表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/4

麦茶

 

 ちょっと季節はずれな麦茶についての話をしようと思います。


 とは言っても我が家にとって麦茶は、夏の飲み物ではなく、常にある定番ドリンクです。


 さて、そんな麦茶ですが。


 皆さんのお宅ではどういう麦茶を飲んでますか?


 質問の意図がうまく伝わらなかったらすみません。



 ペットボトルの麦茶を買って飲んでますか?

 麦茶パックを水出し又は熱湯で抽出して作ってますか?


 ちなみに、普段から大麦を煮出して麦茶を作ってる方って、いらっしゃったりするんでしょうか。



 実はスーパーの在庫処分コーナーに夏の売れ残りで大麦の袋が売ってたんで買ってみたんです。


 懐かしいなあって思って。


 すっごく昔、ばあちゃんが生きてて元気だった頃、我が家の麦茶はいつもばあちゃんが作ってくれてました。


 ヤカンいっぱいに麦をブクブクさせながら作ってくれてました。


 秤に広告チラシを敷いて、その上にどっさり麦粒を乗せて、それをザザザーってヤカンに入れるんです。


 子供だった自分はというと、ヤカンの口から麦があふれるんじゃないかって心配で、いつもコンロの前で番をしてました。

 吹きこぼれたら急いで火を消さなきゃ、ばあちゃん呼ばなくちゃって思って。


 え? 健気でかわいい? ええ、よく言われます。



 でもね、意外とあふれないんですよね。

 対流が起きて、不思議とこぼれないんです。

 あの水と麦の動きが不思議で、ずーっとヤカンを見てた記憶があります。


 え? 純粋でかわいい? ええ、よく言われます。



 できあがった熱々の麦茶は、ヤカンに入ったまま、水を張ったタライに突っ込んで冷ますんです。


 麦はどうしてたかなあ。

 フキンだったかザルだったかで()してたかなあ。忘れちゃった。



 好きだったんです。

 ばあちゃんが作ってくれる麦茶。



 友達の家でごちそうになる麦茶と味が全然違うんです。うちの麦茶の方が美味しいんです。

 もちろん、よそさまのお宅でそんなこと言いませんけど。



 そんなことをいろいろと思い出しながら、なんとなーく子供の頃にばあちゃんのを見てた時の記憶を頼りに作ってみたんです。


 普段お湯を沸かすのは電気ポットなんですけど、キャンプ用のヤカンを出してみました。

 家の中でヤカンを使うのがすでにすごく久しぶりです。


 普通にお湯を沸かすのって、やっぱり結構時間がかかるもんですね。


 そしてやっぱりヤカンの形状上、対流が発生するからこぼれない……と思ってたんですけど、目を離した隙に蓋からあふれてしまいました。

 やっぱり目を離しちゃダメだったんですね。


 家の中が麦の匂いでいっぱいになりました。(ついでに加湿にもなりました)


 昔ばあちゃんが作ってくれた麦茶とちゃんと同じ味でした。

 そうそう、これこれ。こういう優しくて甘くて香ばしいの。超懐かしい!


 家族もすごく喜んでくれて、また飲みたいって言うので、麦を使い切ったあとスーパーを探してみたんですけど……。


 やっぱりもう売ってないんですよね、どこにも。




 きっともういないんでしょうね。


 お湯が秒単位で沸騰させられる道具がある時代に、わざわざ水からヤカンで沸かす人なんて。


 その時間を待てる人なんて。


 熱い麦茶を水で冷まして、それからガラス瓶に移す手間をかけられる人なんて。


 だから誰も買わないんでしょうね。

 麦茶を作るための麦なんて。



 こういうことに、手間をかけられるくらいの心の余裕を持てる生き方がしたいなあって、麦茶を飲みながらしみじみ思ったのでした。



 寒い季節に飲むあったかい麦茶も、なかなかに乙ですよね。←あ、ネット用語の使い方じゃない方の乙ですよ。



 スーパーでは手に入らないので、お茶の専門店でも探して、麦を購入しようと思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ