一難去って、隊長の朝礼
「はぁ~い、朝礼を始めま~す」。
早朝、パルメザンチーズ山脈手前に存在するチェダチーズ山。
そのチェダチーズ山中に構えているアルマンダイト=ガーネット”討伐部隊“勇者”の基地内でハリガネ達は朝礼を行っていた。
「えー、新隊員のミツカさんや皆さんのおかげでここまで隊員が誰一人欠ける事もなく...。あー、基地内も大分強化されました。それで...え~」。
ドゴォンッッ!!
しどろもどろに話すハリガネに痺れを切らしたのか、ゴリラ隊員はハリガネの頭上に鉄拳を見舞った。
「ぐぁぁぁぁあああああああああ…っっ!? 」。
鉄拳を食らったハリガネは苦悶の表情を浮かべ、自身の頭を擦りながらその場にしゃがみ込んだ。
「さっきからあーだのッ!! こーだのッ!! しゃきっとせんかいッ!! 」。
ゴリラ隊員は不機嫌な様子で両腕を組み、悶え苦しんでいるハリガネを見下ろしていた。
「痛ってぇ~!! な、何をするんですかぁ~!! 起きてから間もないんですから頭が回ってないんですよぉ~!! 」。
「フンッ!! この部隊の隊長はお前なんだぞ? 隊長はそんな体たらくだと先が思いやられるな」。
(...よく言うぜ、この単細胞野郎がよ。無理矢理隊長を俺に押し付けやがったくせによぉ...)。
ハリガネは痛みを堪えながらゴリラ隊員を下から睨んだ。
「何だお前ッ!! その目はッ!! 」。
ゴリラ隊員と目が合ってしまい、ハリガネは困惑した表情を浮かべつつ自身の頬を人差し指で擦りながらゆっくりと立ち上がった。
「い、いやっ! な、何でもないっすよ...あっ! そうそうっ! 今日の予定なんですけどね~! 今後に向けた部隊の方針を皆さんと決めておきたいんですよ~! 」。
ハリガネは苦し紛れに話題を逸らしつつ、そう話を切り出した。
「...む? 今後の方針だと? 」。
ゴリラ隊員は厳かな表情でハリガネを睨みながらそう言った。
「ええ、ノンスタンスのデイ達が山脈内に侵入した事で、賊団の組織も大分混乱していた事は“ゴクアクボンド”の連中達の聞き込みで確認できました。昨日は僕も疲労もあったので調査の内容を離すのに留まりましたが今日は内容を整理しつつノンスタンス、そして賊団に対抗すべく今後どうするべきかを話し合いましょう。それでは皆さん、席に着いて下さい」。
ハリガネはそう言って隊員達に着席を促し、本格的に会議を始めるのであった。