美女と美男子
やぁ! みんな!
僕の事覚えてるかな~?
そろそろシリーズが進むにつれて僕の事を忘れてしまっているんじゃないかな~?
僕はバリバリ☆勇者ハリガネシリーズⅠとⅡで登場するよ~!
まぁ、前作でも前置きにちょくちょく出てるけどね~!
気になったら読み返してみてね~!
~某道具屋の従業員~
「...」。
広い室内で黒いローブを纏った小柄な女性がベッドに腰かけ、白い包帯で巻かれた自身の両手を無表情で見つめていた。
透き通った白い肌に大きな二重の両目、ショートカットのさらっとした艶やかな黒髪を持つその女性の横顔は美しい人形の様な妖艶さを解き放っていた。
気品ある顔立ちをした彼女は虚ろな目で黙ったまま自身の両手を見つめ続けていた。
『ウェーブ、入っていいか? 』。
扉の奥から若い男の声が聞こえ、ウェーブと呼ばれたその女性はその扉の方に視線を向けた。
「...どうぞ」。
ウェーブがそう返すと扉に青白く輝く円形の魔法陣が浮かび上がり、灰色のマント付きコートを羽織った一人の小柄な青年が扉をすり抜けて室内に入ってきた。
「ウェーブ、具合はどうだ? 」。
ウェーブと同様に小柄で色白く、茶色い短髪に澄んだとび色の瞳を持つ中性的かつ端正な顔立ちをしたその美青年はウェーブに優しく微笑みながらそう声をかけた。
「ありがとう、ファイド。大分良くなったわ」。
ウェーブも微笑を浮かべつつベッドから立ち上がり、ファイドという美青年にそう答えた。
「そうか、それは何よりだ」。
ファイドはそう返しながら包帯が巻かれたウェーブの両手を手に取り、その両手を愛でるように優しく擦った。
やがて、ファイドは視線をその両手からウェーブの顔に向けてゆっくりと口を開いた。
「今日、エスティー様との夕食会があるんだが...どうする? 今回は止めておくか? 怪我もまだ完全に治ったわけじゃないわけだし」。
ファイドがそう言うと、ウェーブは首を小さく横に振った。
「いえ、今すぐ向かうわ。大丈夫よ」。
ウェーブがそう答えると、ファイドは少し戸惑ったような表情を浮かべた。
「まだ体内にある魔力も十分戻っていないだろうし病み上がりじゃないか。無理しなくてもいいんだぞ? 」。
「ううん、エスティー様やメンバーには例の件で謝っておきたいから。もう全員は食堂にいるんじゃないかしら? 」。
「いや、その両手じゃ...」。
「フォークやナイフくらい持てるわ、もう大丈夫よ。さあ、行きましょ」。
ウェーブはファイドにそう答えると、さっさと扉をすり抜けて退室していった。
「お、おいっ! 」。
ファイドも慌ててウェーブの後を追った。