ノンスタンスの動向
早く“アルマンダイト”を討伐したいですっ!!
~討伐部隊“勇者”ヤマナカ=マッスル隊員~
「でも、気になるのはジューンさんの証言っすよね~。ノンスタンスとエミールが手を組んだとなると賊団エミールの存在がより脅威的になりますし、正直“アルマンダイト”の討伐どころじゃないっすね~。それに隊長の話を考えてみると、同じ山脈賊団の“ゴクアクボンド”のリーダーはエミールの新しいトップに良い印象を持っていないみたいじゃないっすか~。もしかしたら、ノンスタンスとの接触が原因でワンチャン他の賊団とエミールの交戦にも持っていけるんじゃないですかね~。山脈賊団同士で和平を組んだとしても、自分達に危害を加えた組織をエミールが取り入れたとしたら他の賊団は黙っていないでしょう」。
パルスが神妙な面持ちでそう言うと、ゴリラ隊員は眉間にしわを寄せてゆっくりと口を開いた。
「エミールとノンスタンスが接触したところまでで、その後の双方の動向は確認できていないわけです。手を組んだか、あるいはエミールの組織に入ったかは我々の推測の域を出ません。それにジューンとかいうあの遊び人...やはり俺は信用できん。王国軍の関係者だと言ってはいたが、俺達に接触してはその場を離れてはどこかをうろついて行方も分からん。もしかしたら、俺達の情報を他の賊団に流しているスパイかもしれん。次回からはこの基地内の出入りを禁止させる必要があるかもしれんぞ? 」。
ゴリラ隊員が厳かな口調でそう言うと、ハリガネは懐疑的な様子で小首を傾げた。
「でも、あのオッサンが賊団のスパイだとしたらエミールから命を狙われる必要なんかありましたか? 」。
ハリガネがそう問いかけると、ゴリラ隊員は鼻をフンッと鳴らした。
「エミール以外の賊団関係者という事もあり得るだろう。負傷した状況下でここに逃げ込んできたのも、俺達から情報を得るためのアリバイ作りだろう」。
「ええ~? 何か強引だなぁ~」。
ハリガネが眉をひそめながらそう言葉を漏らすと、ゴリラ隊員はばつ悪そうな表情を浮かべた。
「と、とにかくだっ! お前もノンスタンスのデイと同様に賊団から賞金首を懸けられている立場なんだからなっ! 特にお前の外出は禁止なんだからなっ! その事を分かっているのかっ!? 」。
「分かってますよ...(クソ野郎がよ、今の隊長は俺だぞ? 言葉を慎めよカスが、オメーはここまで特に何もしてねぇじゃねぇかよ。偉そうにしてんじゃねぇよ)」。
ハリガネは心の中でゴリラ隊員にそう悪態をついていたが、会議はそのまま進められていった。