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アナザーストーリー・夕凪と秋斗の日記帳

 この日記は、 郡崎 秋斗(こおりざき あきと)くんの記憶障害を少しでも支えるために、秋斗くんの友人である春海夕凪(はるみ ゆうな)が作ったものです。

 秋斗くんは眠る前に必ずこの日記を書き、次の日の朝読み返すこと(読み返すことを指示するメモを目覚まし時計に貼っておいてね)。

 すべて読み終わったら紫雲山(しうんざん)の麓においた箱に入れておくこと。昼間に私が確認して、秋斗くんとさよならする前に書くので、それを持って帰ってまた書いてください。

 

 ❖ ❖ ❖

 

《七月二十六日 金曜日》

 秋斗くん、おはようございます。

 今日からこの交換日記の相手を務める、春海夕凪といいます。

 今日、秋斗くんは私に自分の記憶障害のことを話してくれました。

 私は驚いたけれど、納得もしました。

 秋斗くんは時々変な言い方をしていたから。

「多分」をよく使うし、自分のことを知らない人のことのように話すんだよ。

 私は不思議でたまらなかったけど、聞いちゃいけないんだろうなって思ってた。秋斗くんは変な言い方をするとき、すごく悲しそうな顔で話すから。

 でも、今日勇気を出して私に話してくれて嬉しかったです。ありがとう。

 私は絶対に忘れないからね。

 秋斗くんのことも、秋斗くんと過ごした時間も。

 これからはこの日記でもお話ししようね。

 今日も一日、頑張りましょう。




《七月二十七日 土曜日》

 夕凪ちゃん、こんにちは。

 こんな僕の相手をしてくれて、ありがとう。

 正直、記憶のことを話すのは怖かったみたいなんだ。

 受け入れてもらえなかったらどうしよう、夕凪ちゃんが離れていったらどうしようって。

 どうやら一昨日は色々考えて悩んでいたみたいだけれど、昨日の僕はすんなり話せたらしい。

 夕凪ちゃんは僕より年下なのにすごいなあ。

 人を安心させる不思議な力がらあるね。

 僕を受け止めてくれてありがとう。

 また紫雲山、登りに行こうね。


 ❖ ❖ ❖


《八月四日 日曜日》

 秋斗くん、おはよう。

 よく眠れたかな?

 今日は久しぶりに紫雲山に登ったからね、少し疲れた様子でした。

 今日と明日はしっかり休んで、また明後日に漆串(うるしぐし)公園で会おうね。

 今日も一日、頑張ろう。



 

《八月五日 月曜日》

 夕凪ちゃん、こんにちは。

 今日は一日中寝ていたよ。夕凪ちゃんの言うとおり、相当疲れていたみたいだ。

 明日会えるのを楽しみにしているよ。


 ❖ ❖ ❖


《八月十三日 火曜日》

 秋斗くん、おはよう。

 今日は秋斗くんのおうちにおじゃましました。

 香菜さんが秋斗くんの子供の頃や、中学時代の写真見せてくれたよ。

 今よりずっと小さくて、可愛かったなあ。

 秋斗くんの昔話、またたくさん聞かせてもらおっと。

 香菜さんにもよろしくお伝えください。


 あと、告白してくれてありがとう……!

 私も大好きです!



 

《八月十四日 水曜日》

 夕凪、こんにちは。

 昨日夕凪から、「呼び捨てでいいよ」と言われたそうなので、夕凪って呼んでみました。

 なんだか照れるね。

 夕凪も秋斗って、呼び捨てでいいからね。

 あ、昨日伝えてたらごめん。

 僕は今、随分と浮かれているみたいだ。

 僕の昔の話なんて、本当に楽しかった?

 聞いておいてつまらない、なんて言わないでほしいなあ。

 母さんが、「またいつでもおいで」だって。

 夕凪、よっぽど気に入られたみたいだ。良かったね。


 やっぱり本当に告白したんだね、僕。

 めちゃくちゃ嬉しいよ……。

 まさか夕凪が逆告白してくれるとは思わなかったんだろうな、ページいっぱいに夕凪と話したことが嬉しそうに書いてあった。

 好きだよ、夕凪。



 

《八月十五日 木曜日》

 秋斗、おはよう。

 年上なのに呼び捨てにしちゃっていいのかな……?

 でも秋斗がいいっていったんだからね、今更なしはなしだからね!

 秋斗のお母さん優しいね、また伺います、って伝えといて。

 今日も一日、頑張ろうね。

 大好きだよー!


 ❖ ❖ ❖


《八月二十九日 木曜日》

 秋斗、おはよう。

 今日は夏祭りに行きました。秋斗との初デート!

 楽しかったね、屋台でたくさん遊んで、いっぱい食べて……

 今までで一番楽しかったかもしれない!

 秋斗に出会ってから、私の楽しい思い出がどんどん増えてます。

 これからも思い出、増やしていこうね!

 大好き!


《八月三十日 金曜日》

 夕凪、こんにちは。

 昨日はずいぶん楽しんでもらえたみたいで良かった。

 僕も覚えていられたら良かったのにな。

 だけど、僕が夕凪のことを好きだという気持ちに変わりはないからね。

 大好きだ、夕凪。

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