子どもたちの寝物語に語られる、創世の神話
はじめに、父なる神がいました。
父なる神は、ながい、ながい時をひとりで過ごしていました。
あるとき、父なる神は、孤独の悲しみからひとつぶの涙を流しました。
涙はこぼれ落ちて、父なる神の指先を切り裂きました。
傷から血があふれました。
すると、涙から神界が、血から魔界が、涙と血の混ざりあったところから人界が生まれたのです。
父なる神は喜びましたが、三つの世界にはどんな生き物も住んでいなかったので、すぐにまた寂しくなり、再び涙を流しました。
すると今度は、右目の涙から銀髪と紅の瞳の娘が、左目の涙から黒髪と蒼の瞳の娘が生まれたのです。
銀髪と紅の瞳の娘は、涙を流しました。彼女の涙から、人や、あらゆる生き物が生まれました。
黒髪と蒼の瞳の娘は、血を流しました。彼女の血は、あらゆるものを壊し、あらゆる生き物を殺しました。
父なる神は、三つの世界が栄えたのを見てたいそう喜び、満足して、娘たちに言いました。「統べよ。」
そして、どこかへ去ってしまいました。
娘たちは言いつけを守って、今でもこの世界を見守っているのです。
これが、涙と血から生まれた世界、グレースドロップの創世のおはなし――