デイの情報
諸国も山脈内にいる集団も、いずれはこのエミールにひれ伏す時が来るであろう
。
~エミールのボス、エスティー~
「二人共、食事はまだだったろ? 掛けたまえ、アイツ等もいつかは理解してくれるはずだ。気にしないでくれ」。
エスティーはデイとライダーにそう言って席に着くよう促した。
「...失礼します」。
デイはそう言ってウェーブの隣に座った。
「...」。
ウェーブは何も言わず会釈してデイに応えた。
「さっきカワマタの言ってた取引って、ウチの組織の関係者がポンズ王国内で酒場を開くからそのサポートをする見返りで利益を得るっていうやつでしたよね? そこにノンスタンスも参加してたけど、王国内で反乱起こしてその店も潰れてこっちの報酬も無くなったっていう...」。
シゲがそう言うとエスティーは小さく頷いた。
「それに関してはノンスタンス側にも予期しない事態が起こったようでな」。
「予期しない事態...? 」。
センコーが眉をひそめながらそう聞き返した。
「ああ、ノンスタンスと繋がっていた政府の関係者が王国の方へ取引の旨を漏洩させていたらしい。それで、デイ君達が王国内に潜伏していた事もバレて王国軍にも追われる事になってしまったようだ」。
「本当に申し訳ございませんでした、王国内にいた人間達を信用し過ぎてました。迂闊でした...」。
デイはそう言って申し訳なさそうに深々と頭を下げた。
「まぁ、過ぎてしまった事は仕方がない。これからはエミールのメンバーとして貢献してくれたまえ、期待しているよ」。
エスティーは満足そうに頷きながらデイ達にそう激励した。
「しかし、えらい変わり様やな。この前まではあんなにノンスタンスを根絶やしにするって息を巻いてたのに...」。
センコーが小首をかしげながらエスティーにそう言った。
「はははっ! 今思えばそんな大した取引でもなかったのに、あんなに憤ってた自分が恥ずかしく思えてしまうな~。本当に大人げないボスで申し訳なかった」。
エスティーはそう答えながら恥ずかしそうに苦笑した。
「エミールにはポンズ王国での不義理な行為や実際に被害を与えてしまいました。決して許されない事ですし、本来であれば私達のような賊人は殺されるべきでした。しかし、我々はエミールの長であるエスティー様の寛容な御決断によりに命を助けていただきました。我々ノンスタンスはエミールに忠誠を誓います」。
「しかし、敵対していたノンスタンスをすぐに信用するというのも...」。
ファイドは表情を曇らせてデイとライダーを一瞥しながらそう言った。
「ノンスタンスが山脈内の各組織に与えてしまった損害は重く受け止めております。私達は誠心誠意エミールに尽くす事しか道はありません。それで、ほんの少しでもよろしいので信用していただけたらと思い...。私、ちょっと気になる情報を掴んでおりまして...」。
「気になる情報...? 」。
エスティーはデイにそう聞き返した。
「はい、私がエミールのメンバーとソルト国でエスティー様と御話したいと交渉した日に後を付けてテリトリーに侵入した人間が一人いたではありませんか」。
「ああ、結局逃がしてしまったがな...。それが何か? 」。
エスティーはデイにそう返し、続けて問いかけた。
「私の推測ですが、その人間はポンズ王国から派遣された偵察ではないかと思いまして」。
「ポンズ王国の...偵察? 」。
エスティーは片眉を吊り上げてそう聞き返した。




