると・・・ヘリコプターじゃありませんでした。

なんと、無人旅客ドローンです。

あの、慎重すぎる日本の官僚がよくもまあ、そんなものを許可したものです。


というか、そんなものが実用化されていたら大ニュースのはずです。アメリカ・・・というかハワイのテレビでもニュースになるはずです。

が、聞いておりいません。


はあ・・・私もすっかり御役御免かと思ってましたが、親善の名の元に調査をするハメになるんでしょうね。


           ・・・


「提督!自らいらっしゃるとは・・・恐縮です」


もう提督はとっくの昔に辞めてますよ。


ここは、横須賀の某所、海軍士官の集うクラブハウスです。

現役のとき、それこそ尉官に過ぎなかったころから横須賀勤務のときはよく来ていた場所です。

最初は奢られ、そのうちに奢り、偉くなりすぎてからはあまり寄りやすくなくなりましたが、たまに、であれば歓迎されました。


随分と不思議な航空機が認可されているんですね。日本の官僚は相当保守的だった印象があるんですが。


「それは・・・変わってません。ここだけが特異点なんです」


特異点ですか・・・例えばどういう意味で特異点なんでしょうか?


「まず、社長が、名家の三男坊です。そして、その人は投資の天才です。凄まじい勢いで資産を増やしています」


資産は・・・まあいいとして、名家ですか・・・日本だと・・・天皇家のゆかりとかですかね?


「そうですね。1100年前くらいに天皇家を継げなかった皇子が別系統のお姫様をいただいて作った家系と聞いています」


1100年前・・・ステーツは影も形もないころですね。


「それでも『新参者』らしいです」


ははっ、京都のほうの人はそういう言い方が好きだというのはよく聞いていますよ。天皇家は公称2700年ぐらいでしたか?


「当然のことならが、上代、創始者のころは神話で、歴史的に確実なところでいうと・・・少なく見積っても1500年以上続いている王家なのは確実なようですが・・・」


まあ、厳密には色々ありますが、デンマークやイギリスの王室がヨーロッパでは長い王家とされてますが・・・それですら『新参者』なんですね。

かまいません。その会社の社長はお金があって、家系がよいので周囲から保護されやすいということでよろしいですか?


「はい。それもありますが・・・あとは圧倒的な・・・説明不能な技術力です。そのドローンは電力で動いているように見えるのですが・・・技術者によれば、それが電力で動いているのはおかしいそうです」


おかしい?何がおかしいんでしょうか。


「電動のように見えるが、バッテリーでは到底不可能な航続距離であるということが、一つ目。そして、電力で動いているとすれば・・・どうやって排熱を処理しているのかが不明というのが二つ目。一つ目の派生として、どのような電源があるのか・・・例えば圧倒的なキャパシタやバッテリーなのか、それとも超小型の原子炉なのか・・・が三つ目です」


原子炉とは穏やかじゃないですね・・・しかしそれが想定されるような航続距離なんですか?


「300kmは確実と聞いてます。約160マイルですね」


それはドローンではなく、VTOL機ですね・・・形状的には航空機でしょうか、それとも、マルチコプターなのですか?


「片側3ローターで、これが板状な一枚板に内蔵されており、それ自体は翼形断面を持ってはいるようですが、形式的にはマルチコプターです」


不合理な形状ですね・・・速度はどの程度出るのでしょうか?


「公称は時速250kmと言っています・・・」


公称?・・・ああ、どこかのレーダーで追跡したということですか?


「そう聞いてます。ただ、CFRP を多用しているようですし、電波吸収塗装もされているようです。またそもそも小さいということもあり、完全追尾は難しいようです」


そう言えば大きさを伺っておりませんでしたね。あと、試作機レベルなんでしょうか?ある程度の量産はされているんでしょうか。


「まず、量産かどうかですが、我が国の海軍の航空機で言うところの、先行量産機的な扱いですが、10機以上は確認されています。但し、試作機を先行量産機の仕様に改造したものが含まれているかどうかはまだ不明です」


なるほど、外形寸法は・・・ああ、ぴったり何mmまで算出せよ、なんてことはいいませんよ。概算で大丈夫です。


「はい。飛行時の大きさは明確で、ローターと中央保持部が一体となり、約9m四方の揚力を発生させる形状になっています。キャビン部を含めた全高は約3mですが、どちらも9m弱、3m弱とのことで、オーバーはしていないそうです」


と、いうことは、飛行時以外の形態があるということですね?


「おっしゃる通りです。格納時の形態があり、これは飛行時には一枚の板だったものが三等分、完全に等分ではない模様ですが、下に降り畳まれ、キャビンの両側を覆うようです。その際の外形寸法は幅3m、高さ3m、奥行9m と推測されています。但し、車輪があるようで、全高は3mを越えていますし、幅も3m 未満に入っているかどうかは確定的でないということでした」


・・・どのような技術を使えば実現できるのか想像も付きませんが・・・発想が海軍というか海兵隊寄りのような気がしますね・・・


「私も強襲揚陸艦でも運用するつもりか?、と思いました」


そうすると、キャビンは2.5m弱として・・・それでも完全装備の海兵隊員が 3 x 8 の24人は乗れますね。操縦席がなくて無人だとしたら、30名乗れてしまうかな?しかし・・・重くて離陸できないかな?


「それがですね・・・」


なんでしょう?


「日本の鉄道貨物の規格で31フィートコンテナというのがあるのですが、キャビンの下にこれを更に締結して飛べる、という実験計画書がありました」


鉄道コンテナですか?船舶のコンテナなら馴染みもありますが・・・


「はい、満載すれば10トン以上の貨物を積めます。コンテナを合わせた総重量は20トン近くになります。コンテナが6トン以上ありますから・・・」


・・・それを・・・内蔵されているんですから、3メートル未満ですよね、そのローターが・・・いくつですか?


「6つです」


・・・おかしくないですか?


「おかしいです。もちろん、コンテナもCFRP製の特注の軽量版で、貨物の重量ももっと軽い可能性も高いとは思いますが、どんなに少なく見積ってもペイロードは10トンを越えるでしょう」


・・・本当におかしいですね。


「おかしいんですよ。で、先程言いかけましたが、レーダーサイトからの追跡では速度が250ノット程度ではないかと・・・観測の結果からすると、途切れ途切れですがその程度の可能性が高いと・・・」


・・・ヘリ、マルチコプターで出せる速度じゃないですよね?


「はい。重々承知しています。ただ、板状になると申し上げましたが、ヒンジのところにはダクテッドファンが装備されていますので、推力をそちらに頼るとすれば不可能とは言い切れないかと・・・」


浮力をローター、推力をダクテッドファンですか・・・極めて非合理的な航空機ですね・・・ますます電力と排熱の問題が増えただけ、という気もしますが・・・


「・・・可能性がある、という程度の話ですが・・・『畳み易い』を優先したのでは?とも言われています」


・・・ああ・・・VSTOL 機は畳めても翼を折る程度ですからね・・・

3 x 3 x 9の直方体に出来るのであれば究極的に合理的ですね。その点だけは・・・

自衛隊じゃなくて、民間の会社ということでいいんですよね? 日本にPMC はなかったと思いますが・・・


「一切の武装はないそうです。民間の会社で、最初はシールドトンネル、最近では海運にも力を入れているそうです」


海運ですか・・・コンテナですか?


「いえ、重機の輸送です。それこそ、埋立地を造るような大型の重機を分解せずに輸送し、次の埋立地に運ぶ仕事でかなり儲けています」


それは・・・乗せてるものが装甲車や戦車、自走砲じゃなくて・・・建設機械というだけで・・・古典的な強襲揚陸艇と言ってもいいんじゃないでしょうか?


「私もそう思案しました。それだけでなく・・・」


なんですか?


「海上自衛隊の知人も有事の際には徴用・・・とは言わないまでも協力を得られないか打診することを上申したい、とのことでした」


ああ、海上自衛隊の兵站能力は・・・車両などの能力が不足してますからね。


まあ、わかりました。何故こんな画期的なものがニュースとして流れないか・・・流せないんですね?


「おっしゃる通りです。無名の会社が突然こんなものを造って、しかも何も自慢しないというには意味がわかりません」


上でも取り扱いにお困りである、と。


「そこに関しては何も言えません。以前頂きました、『日本への観光旅行』のスケジュールについては第一から第三候補までの変更は無し、ということでよろしいでしょうか?」


と言うことは、原理の説明を受けられるかどうかはともかく、乗客にはなれる、ということを意味していますか?


「はい。その、地方の工場まで行っても降りてもらうこともできないので、調布から東京湾クルーズでもどうでしょう?とのことでしたが」


ふむ・・・横須賀の近くを低空で飛んだりしても大丈夫でしょうか? 君が調整してくれるのであればですが?


「横須賀と横田周辺はあちらも遠慮したい様子です」


まあ、ぶっとんだ機体を作った人達のようですが、そういうところはまともなんですね? でも、折角ですし、横須賀を空から見てみたいですね。例の掘割を北西から入ってからなるべく基地の遠くを湾の外に素早く出てもらうのはどうでしょう?


「・・・それだって充分挑発的ですよ。調整しておけば撃たれはしないでしょうが・・・あと、無人機ですから、地形データの提供をしなければならず、そこは海軍だけでなく、海上自衛隊さんもいやがるかもしれませんよ?」


確かに・・・じゃあ、湾の外からちょっと眺めるくらいならどうでしょう?


「それくらいならなんとか・・・調整してみます」


私は裏チェックリスト的なものは受け取りませんからね?


「・・・承知いたしました」

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